AMDは10月13日、DirectX 11対応GPU「ATI Radeon HD 5770/5750」(以下、Radeon HD 5770/5750)を発表した。型番からわかるように、Radeon HD 5770/5750は、Radeon HD 5870/5850と同じRadeon HD 5000シリーズに属し、Radeon HD 5870/5850の下位に位置するGPUだ。
9月23日に発表されたRadeon HD 5870/5850は、世界で初めて次世代DirectXであるDirect X11(Shader Model 5.0)に対応したGPUであり、旧世代のRadeon HD 4000シリーズに比べて、性能も大きく向上した(関連記事)。Radeon HD 5870/5850は確かに高性能だが、パフォーマンスセグメントの上位向け製品であり、実売価格が3万円~5万円程度とやや高価だ。今回登場したRadeon HD 5770/5750は、パフォーマンスセグメントの下位向け製品(ミドルレンジ)であり、実売価格は1万円台後半から2万円台前半程度になると予想されている。そのRadeon HD 5770/5750のリファレンスカードを入手したので、早速レビューしていきたい。
スペック比較
まず、Radeon HD 5770/5750のスペックを見ていこう。先に発表された「Radeon HD 5870/5850」および、旧世代の「Radeon HD 4890/4770」、NVIDIA製GPUの「GeForce GTX 295/275」「GeForce GTS 250」をあわせてスペック表を作成したので、比較してみたい。
各ビデオカードの比較表 | |||||||||
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GPU | Radeon HD 5870 | Radeon HD 5850 | Radeon HD 5770 | Radeon HD 5750 | Radeon HD 4890 | Radeon HD 4770 | GeForce GTX 295 | GeForce GTX 275 | GeForce GTX 250 |
コードネーム | RV870 | RV870 | RV840 | RV840 | RV790 | RV740 | GT200b | GT200 | G92b |
トランジスタ数 | 21億5000万 | 21億5000万 | 10億4000万 | 10億4000万 | 9億5900万 | 8億2600万 | 28億 (14億×2) |
14億 | 7億5400万 |
プロセスルール | 40nm | 40nm | 40nm | 40nm | 55nm | 40nm | 55nm | 55nm | 55nm |
シェーダバージョン | 5.0 | 5.0 | 5.0 | 5.0 | 4.1 | 4.1 | 4.0 | 4.0 | 4.0 |
DirectX対応 | 11 | 11 | 11 | 11 | 10.1 | 10.1 | 10.0 | 10.0 | 10.0 |
シェーダ/ストリーミングプロセッサ数 | 1600基 | 1440基 | 800基 | 720基 | 800基 | 640基 | 480基 (240基×2) |
240基 | 128基 |
テクスチャ ユニット数 |
80基 | 72基 | 40基 | 36基 | 40基 | 32基 | 160基 (80基×2) |
80基 | 64基 |
ROPユニット数 | 32基 | 32基 | 16基 | 16基 | 16基 | 16基 | 56基 (28基×2) |
28基 | 16基 |
コアクロック | 850MHz | 725MHz | 850MHz | 700MHz | 850MHz | 750MHz | 576MHz | 633MHz | 738MHz |
シェーダクロック | 850MHz | 725MHz | 850MHz | 700MHz | 850MHz | 750MHz | 1242MHz | 1404MHz | 1836MHz |
メモリクロック | 4.8GHz相当 | 4GHz相当 | 4.8GHz相当 | 4.6GHz相当 | 3.9GHz相当 | 4GHz相当 | 1.998GHz相当 | 2.268GHz相当 | 2.2GHz相当 |
メモリ種別 | GDDR5 | GDDR5 | GDDR5 | GDDR5 | GDDR5 | GDDR5 | GDDR3 | GDDR3 | GDDR3 |
メモリインターフェイス | 256bit | 256bit | 128bit | 128bit | 256bit | 256bit | 896bit (448bit×2) |
448bit | 256bit |
メモリ容量 | 1GB | 1GB | 1GB | 1GB/512MB | 1GB | 1GB | 1792MB (896MB×2) |
896MB | 1GB/512MB |
PCI Expressタイプ | 2.0 | 2.0 | 2.0 | 2.0 | 2.0 | 2.0 | 2.0 | 2.0 | 2.0 |
PCIe電源タイプ | 6ピン×2 | 6ピン×2 | 6ピン×1 | 6ピン×1 | 6ピン×2 | 6ピン×1 | 6ピン×1+8ピン×1 | 6ピン×2 | 6ピン×1 |
消費電力 | 188W | 151W | 108W | 86W | 190W | 80W | 289W | 219W | 150W |
実売価格 | 4万8000円前後 | 3万2000円前後 | 159ドル | 129ドル(512MB品は109ドル) | 2万6000円前後 | 1万4000円前後 | 5万3000円前後 | 3万円前後 | 1万8000円前後 |
Radeon HD 5770/5750のスペックは、上位のRadeon HD 5870/5850のストリーミングプロセッサやテクスチャユニット、ROPユニットの数をそれぞれ半分にしたものだと考えてよい。トランジスタ数もほぼ半分に減っている。なお、Radeon HD 5870とRadeon HD 5770のコアクロック、メモリクロックは同じだが、Radeon HD 5750のコアクロックはRadeon HD 5850よりも低い700MHzに設定されており、逆にメモリクロックはRadeon HD 5850よりも高い4.6GHz相当となっている。
Radeon HD 5770/5750は、Radeon HD 5870/5850に比べて演算/描画ユニットが半減したことで、消費電力も大きく減っており、最大消費電力はRadeon HD 5770が108W、Radeon HD 5750が86Wとなっている。そのため、必要なPCI Express電源コネクタもPCI Express 6ピン電源端子×1に変更されており、容量の小さな電源ユニットでも利用できるようになった。
(次ページへ続く)
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