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ASCII Power Review 第271回

最新フラッグシップモデルを徹底実写しました!!

自動認識AFも連写も画質も最強だった=ソニー「α1Ⅱ」実機レビュー

2024年12月23日 09時00分更新

文● 写真 岡田清孝 + 編集● ASCII PowerReview軍団

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 ソニーがフルサイズミラーレス機の最新フラッグシップモデル「α1Ⅱ」を12月13日に発売した。

 昨年末に登場したもう一台のフラッグシップ「α9Ⅲ」は2460万画素のグローバルシャッターを搭載し、最高秒120コマ連写など超高速撮影に秀でたモデルだったが、「α1Ⅱ」は2020年登場の前モデル「α1」の後継機種で、積層型5010万画素の高解像度に最高秒30コマ連写とバランスのとれた王道モデルになる。いずれにしろ2年連続でハイエンド機を登場させるあたりは現在のソニーの勢いが感じられる。

 また同時に発売された「FE28-70mmF2GM」も全域開放F2の明るさを実現した標準ズームということで注目されている。今回はこの新フラッグシップモデルと大口径ズームレンズを合わせて紹介していこう。

ソニー「α1Ⅱ」実機レビュー

量販店価格は99万円とお値段もハイエンド。「FE28-70mmF2GM」は49万8300円でこちらもスペック相応の価格。

ボディーデザインは最新の完成形
新バッテリーチャージャーも◎
 

 ボディーは「α9Ⅲ」と共通になり、見た目も製品ロゴ以外では区別がほぼつかない。当然サイズは同じだが重量は40gほど重い。「α9Ⅲ」はメカシャッターレスだが「α1Ⅱ」にはメカシャッターが搭載されているので、その差だろうか。

ソニー「α1Ⅱ」実機レビュー

ボディーサイズは136.1×96.9×82.9mm、重量はメディアとバッテリー込みで743g。前モデル「α1」が128.9×96.9×80.8mm、737gなので微妙にサイズアップ。

ソニー「α1Ⅱ」実機レビュー

上面と背面ともに操作ボタン類の配置は変わらず。従来機ユーザーなら迷わず操作ができる。

ソニー「α1Ⅱ」実機レビュー

「α9Ⅲ」との違いがわかるのは前面と上面左肩の製品ロゴくらい。

 前モデルよりはわずかにサイズアップしたことになるが、握りやすい形状のグリップやシャッターボタン、ストロークが深く押しやすいボタン類、チルト式とバリアングル式が合体したマルチアングル液晶、といった改良によりホールド感や操作性など使い勝手は向上している。

 フルサイズミラーレスαシリーズのボディーは初代「α7/7R」から代を重ねるごとに改良が加えられてきたが、「α9Ⅲ」で完成形に近づいたといっても過言ではないだろう。

ソニー「α1Ⅱ」実機レビュー

シャッターボタンは上部が丸みをおびた形状で押しやすくホールド感向上にも貢献している。

ソニー「α1Ⅱ」実機レビュー

ボタン類は十分なストロークがあり押しやすい。

ソニー「α1Ⅱ」実機レビュー

モードダイヤルの下段には「静止画/動画/S&Q」の切換ダイヤルを備える。

ソニー「α1Ⅱ」実機レビュー

上面2つのコマンドダイヤル右側にはロックボタンがある。

ソニー「α1Ⅱ」実機レビュー

上面左側にはαシリーズのフラッグシップモデル(α1/9)にのみ搭載されるドライブモードとフォーカスモードのダイヤル。

ソニー「α1Ⅱ」実機レビュー

レンズ光軸上で可動するチルト式と、角度の自由度が高いバリアングル式を組み合わせた背面液晶。現状ではもっとも理想的な可動方式だ。

ソニー「α1Ⅱ」実機レビュー

デュアルのメディアスロットは両方ともCFexpress TypeAとSD UHS-2を兼用している。

 EVFも変わらず944万ドット倍率0.9倍と優れた視認性。さらに従来より深みがあり、外光の遮断性や覗いた時のフィット感もよい新型のアイピースも付属。ファインダー撮影派にはうれしいサービスだ。

ソニー「α1Ⅱ」実機レビュー

従来のアイピース「FDA-EP19」(写真左)と、大柄で深さのある新型「FDA-EP21」(写真右)の2つが付属する。「FDA-EP21」は別売(2640円)もされ、前モデルや「α9Ⅲ」などの一部機種でも使用可能。

 側面の端子はPD対応のUSB-CやフルサイズのHDMI、シンクロ接点などフルに装備されている。面白いのは端子の位置が「α9Ⅲ」とは異なり、HDMIとUSB-Cが上下に並んで配置された。通常の運用を考えれば映像出力と電源供給を同時に使う機会は多いはずなので、些細だが理にかなった改良である。

ソニー「α1Ⅱ」実機レビュー

「α1Ⅱ」(写真左)と「α9Ⅲ」(写真右)とは側面端子の配置が異なり、HDMIとマルチ端子が入れ替わっている。

 バッテリーも引き続き今やαシリーズ(現行機種では「α6400」と「ZV-E10」以外)共通といえる「NP-FZ100」。公称撮影枚数は約420枚。実撮影では満充電からRAW+JPEGで210カット420枚、プリ撮影オンのJPEG連写1739枚で残11%となかなかの枚数が撮影できた。

 また付属のバッテリーチャージャーが「NP-FZ100」を2個同時に充電できる「BC-ZD1」に変更。従来製品とよりも少し小振りと驚きのコンパクトさに、電源はUSB PDとかなりの優れモノだ。

ソニー「α1Ⅱ」実機レビュー

手のひらに乗るコンパクトサイズ。2個の「NP-FZ100」をUSB PD出力の18W以上で順次に、30W以上なら同時に充電が可能。

AIプロセッシングユニットに
「被写体認識」に待望の「オート」搭載
 

 撮像素子は前モデルから変わらないが、5010万画素と高解像度なので拡大して見ても細部は精細な描写。発色はヌケがよく階調も明暗差が滑らか再現されている。

ソニー「α1Ⅱ」実機レビュー

街中の遠景で解像感をチェック。使用レンズFE28-70mmF2・焦点距離70mm・絞りF5.6・シャッタースピード1/1250秒・ISO100・レンズ補正オフ。(以下の設定は共通。JPEGエクストラファイン・ホワイトバランスオート・Dレンジオプティマイザーオート・クリエイティブルックスタンダード。作例によりレンズ補正オフ)

ソニー「α1Ⅱ」実機レビュー

展望台からの遠景も高解像度が活かさせるシーンだ。使用レンズFE28-70mmF2・焦点距離50mm・絞りF5.6・シャッタースピード1/500秒・ISO100。

ソニー「α1Ⅱ」実機レビュー

古びた建築の一部も心地よい発色で印象的に見える。使用レンズFE28-70mmF2・焦点距離51mm絞りF8・シャッタースピード1/100秒・ISO100。

ソニー「α1Ⅱ」実機レビュー

赤色が鮮やかに再現された色乗りのよい発色。使用レンズFE28-70mmF2・焦点距離70mm・絞りF2・シャッタースピード1/1250秒・ISO100。

ソニー「α1Ⅱ」実機レビュー

逆光でも明暗差の再現は滑らか。使用レンズFE28-70mmF2・焦点距離70mm・絞りF2・シャッタースピード1/2000秒・ISO100。

ソニー「α1Ⅱ」実機レビュー

夕日の明部と機体の暗部の階調がしっかり両立している。使用レンズFE100-400mmF4.5-5.6・焦点距離212mm・絞りF5.6・シャッタースピード1/320秒・ISO400・レンズ補正オフ。

 高感度もJPEGのノイズ処置が改善され、ISO12800程度までは解像感の劣化は感じられず、常用最高のISO32000も実用的な画質。さらに拡張感度でも光量があるシーンなら十分許容することができる。

ソニー「α1Ⅱ」実機レビュー

感度別に撮影した写真の一部を拡大して比較。左上からISO3200・ISO6400・ISO12800・ISO32000・以下拡張感度ISO51200・ISO102400・ノイズ処理標準。

ソニー「α1Ⅱ」実機レビュー

高感度で撮影した作例をいくつか。ISO12800で撮影。使用レンズFE28-70mmF2・焦点距離48mm・絞りF2・シャッタースピード1/40秒。

ソニー「α1Ⅱ」実機レビュー

ISO12800で撮影。使用レンズFE28-70mmF2・焦点距離35mm・絞りF5.6・シャッタースピード1/20秒。

ソニー「α1Ⅱ」実機レビュー

ISO32000で撮影。使用レンズFE28-70mmF2・焦点距離35mm・絞りF5.6・シャッタースピード1/10秒。

ソニー「α1Ⅱ」実機レビュー

ISO32000で撮影。使用レンズFE28-70mmF2・焦点距離50mm・絞りF2.8・シャッタースピード1/8秒。

ソニー「α1Ⅱ」実機レビュー

ISO51200(拡張感度)で撮影。使用レンズFE100-400mmF4.5-5.6・焦点距離400mm・絞りF5.6・シャッタースピード1/125秒・レンズ補正オフ。

ソニー「α1Ⅱ」実機レビュー

ISO102400(拡張感度)で撮影。使用レンズFE100-400mmF4.5-5.6・焦点距離400mm・絞りF5.6・シャッタースピード1/250秒・レンズ補正オフ。

 積層型なので電子シャッターの高速連写でも歪みは気にならず、解像度とスピードが両立された撮像素子だと再確認した。

ソニー「α1Ⅱ」実機レビュー

メカシャッター

ソニー「α1Ⅱ」実機レビュー

こちらは電子シャッター。いつもの動体歪みチェック。見比べなければ気が付かないレベルだった。

 新たに追加された機能としては「α7RⅤ」で採用されたAIプロセッシングユニットによる「被写体認識」と、「α9Ⅲ」に搭載された「連写速度ブースト」や「プリ撮影」だ。

 「被写体認識」ではすべての対象(人物、動物、鳥、昆虫、車/列車、飛行機)を認識する「オート」が追加された。体感的には個別に設定するのと精度差は無いように思えたので、通常はオートのままでよさそうだ。

ソニー「α1Ⅱ」実機レビュー

被写体認識には「オート」が追加。さらに「オート」で認識させる被写体も選ぶことができる。

ソニー「α1Ⅱ」実機レビュー

被写体認識で撮影した作例。使用レンズFE100-400mmF4.5-5.6・焦点距離400mm・絞りF5.6・シャッタースピード1/4000秒・ISO3200。

ソニー「α1Ⅱ」実機レビュー

使用レンズFE100-400mmF4.5-5.6・焦点距離400mm・絞りF5.6・シャッタースピード1/4000秒・ISO640。

ソニー「α1Ⅱ」実機レビュー

使用レンズFE100-400mmF4.5-5.6・焦点距離306mm・絞りF5.6・シャッタースピード1/1000秒・ISO160・レンズ補正オフ。

ソニー「α1Ⅱ」実機レビュー

使用レンズFE100-400mmF4.5-5.6・焦点距離276mm・絞りF5.6・シャッタースピード1/1000秒・ISO160・レンズ補正オフ。

ソニー「α1Ⅱ」実機レビュー

使用レンズFE100-400mmF4.5-5.6・焦点距離400mm・絞りF6.3・シャッタースピード1/250秒・ISO100・レンズ補正オフ。

 また撮っていて感じたのはAF撮影時の追随(トラッキング)の優秀さ。「被写体認識」はもちろん、通常のトラッキングAFでも粘り強くピントを追い続けてくれる。トラッキング性能はαシリーズ躍進の一因でもあるので、この辺はさすがといったところ。

 連写も電子シャッターなら画質制限なく最高秒30コマと高画素機ではいまだ最速クラスだ。プリ撮影との組み合わせで今まで撮るのが難しかった瞬間が簡単に撮れるようになったのもうれしい。

ソニー「α1Ⅱ」実機レビュー

プリ撮影の記録時間は0.13秒から1秒まで細やかに設定が可能(ちなみに「α9Ⅲ」は0.005秒から)。

ソニー「α1Ⅱ」実機レビュー

高速連写&プリ連写のおかげで、近所の野鳥を撮るのが楽しくなってきた。使用レンズFE100-400mmF4.5-5.6・焦点距離268mm・絞りF5.6・シャッタースピード1/4000秒・ISO800。

ソニー「α1Ⅱ」実機レビュー

使用レンズFE100-400mmF4.5-5.6・焦点距離268mm・絞りF5.6・シャッタースピード1/4000秒・ISO800。

ソニー「α1Ⅱ」実機レビュー

使用レンズFE100-400mmF4.5-5.6・焦点距離400mm・絞りF5.6・シャッタースピード1/3200秒・ISO800。

 手ブレ補正もボディー単体で中心部8.5段、周辺部7段と強力。今回試用した手ブレ補正非搭載の「FE28-70mmF2」でも頑張れば広角側遠景で1秒、望遠側近景で1/8秒まではギリいけそうだ。ブレが目立ちやすい高画素機には頼もしい補正効果である。

ソニー「α1Ⅱ」実機レビュー

手ブレ補正の効果を試すためスローシャッターで撮ってみた。使用レンズFE28-70mmF2・焦点距離28mm・絞りF10・シャッタースピード1秒・ISO200。

ソニー「α1Ⅱ」実機レビュー

使用レンズFE28-70mmF2・焦点距離70mm・絞りF2・シャッタースピード1/8秒・ISO400。

さすがソニーのフラッグシップモデル
AFも描写も最新&最強だ
 

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