AMDは9月23日、DirectX 11対応GPU「ATI Radeon HD 5870/5850」(以下、Radeon HD 5870/5850)を発表した。
従来のRadeon HD 4000シリーズは、DirectX 10.1(Shader Model 4.1)に対応していたが、Radeon HD 5870/5850は、世界で初めて次世代DirectXであるDirectX 11(Shader Model 5.0)に対応したことが最大の特徴だ。もちろん、旧世代の製品に比べて、描画パフォーマンスも大きく向上している。今回は、Radeon HD 5870のリファレンスカードを入手したので、早速レビューしていきたい。
スペック比較
まず、Radeon HD 5870のスペックを見ていこう。従来のハイエンドモデルである「Radeon HD 4890」および、ライバルとなるであろうNVIDIA製GPUの最上位モデル「GeForce GTX 295」、「GeForce GTX 275」とあわせてスペック表を作成したので、比べてみたい。
各ビデオカードの比較表 | ||||
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GPU | Radeon HD 5870 | Radeon HD 4890 | GeForce GTX 295 | GeForce GTX 275 |
コードネーム | RV870 | RV790 | GT200b | GT200 |
トランジスタ数 | 21億5000万 | 9億5900万 | 28億(14億×2) | 14億 |
プロセスルール | 40nm | 55nm | 55nm | 55nm |
シェーダバージョン | 5.0 | 4.1 | 4.0 | 4.0 |
DirectX対応 | 11 | 10.1 | 10.0 | 10.0 |
シェーダ/ストリーミングプロセッサ数 | 1600基 | 800基 | 480基(240基×2) | 240基 |
テクスチャ ユニット数 |
80基 | 40基 | 160基(80基×2) | 80基 |
ROPユニット数 | 32基 | 16基 | 56基(28基×2) | 28基 |
コアクロック | 850MHz | 850MHz | 576MHz | 633MHz |
シェーダクロック | 850MHz | 850MHz | 1242MHz | 1404MHz |
メモリクロック | 4.8GHz相当 | 3.9GHz相当 | 1.998GHz相当 | 2.268GHz相当 |
メモリ種別 | GDDR5 | GDDR5 | GDDR3 | GDDR3 |
メモリインターフェイス | 256bit | 256bit | 896bit(448bit×2) | 448bit |
メモリ容量 | 1GB | 1GB | 1792MB(896MB×2) | 896MB |
PCI Expressタイプ | 2.0 | 2.0 | 2.0 | 2.0 |
PCIe電源タイプ | 6ピン×2 | 6ピン×2 | 6ピン×1+8ピン×1 | 6ピン×2 |
消費電力 | 188W | 190W | 289W | 219W |
実売価格 | 399ドル | 2万6000円前後 | 5万3000円前後 | 3万円前後 |
Radeon HD 5870は、1000の位が増えていることからもわかるように、従来のRadeon HD 4000シリーズとは世代が異なる、全く新しい設計のGPUである。プロセスルールは、最新の40nmプロセスであり、21億5000万個ものトランジスタを1つのダイに集積している。Radeon HD 4890と比べるとトランジスタ数は2倍以上で、GeForce GTX 275と比べても1.5倍以上になる。
ストリーミングプロセッサの数は1800基、テクスチャユニットの数は80基、ROPユニット数は32基で、それぞれRadeon HD 4890の2倍となっている。コアクロックは、Radeon HD 4890と同じく850MHzだが、メモリクロックが3.9GHz相当から4.8GHz相当へと上がっているため、理論上はRadeon HD 4890の2倍以上の性能を持つことになる。
また、省電力機能も強化されており、アイドル時の消費電力は27Wと非常に低い(Radeon HD 4870のアイドル時の消費電力は90W)。つまり、従来の2GPU構成の「Radeon HD 4870 X2」と同じ性能をより低い消費電力で実現しており、電力あたりの性能は非常に高い。
(次ページへ続く)

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