勝つプレゼン――私の場合
私が初めてプレゼンテーションを行なったのは、編集プロダクションにデザイナーとして勤務していたときでした。社長の命令によって雑誌の広告を取るため、ある玩具メーカーへ出張へ行くこととなったのです。そこで、出張当日まで資料に基づいてよどみなく喋れるように、自宅で何日もかけてトレーニングしました。そのとき、一番心を砕いたのは、「なぜこの雑誌に広告を掲載するメリットがあるか」という費用対効果について、なるべく具体的な数字(発刊部数や購読者層の年齢、人数など)をもとに説明した記憶があります。 また、質問が出た場合の想定問答集も自分なりに作って、暗記しました。
現在では、年間20本以上の講演をこなしている関係で、話すことに関しての不安はまったくありません。ただし、一番、大変なのは資料づくりです。パワーポイントのサンプルを3枚ほどご覧いただこうと思います(下記図2~4参照)。
これは、あるスクールのDTP講座を受講している方々に向けた、資料をアレンジしたものです。商業用プレゼンの資料については守秘義務の関係上、公開することができませんので、今回は授業で使った資料のサンプルでご説明したいと思います。
1枚目の表紙には、プレゼン年月日、プレゼン対象者(社)名、タイトル、プレゼンする側の主体者の機関などの情報を入れます。
2枚目。私はいつも目次をつけます。与えられたプレゼンの時間の中で、どのような流れで内容を説明するか、おおまかに最初に話します。
3枚目。目次項目の1に入ります。なるべく図版を使って、全体の流れは視覚的に相手にわかってもらえるようにします。この図版の色があまりにも暗すぎたり、薄すぎたりすると実際に会場でプロジェクタを映したときに、かなり見づらくなります。また、図版も複雑すぎると視覚の中に入りづらくなります。そして、図版と説明する内容の整合性を保つよう心がけます。
また、この資料をもとにした全体進行としては、 ・挨拶 ・資料の説明 ・デモンストレーション ・質疑応答 で構成します。
話の進め方として注意しているのは、ところどころ相手の反応を確かめることです。たとえばパソコンのAというアプリケーションソフトの項目について、理解度が高いと判断した場合は、たとえ資料にAについて詳細が書いてあっても、すべてを説明する必要はありません。反応を見ながら、「みなさん、Aについては十分、理解されているようですね。では詳細は割愛させていただき、次の項目に移らせていただきます」などと、話の展開のメリハリをつけていきます。プレゼンは、相手がもっとも関心があることに関して、ストーリー性を持って分かりやすく話し、飽きずに聞いてもらうことが重要だからです。
さて、ご紹介した以上のポイントを頭に入れて、ぜひとも「勝つプレゼン」で、仕事を獲得してください。
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