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最新パーツ性能チェック 第127回

準ハイエンド「GeForce GTX 670」が登場、680との違いを探る

2012年05月10日 22時01分更新

文● 加藤 勝明

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低価格ゾーンへ進出し始めたNVIDIA

 今年序盤のGPUメーカーの動きは非常に対照的だ。年明け早々に28nm世代のGPU「Radeon HD 7970」(以下、HD7970)を投入し、矢継ぎ早に「HD 7750」~「HD 7950」までのミドルクラスまで素早く展開したAMDに対し、NVIDIAの歩みはハイエンドの「GeForce GTX 680」(以下、GTX680)、超ハイエンド「GeForce GTX 690」(以下、GTX690)と、一般ユーザーからどんどん遠ざかっているように見える。

NVIDIAが「GeForce GTX 670」を発表。発表と同時に各社から同GPU搭載ビデオカードの販売も始まっている。価格は4万5800円前後

 しかしここへ来て、ようやく下位モデルへの展開が始まった。GTX680のスペックをやや抑えた準ハイエンドGPU「GeForce GTX 670」(以下、GTX670)の登場である。
 今回はこのGTX670をベンチマーク計測し、GTX680との違いや、ライバルのRadeonとの性能差を明らかにしていきたい。

ショートタイプも登場するかも

 GTX670で最もインパクトのあるのは基板のコンパクトさだろう。今回テストしたリファレンスデザインでは、カード自体の長さは24cmだが、基板自体の長さは17.5cm程度。残り6.5cmは何かというと、ブロワーファンのハウジングとしてだけ存在するのだ。

基板自体の長さは約17.5cmだが、カバーを含めたカード自体の長さは24cm

長さ比較。上から順にGTX680、GTX670、HD7950

 基板の形状だけ見れば、現在流通しているショートタイプのGTX 560Tiカードなどと同じようなコンパクトな製品が出てくる可能性があることがわかる。だがこうしなかったのは、ヒートシンクの容積を確保し、2スロット幅にとどめておくためではないかと推測する。

出力はDVI-D/DVI-I/HDMI/DisplayPortという構成

補助電源コネクターはGTX680と同じ6ピン+6ピンとなる

 また、補助電源コネクターはGTX680と同じ6ピン+6ピン。2個横に並ぶように配置されているので、GTX680の時のようにコシの強いケーブルだと配線に苦労する、ということは少ないはずだ。

GTX680をベースにスペックを若干落したGTX670

 百聞は一見にしかず、ということでGTX670の情報を「GPU-Z」を使ってチェックしてみよう。GTX680と同じGK104コアを使っているのは同じだが、CUDAコア数は192個少ない1344個。GTX680では192個のGUDAコアの集合「SMX」が合計8基入っているので、GTX670はSMX1つ分少ない構成になっている。

GPU-Zでのステータス

 CUDAコア数以外では、Kepler世代で新たに実装された「GPU Boost」の設定もGTX680と違う。今回テストしたGTX670のリファレンスモデルでは、ブースト時で980MHzの設定となっており、1056MHzまで上がるGTX680と比較すると控えめ。しかしネット上でリークされていたブーストの値(上のGPU-Zにおける“Boost”が示すものがそれ)はバラつきがあることを考えれば、リファレンス仕様よりオーバークロック版が中心となることはほぼ確実だ。その場合オーバークロック版GTX670がGTX680の非オーバークロックモデルとどう棲み分けするかがポイントになるだろう。

各ビデオカードの比較表
GPU GeForce GTX 670 GeForce GTX 680 Radeon HD 7950 Radeon HD 7970
コードネーム GK104 GK104 GF110 Tahiti
プロセスルール 28nm 28nm 40nm 40nm
DirectX対応 11.1 11.1 11.1 11.1
シェーダ/ストリーミングプロセッサ数 1344基 1536基 1792基 2048基
コアクロック 915MHz 1006MHz 800MHz 925MHz
ブーストクロック 980MHz 1058MHz - -
メモリクロック 6GHz相当 6GHz相当 5GHz相当 5.5GHz相当
メモリ種別 GDDR5 GDDR5 GDDR5 GDDR5
メモリインターフェイス 256bit 256bit 384bit 384bit
メモリ容量 2GB 2GB 3GB 3GB
PCI Expressタイプ 3.0 3.0 3.0 3.0
PCI-E電源タイプ 6ピン×2 6ピン×2 6ピン×2 8ピン+6ピン
TDP 170W 195W 200W 250W

 一方TDPは170Wまで低下。CUDAコアを192個削りクロックを下げただけで25W下がったことになる。もちろんこの値はPower Targetによって変動するが、これを最高に設定すればTDPは173Wまで上昇、逆にGPUパワーを使わない状況のTDPは140W台まで下げることが可能だ。このPower Target最大に設定したとしてもHD7870の公称TDP175Wをわずかに下回る。準ハイエンドGPUのスペックを持ちながら、TDPは従来のミドルハイクラスという設計を備えているのだ。
 その他の要素、つまりメモリークロックやメモリー搭載量、メモリーバス幅に関してはGTX680と共通である。

ベンチ環境は?

 今回のベンチ環境は、GTX 690のテストレポートで使用した時のシステムをそのまま継承している。比較対象のGPUは上位モデルであるGTX680の他に、ライバルになりそうなHD7970とHD7950のリファレンスモデルを準備した。

テスト環境
CPU Intel 「Core i7-3930K」(3.2GHz)
マザーボード ASRock Fatal1ty X79 Professional(X79)
メモリー Corsair CMZ16GX3M4A1600C9(DDR3-1600 4GB×4)
SSD Intel「SSDSC2CW240A3K5」(240GB)
ビデオカード GeForce GTX 680(NVIDIAリファレンスモデル)
GeForce GTX 670(NVIDIAリファレンスモデル)
Radeon HD 7970(AMDリファレンスモデル)
Radeon HD 7950(AMDリファレンスモデル)
電源ユニット Silverstone「SST-ST1500」(1500W)
CPUクーラー Corsair「CWCH100」
OS Windows7 Professional SP1(64ビット版)
グラフィックドライバー ForceWare 301.33(β版)/Catalyst 12.4

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