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新Google検索にSEO/SEM業界は大困惑?

2009年05月08日 20時22分更新

文●小橋川誠己/ASCII.jp

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 近い将来、SEO(検索エンジン最適化)業者は困ったことになるかもしれない。グーグルが、Web検索のパーソナライズに本腰を入れてきたからだ。

 グーグルは、5月7日、Google検索に「サーチウィキ」機能を導入したと正式に明らかにした(関連記事)。サーチウィキは、ユーザーが検索結果を中から任意のWebサイトを上位に移動させたり、非表示にしたりできる機能。5月に入ってから順次導入を始めており、一部ユーザーの間では数日前から「検索結果のページに見慣れないアイコンがある」と話題になっていた。

Google

サーチウィキを有効にした状態。右側の↑×ボタンで検索結果を自由にカスタマイズできる


 サーチウィキが有効になるのはGoogleアカウントを所有し、実際にログインしているときだけだ。カスタマイズした検索結果は、自分のIDでログインしている場合にのみ反映されるもので、他のユーザーには影響しない

 検索結果の順位を入れ替えたり非表示にする以外にも、手動で任意のサイトを追加する機能もある。さらに、検索結果の画面上で個々のWebページに対してコメントを付けることもできる。たとえば、「2ページ目のSEO対策の事例が参考になった」といった具合に簡単なメモを付けておけば、もう一度調べるときに手助けになる。

 特定のキーワードに対するWebページの重要度をユーザー個人が自分で判断し、検索結果を主観的に編集していく――それがサーチウィキ機能だ。


気になるヤフーの動き、SEO/SEM業界はどうなる?

 自分が好きなものをだけを集め、好きな順位で並べ替えた“マイベスト版”検索といえるサーチウィキが普及するかは、現時点では未知数だ。すでに、「むしろ目障り」「面倒くさい」といったネガティブな声もちらほらと聞こえてくる。

 だが、ネットリテラシーの高いユーザーが多いGoogle検索だけに、UIなどの問題が改善されれば、サーチウィキが一気に盛り上がる可能性はある。仮に普及となれば、「検索結果の順位が2つ、3つ上がった」といった話はますます意味をなさなくなり、これまでの画一的な検索結果を前提にした小手先のSEOテクニックは通用しなくなる。同時に、より確実な効果が見込めるリスティング広告を使ったSEM(検索エンジンマーケティング)に対して、企業のWeb担当者は予算の多くを配分するようになるかもしれない。検索エンジン対策の“両輪”と言われてきたSEO/SEMのバランスは崩れることになるだろう。

 その一方で気になるのが、国内で56%の検索エンジン利用シェア(2008年4月、ニールセン・オンライン調べ)を占めるヤフーの出方だ。Googleに比べ、ネットリテラシーのあまり高くない層も多く使っている「Yahoo!検索」では、今のところ、ユーザーに難しい操作を強いるサーチウィキのような機能が導入されるとは考えにくい。SEO/SEM業界にとっては、Yahoo!とGoogleの2大検索エンジンにおけるユーザー層の違いをますます意識しなければならず、当面の困惑は避けられないだろう。

 「自分の意図を一番よく理解しているユーザーの皆さん自身で検索結果表示を自分好みにカスタマイズすることで、その検索体験は使い勝手の面でも、より自分好みになっていく」(グーグル)という今回のグーグルの施策は、業界に大きな波紋を広げることになりそうだ。

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