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独立すれば、キラリと光る SEのための起業塾 第5回

第5回 結局“1円起業”も甘くはない 資金調達の上手い・下手は明暗を分ける

2007年07月10日 00時00分更新

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独立すれば、キラリと光る SEのための起業塾

年功序列社会が崩壊し、1円起業が恒常化した現在、「起業」という働き方への注目が高まっています。SEとして、会社に残るのも一つの道ですが、起業という選択肢もあるのです。では、どうすれば起業できるのか。起業したその先は何を目指していけばいいのか。本連載では、SEのための起業成功法について、考えていきます。


基本知識を押さえる 開業資金と運転資金とは

 起業のための資金計画には、「開業資金」、「運転資金」という2とおりの考え方が必要です。

 開業資金とは、まず「新たに事業を興す際に必要な資金」のこと。たとえばスタート時は自宅で始めるのか、それとも事務所を構えるのか。それによってかかる費用がかなり違ってきます。事務所を構えるのであれば、不動産契約にかかる費用も発生します。

 運転資金とは「事業を継続させるために必要な資金」です。たとえば最初から複数人でスタートさせる場合は、人件費も頭に入れておかなければなりません。下図1を参考に開業資金と運転資金を整理してみて下さい。

開業資金と運転資金の見積もり

●図1:開業資金と運転資金の見積もり(クリックして拡大)

開業資金と運転資金の見積もり

自己資金を把握する 最初はやっぱり……

 起業を目指すためには、開業資金・運転資金の洗い出しと見直し、そして当然自己資金がどのくらいあるかを洗い出さなくては始まりません。特に「身の丈」で起業するのであれば、なるべく最初から借り入れを考えず、初めは自己資金のみでスタートさせてもよいでしょう。下図2を参考に、自己資金を分類し、たとえば開業に使える金額はいくらなのかを試算してみて下さい。

 また、資金の算出と同時に、必要な資金は極力減らし、コストパフォーマンスに努めるという意識も肝要です。たとえば必要な什器・備品は新品ではなく、リサイクル品でも最初は充分かもしれません。

自己資金の内訳

●図2:自己資金の内訳(クリックして拡大)

自己資金の内訳

 ちなみに、国民金融公庫総合研究所が2006年12月20日に発表した、開業1年以内の1972社に調査した2006年度「新規開業実態調査」(図3参照)によると、開業資金の平均調達額は「ニュービジネス型(注1)」が1575万円であり、「従来型」を若干、下回っています。内訳を見ると、「ニュービジネス型」は自己資金(457万円)、友人・知人(86万円)、事業賛同者(107万円)、地方自治体の制度融資(48万円)などからの調達額が、「従来型」よりも大きくなっています。

2006年度「新規開業実態調査」
●図3:2006年度「新規開業実態調査」(2006年12月20日発表 国民金融公庫総合研究所より)

 開業資金と運転資金をあわせて半年分くらいの資金が用意できるか、というのも起業を成功に導くひとつの基準となります。いくら新会社法になって、1円から起業ができると言っても、やはり起業をしてその先を見据えた“向こう半年間”くらいの最低限の資金はぜひ確保しておきたいものです。

注1:ニュービジネス型の定義
2006年度「新規開業実態調査」にあたって、「開業した事業はベンチャービジネスやニュービジネスに該当すると思いますか」という設問に対して「思う」と回答した企業を「ニュービジネス型」、「思わない」と回答した企業を「従来型」、分からないと回答した企業を「不明」とした。その結果、従来型が72.5%、ニュービジネス型が14.5%、不明が12.9%という結果となった。ちなみに、「社団法人関東ニュービジネス協議会」の定義によると、「既存の業種・業態の枠組みを超えて、アントレプレナー(entrepreneur:企業家)が社会の変化や人々のニーズを的確に捉え、提供される商品・サービスに革新性、新規性が認められるか、または経営手法に新規性が認められる事業で、かつ高成長、高収益を遂げている事業をニュービジネスと言います」となっている。

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