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最新パーツ性能チェック 第56回

【最新パーツ性能チェックVol.56】

デュアルGPUカード「Radeon HD 3870 X2」はCrossFireを超えられるか?

2008年01月28日 14時30分更新

文● 加藤 勝明

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 AMDが昨年リリースした「Radeon HD 3850」、「Radeon HD 3870」は、いち早くDirectX10.1とPCI Express2.0に対応、さらに省電力機能PowerPlayの搭載や、55nmプロセス採用によって消費電力も大幅に下がるなど、なかなか意欲的なGPUだ。
 しかし、コアの設計はそれ以前のHD 2000シリーズをそのまま使っただけに、性能的には上位版にあたるHD 3870は、HD 2900XTを超越することはできなかった。事実、HD 3870のポジションは準ハイエンドであり、ハイエンドは2008年明けをお楽しみに、という流れだった。
 そして今回AMDから発表されたのが、HD 3000シリーズのコアを使った“最新最速のRadeon”こと「Radeon HD 3870 X2」だ。今回はベンチを通じて、AMDの最新フラッグシップモデルのインプレッションをお届けしてみたい。

GPUを2つ搭載したビデオカード「Radeon HD 3870 X2」。現在のところ“最新最速のRadeon”となる

「Radeon HD 3870 X2」

CrossFire用のブリッジコネクターは基板上に1つ用意されている

「Radeon HD 3870 X2」

ブラケット部はDualDVI/TV-OUTという構成だ

基本スペックは共通、しかしメモリー周りに大きな変更が!

 HD 3870 X2最大の特徴は、新たにハイエンドGPUを設計したのではなく、既存のHD 3870を2つ搭載してしまったことだろう。デュアルGPU(チップ)のビデオカードというと、最近ではGeCube製の「Gemini3」、少し前ではNVIDIA「GeForce 7950 GX2」がある。この2製品に共通しているのは、基板上にPCI Expressスイッチチップを搭載し、システム側からは2枚のビデオカードがあるように見せかける点だ。
 しかしHD 3870 X2では、ユーザーは特に2つのGPUの存在を意識する必要はない。技術的には1枚のビデオカードでCrossFire状態にするだけの話だが、ユーザー側の設定は一切不要。後発の製品だから当然の流れとはいえ、この使い勝手の向上は大いに評価したい。

Catalyst Control Center

CrossFire状態にするとCatalyst Control Center上にそれ用の項目が出るはずだが、HD 3870 X2を1枚装着した状態ではCrossFireであることは表示されない

 もう少しスペックを細かく見ていこう。個々のGPUはHD 3870と同じものだが、動作クロックが若干引き上げられ、メモリーがGDDR4からGDDR3になり、メモリーの動作クロック自体も抑え気味になっている。メモリーのスペック変更は価格や発熱面を考慮してのことだと推測されるが、それによる性能低下を若干のクロック増速でカバーしたことが伺える。

  Radeon HD
3870 X2
Radeon HD
3870
Radeon HD
2900 XT
コアクロック 825+ MHz 775+ MHz 740MHz
メモリークロック 1.8GHz GDDR3 2.25GHz GDDR4 1.65GHz GDDR3
ストリームプロセッサー数 640 320 320
DirectX 10.1 10.1 10
UVD ×
PowerPlay ×
製造プロセス 55nm 55nm 80nm

 HD 3000シリーズの売りである「DirectX10.1対応」や「UVD入りのAVIVO HD」、「PowerPlay」といったフィーチャーはそのまま継承されている。だが、HD 3870 X2はPCI Express 2.0対応ではなく、従来の1.1対応になっている点には注意したい。これは搭載されたPCI Expressのスイッチチップ「PXE8547(PLX Technology製)」の仕様によるものだ。
 この奇妙な仕様は、AMDがPCI Express 2.0対応のスイッチチップを待つよりも、ライバルより先にハイエンド製品でも「DirectX10.1対応」をアピールする方が得策だと考えたからだろう。HD 3870 X2と同時に「HD 3640」「HD 3650」も発表されたことを考えれば、全ラインナップで統一した、という宣伝効果も期待していることは明白だ。

GPU-Z

「GPU-Z 0.1.5」によるHD 3870 X2の情報表示。クロックの認識が半分になっているのは、GPU-Z側が完全に対応してないためだ。ストリームプロセッサー数等はGPU1つ分の値が掲載されている

やっぱスパイダープラットフォームでしょう!

 今回の検証のために用意したマシン構成は以下の表の通り。純粋にパフォーマンス計測であるなら、Core 2 DuoとインテルX38マザーあたりの構成でも良かったのだが、HD 3870 X2の2枚差しの実験もしてみたかったのでスパイダープラットフォームを利用することにした(これは後でちょっとしたオチがつくのだが……)。

テスト環境
CPU:AMD「AMD Phenom 9500」(2.2GHz)
マザーボード:GIGABYTE「GA-MA790FX-DS5」(AMD 790FX)
メモリ:Transcend TX1066QLJ-2GK(DDR2 1066 1GBx2)
HDD:Seagate「ST3500630AS」(500GB SerialATA)
OS:Windows Vista Ultimate

(次ページへ続く)

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