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開発者が語りつくした! 「KORG M01」が出来るまで【前編】

2010年10月02日 12時00分更新

文● 四本淑三

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バブル期にフォーカスして、俄然盛り上がる

―― その「明快になったコンセプト」ってどんなものですか?

井上 音源として全方位的に網羅するのではなく、時代を絞ってフォーカスすると面白くなるということですね。

―― フォーカスされているのはどこですか?

岡宮 80年代後半から90年代前半までです。

作りは80年代後半~90年代前半にこだわったと岡宮さん

―― それは音色という意味で?

岡宮 気持ちとしては、たたずまいも含めて。実は途中まで、インターフェイスもなんかこう、しっくり来ないというか……。

佐野 今とは全然違うインターフェイスだったんですよ。すごい使いやすいんだけど、音楽ツールとして当たり前過ぎるというか、使いやすいだけ。

―― 使いやすくて何がいかんのですか。

佐野 コルグさんがリファインした、まさに80年代後半のバブル前夜の音がDSからバンバン出はじめて、音はすごいんですよ。それに対してインターフェイスは普通の顔つきで、これどうなんだろうなと。

岡宮 それで佐野は「いやっ、これじゃない!」って言い出してですね。それで今のLED表示、液晶表示のデザインに全面的に変えたんです。そしたら、デザインから音まで一本筋が通った。DS-10の時は、ツマミやパッチコードを画面に落としこむというところで、もう完成じゃないですか。

今では見た目もそっくり

―― なるほど。実際に出てくる音と、操作感との記憶が一致しないわけですね。

岡宮 M1の当時の雰囲気は、見た目を同じにしても、なかなか出ないんですよ。それで、さっき井上さんがおっしゃったように、コンセプトががっちり固まって、揺るぎないものになった。それまでは入れる音色もどうしようかという話を金森さんとしていたんですけど、全部をそこに集中できた。

佐野 最初の頃は、コルグさん的にも、音色に幅を持たせてという感じで、僕もそんな感じかなと思っていたんですが。

井上 もともとM1だけの音色だとどうかな? という話はしていたんですよ。それ以外の音を入れようという時に、ターゲットの年代に当たる音を入れていこうという方向性になったんですね。

―― ところで同じバブル期と言っても、世代で見え方が違うと思うのですが、金森さんは世代的に少し若くないですか?

佐野 いや、僕と同い年なんですよ。

金森 高校生あたりに、バブル前夜のニューウェーブサウンドは通過していました。

―― 井上さんは明らかにお若いですよね、このチームの中で浮いているなんてことはありませんでしたか?

井上 浮いてはいないですよ。僕は今32歳なんですけど、バブル期は中学生でしたから。「再生」のライブの頃は01/Wだったということは覚えてますね。

金森さんと佐野さんはニューウェーブ世代。シンセサイザーの音もリアルタイムに実感している

再生 :1993年に再結成されたYMOのこと。

佐野 僕がYMOとスターウォーズとパソコンにやられた年頃。僕がMS-10にやられた年頃ですよね。

―― なるほど。それぞれの、あの時代の記憶があるわけですね。

佐藤 だから打ち合わせの後、飲んじゃ80年代の話ばかりしてましたよね。

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