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Google負けた?MS新検索サービスBingの「本気度」 (1/2)

2009年06月01日 14時00分更新

文●中野克平/Web Professional編集部

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 出来が悪いといって高をくくっているライバルを、マイクロソフトは何度も痛い目にあわせてきた。WordもExcelもXboxも世代を重ねるうちに製品自身の問題を克服し、ライバルを凌駕する性能・機能を身につけ、いつの間にかライバルは姿を消していった。6月3日にマイクロソフトが公開する新検索サービス「Bing(ビング)」は、MSNサーチ、Live Searchに継ぐ、マイクロソフトの3世代目の検索エンジン。久々に「マイクロソフトらしい」輝きを放つ製品の登場だ。

Bingの画面

Bingの検索結果で概要部分をマウスオーバーすると、ページのプレビューがポップアップされる(北米版サンプル画面)


検索市場を独走するGoogleとパッとしない競合の動き

 挑戦を続ける「検索帝国」Googleに、つけ込む隙は見あたらない。つい先日も、サーチウィキやワンダーホイールなど、ライバルに先んじて検索エンジンの新しい姿を見せたばかりだ。調査会社によって異なるが、世界の検索クエリーのおよそ6~7割はGoogleが占めているし、2009年度第1四半期の売り上げは苦しい経済情勢の中、前期比3%減の55億1000万ドル(約5300億円)ながら、純利益は8%伸ばしている。

 同業他社の動きはパッとしない。Yahoo! の行方は迷走しているし、「How far is the moon from the Earth?(地球から月までの距離は?)」という質問に「37万4012キロメートル」「23万2400マイル」など、検索ではなく計算で答えてくれる話題の「WolframAlpha(ウルフラムアルファ)」は、奇抜すぎてこのままではメジャーにはなれないだろう。

WolframAlphaの画面

Webページの検索によって情報を整理するのではなく、膨大な知識データベースから、計算によって答えを得るのがWolframAlpha


 入力補完やドリルダウン検索を充実させようとしている「cuil(クール)」は、開発者の経歴やテクノロジー、ビジネス構想は立派だが、動きが遅い。鳴り物入りでMSNサーチから衣替えした「Live Search」は、Internet Explorerの標準検索エンジンという位置付けから抜け出せていない。

cuilの画面

「雑誌風」のレイアウトでサムネイル画像付きの検索結果が表示されるのもcuilの特徴


 Googleの成功があまりに目立ち、「検索エンジンはGoogleで決まり」と見ている専門家も多い。「マイクロソフトが普及させたWindowsというプラットフォームを利用し、Webで勝ったのがグーグル。その次に来るのはグーグルが築いたWebインデックスを利用する企業」(国内の検索エンジンの専門家)など、Google勝利を前提に、「その次」が語られている。

 ところが、マイクロソフトはまだ諦めていなかった。WordPerfectや一太郎をWordが、Lotus 1-2-3をExcelが、Netscape NavigatorをInternet Explorerが倒したように、ライバルの弱点を徹底的に研究し、よりよい機能を親しみやすいデザインで一般ユーザーに提供すれば勝てる――マイクロソフトは、自らの勝ちパターンを忘れていなかったのだ。

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