リーズナブルな価格で高性能なハイエンドGPU「Radeon HD 4800」シリーズが人気のRadeonに、待望のミドルクラスGPU「Radeon HD 4670」と「Radeon HD 4650」が登場した。搭載グラフィックスカード製品も近日登場の予定。
75W、1GBメモリーでも1万円台前半
Radeon HD 4800シリーズは、価格性能比や消費電力/性能比を重視したGPUとして好評を博している。Radeon HD 4600シリーズもその特徴を受け継ぎ、低めの消費電力で高い性能を発揮するGPUを志向している。また、2枚のカードを使うCrossFire Xにも対応する。
主なアーキテクチャーや55nm製造プロセスなどはHD 4800と共通で、シェーダー数を縮小、メモリーインターフェースを低コスト化したGPUとなっている。DirectX 10.1対応、2ストリームのH.264映像をデコード可能なビデオ再生支援機能「UVD 2」内蔵といった特徴も共通だ。
約5億1400万個のトランジスターを集積して、ダイサイズ146mm2。演算ユニットの最小単位であるStream Processorは320基と、前世代のミドルクラスGPU「Radeon HD 3600」シリーズの約2.6倍、前世代のハイエンドGPUだった「Radeon HD 3870」と同数を備えている。コアクロックはHD 4670が750MHz、HD 4650が600MHzである。
ビデオメモリーは上位版のHD 4670がGDDR3とDDR3、下位版のHD 4650がDDR2に対応する。メモリーインターフェース幅は128bit。
AMDではこれらにより、HD 4670は同価格帯の競合製品であるNVIDIAのGeForce 9500 GTに対して、1Wあたりの演算性能で4.5倍以上(8.14GFLOPS/W)、3Dグラフィックスベンチマークソフト「3DMark Vantage」のスコアで、1.85倍もの性能を発揮するとしている。
ゲームでの実効性能も良好で、快適なプレイには高性能GPUを要求することで名高いFPS「Crysis」も、1600×1200ドットという高解像度(Medium設定)で毎秒30フレームをキープできるとしている。
消費電力も低い。AMDの資料では、HD 4600シリーズを搭載するカードは、消費電力75W以下で動作するとしている。実際のカードではこれがさらに下がるようで、512MBの1000MHz GDDR3メモリーを搭載した構成で、カードの最大消費電力は59Wとしている。このおかげで、電力はPCI Expressインターフェースからの供給のみでことたり、外部電源コネクターを持たない。
搭載製品も各社から続々と発表される予定で、AMDでは発表翌週には店頭に並ぶとしている。予想される価格帯は、1GB DDR3搭載のHD 4670カードが1万4000円前後、512MB DDR2搭載のHD 4650カードが1万2000円前後と想定される。
電源ユニットの能力に余裕の少ないパソコンでも、リーズナブルな価格でグラフィックス性能を向上させられるGPUとして、人気を呼びそうだ。なお、詳細なベンチマークなどについては、後日掲載の予定である。