9月10日にAMDよりATI Radeon HD 4000シリーズのミドルクラスGPUとなる「ATI Radeon HD 4670」および「ATI Radeon HD 4650」が発表された(関連記事)。すでにHD 4670は1万2千円前後とリーズナブルな価格でアキバなどで販売が始まっており、売れ行きもそこそこ良いようだ。またHD 4650を搭載する製品の販売も記事執筆中に始まっている。
今回はAMDよりATI Radeon HD 4670(以下HD 4670)のリファレンスカードを借用できたので、気になるパフォーマンスレビューをお届けしよう。
その前にHD 4670/4650のスペックを紹介しておこう。HD 4670/4650はHD 3650の後継とされているが、スペック表を見て貰うと分かるとおり、HD 3850の後継と見るべきだろう。ただHD 3850のメモリバスは256bit×2とリッチなものだったが、HD 4670/4650では128bitとミドルクラスらしくコストダウンが行なわれている。ただしストリーミングプロセッサ数はHD 3850と同じ320基、そしてテクスチャユニット数はHD 3850の倍となる32基、さらにコアクロックはHD 3850よりも80MHz高い750MHzとなっているなど、メモリバスで削減されたパフォーマンスを補う工夫が見られる。
またHD 4670の特徴としてHD 3650と同様にPCI Expressの補助電源コネクタを必要としない省電力な点が挙げられる。PCI Expressスロットが供給できる最大電力は75Wとなっており、これを下回る製品はPCI Expressの補助電源を必要としないのだ。
HD 4670とHD 4650の大きな違いはメモリスピードとGPUクロックだ。メモリスピードはHD 4670がGDDR3/2GHz相当なのに対し、HD 4650はDDR2/1GHz相当と半分ほど。そしてGPUクロックは前者が750MHzなのに対し後者は600MHzと意外と差がついている。
もう一つ見逃せない差がある。それはATI CrossFirex Xへの対応だ。HD 4670は対応しているがHD 4650は非対応となる。このクラス(ミドルレンジ)でマルチGPUを構築する人は少ないと思われるが購入時には気に留めておく必要があるだろう。
各ビデオカードの比較表 | ||||||
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Radeon HD4670 | Radeon HD4650 | Radeon HD3850 | Radeon HD3650 | GeForce 9600 GT | ||
コードネーム | RV730 XT | RV730 PRO | RV670 PRO | RV635 | G94 | |
プロセスルール | 55nm | 55nm | 55nm | 55nm | 65nm | |
シェーダバージョン | 4.1 | 4.1 | 4.1 | 4.1 | 4.0 | |
DirectX対応 | 10.1 | 10.1 | 10.1 | 10.1 | 10.0 | |
シェーダ/ストリーミングプロセッサ数 | 320基 | 320基 | 320基 | 120基 | 64基 | |
テクスチャユニット数 | 32基 | 32基 | 16基 | 8基 | 32基 | |
ROPユニット数 | 8基 | 8基 | 16基 | 4基 | 16基 | |
コアクロック | 750MHz | 600MHz | 670MHz | 725MHz | 650MHz | |
シェーダクロック | 750MHz | 600MHz | 670MHz | 725MHz | 1625MHz | |
メモリクロック | 2GHz | 1GHz | 1.66GHz | 1.6GHz | 1.8GHz | |
メモリ種別 | GDDR3 | DDR2 | GDDR3 | GDDR3 | GDDR3 | |
メモリインターフェイス | 128bit | 128bit | 256bit×2 | 128bit | 256bit | |
メモリ容量 | 512MB | 512MB | 256MB | 256MB | 512MB | |
PCI Expressタイプ | 2.0 | 2.0 | 2.0 | 2.0 | 2.0 | |
PCIe 電源タイプ | - | - | 6ピン×1 | - | 6ピン×1 | |
消費電力 | 75W以下 | 60W以下 | 95W以下 | 75W以下 | 95W以下 | |
実勢価格 | 約1万2000円 | 約1万円 | 約1万2000円 | 約1万円 | 約1万6000円 |
(次ページへ続く)

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