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サプライチェーン再編を商機に GSE2026が大阪・関西から世界へつなぐ

「Ecosystem Link#56 presented by It's Sta.」レポート:GSE2026で探る、大阪・関西のグローバル連携とディープテック

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提供: うめきた未来イノベーション機構(U-FINO)

 2026年10月5日から7日にかけて、大阪で「Global Startup EXPO 2026(GSE)」が開催される。世界のスタートアップや投資家、事業会社などが集まるこのイベントを前に、9月8日、グラングリーン大阪のJAM BASEで「Ecosystem Link #56 presented by It's Sta.」が開催された。

 今回のテーマは、GSEを軸に考える大阪・関西のスタートアップエコシステムと、日本のディープテックスタートアップの成長だ。セッションでは、GSEの狙いや大阪・関西が世界とつながるための条件、ディープテック企業が研究成果を事業化し、資金を集め、海外へ展開していくまでの課題が議論された。

 主催する一般社団法人うめきた未来イノベーション機構(U-FINO)は、グラングリーン大阪を拠点に、行政や民間事業者と連携してイノベーション創出を支援している。Ecosystem Linkは、U-FINOが運営するイノベーターズプラットフォーム「It's Sta.」の定例イベントで、今回が56回目。U-FINOでは、日本と海外のスタートアップエコシステムをつなぎ、そこで生まれた接点を継続的な共創や事業創出につなげる取り組みを進めており、今回もGSE2026のオフィシャルサイドイベントとして開催した。GSEの開催を前に、そのテーマをひと足早く掘り下げる場となった。

オープニングで登壇した、U-FINOの渡邉秀斗氏(右)と樋口賀美氏。渡邉氏はGlobal Startup EXPO 2026のアンバサダーを務める

万博で生まれた成果や海外との接点を、GSE2026にどうつなげるか

 セッション1「Global Startup EXPO 2026特集!世界とつながる大阪・関西のスタートアップエコシステムの未来」では、GSE2026のプロデューサーを務めるVenture Café Japanの小村隆祐氏と、経済産業省 イノベーション創出新事業推進課 スタートアップ国際連携企画調整官の澤田佳世子氏が登壇。DOZAN PARTNERSの創業者で代表取締役社長兼CEOで、GSE2026アンバサダーを務める泉友詞氏が担当し、万博で生まれた海外との接点を次につなげる意義や、大阪・関西でGSEを開催する狙いを議論した。

 小村氏は、ディープテックを世界で成長させるには、スタートアップと投資家だけでなく、事業会社、行政、製造業など幅広いプレイヤーとの関係構築が欠かせないと説明した。背景のひとつにあるのが、地政学リスクの高まりによるサプライチェーンの見直しだ。

 小村氏は、オーストラリアのディープテックスタートアップと東京都大田区の中小製造業をつなぐ取り組みを紹介。現地では「日本の製造能力への期待が高まっている」という話を聞いたという。高度なIPを扱うため、製造委託先にも信頼性が求められており、日本の精密加工や製造力が選択肢として浮上している。実際、この取り組みでは短期間で日本企業への発注も生まれた。

「サプライチェーンが書き換わっている今、どの国や企業と関係を築いていくのかを、スタートアップでさえも常に考え続けなければならないフェーズに入っています」と小村氏。GSEには、海外との接点を一度つくって終わるのではなく、継続的に関係を築き、製造、投資、協業へつなげる役割があるとした。

Head of  Venture Café Japan 小村 隆祐氏。Global Startup Expo 2026のプロデューサーを務める

 では、なぜ大阪・関西なのか。澤田氏は、万博で掲げられた「イノベーションの社会実装」を引き継ぐ地域として、大阪に可能性があると説明した。関西には大学や研究機関が集まり、世界的な研究成果も生まれている。ただし、それを事業化し、量産へつなげる段階には依然として壁がある。

「GSEなどを通じて、日本や大阪・関西を国内外から見てもらえるチャンスが生まれています。自分たちに何ができていて、何が足りないのか、これから何を得たいのかを認識したうえで、誰を呼び込み、誰が海外へ出ていくべきなのかを明確にしていくことが大事です」と澤田氏は語った。

経済産業省 イノベーション創出新事業推進課 スタートアップ国際連携企画調整官 澤田佳世子氏

 GSE2026では、海外のVCやスタートアップ、事業会社、支援機関などが集まり、参加者同士のマッチングも行う。泉氏は、関西発の経済・文化イベント「RISE KANSAI 2026」にも携わり、8月26日にGSEのサイドイベントとして開催。ビジネスと文化を組み合わせながら、関西からスタートアップエコシステムを広げる取り組みを進めている。

DOZAN PARTNERS 代表取締役社長兼CEO 泉友詞氏

 サプライチェーンが見直されるなか、日本や関西がどこに強みを持ち、誰と組むのか。GSEは、その接点を実際の投資や協業、商売につなげる場を目指している。

左から、Venture Café Japanの小村隆祐氏、経済産業省の澤田佳世子氏、DOZAN PARTNERSの泉友詞氏

ディープテックを社会実装する「連合軍」をどうつくるか

「幅広いプレイヤーとの関係構築が必要」といっても、具体的には何をすればいいのか。セッション2「日本のディープテックスタートアップ、成長のリアル」では、ジャフコ グループ株式会社の高原瑞紀氏、デライト・ベンチャーズの西田光佑氏、MOF(多孔性配位高分子)の社会実装を進める株式会社Atomisの片岡大氏と、モデレーターにLETT株式会社 代表取締役の志岐遼介氏を迎えて、 資金調達と社会実装の現場から議論した。

左から、ジャフコ グループ株式会社の高原瑞紀氏、デライト・ベンチャーズの西田光佑氏、株式会社Atomisの片岡大氏、モデレータのLETT株式会社 志岐遼介氏

 最初の論点となったのは、技術だけでは資金は集まらないという現実だ。片岡氏によると、投資家から繰り返し問われるのは、「どの市場を狙い、どうスケールするのか」という点だという。ディープテックでは技術開発に時間がかかる一方、市場の可能性を示すには量産設備や実証が必要になる。片岡氏は、Atomisが現在「死の谷」に差しかかっているとし、「将来リターンが見込めることを示したいのですが、そのためにはまず量産できることを証明しなければなりません。ただ、その証明には工場や設備への投資が必要です」と、その難しさを語った。

株式会社Atomis 取締役COO 片岡大氏

 投資側も、技術だけを見ているわけではない。高原氏は、投資判断では市場、事業化、チームの3つを見ると説明。西田氏も、大きな市場を狙えるかに加えて、資金を集め、売上をつくれるビジネス人材を含むチームを重視するとした。研究開発から量産へ進むにつれ、必要な人材も変わる。片岡氏は、「量産化や事業開発、法務、品質保証など、次の成長段階で必要になる新しい機能や専門性を持ち込んでくれる人材が必要です」と話した。

 社会実装では、事業会社の役割も大きい。Atomisでは、ダイキン工業株式会社とフロン冷媒の分離システムを開発している。片岡氏は、機械と素材の両方を理解する担当者と出会えたことが開発を進めるうえで大きかったと振り返る。

 高原氏は、ディープテックの社会実装は「基本的に1社ではできない」と指摘し、事業会社や行政などを含む「連合軍」をつくる必要があるとした。西田氏はさらに具体的に、事業会社には「発注書を出してくれるのが一番助かる」と話した。PoCや共同研究にとどまらず、実際の売上につなげることが次の資金調達や事業成長にもつながる。

ジャフコ グループ株式会社 高原瑞紀氏

デライト・ベンチャーズ パートナー  西田光佑氏

 資金、人材、顧客、量産、制度。ディープテックを社会実装するには、それぞれの段階で必要な相手が変わる。スタートアップを中心に、投資家、事業会社、行政、地域の支援者が役割を持ち寄り、技術を事業へつなげていくことが求められている。

世界を目指すディープテック3社が登壇、GSEは10月5日開幕

 最後のピッチセッション「グローバル進出を目指す有望なスタートアップによるピッチ!」には、ディープテック領域の3社が登壇した。

左から、株式会社マテリアルゲート取締役 伊勢賢太郎氏、株式会社TearExo 代表取締役CEO 堀川諒氏、イーセップ株式会社 事業開発部 取締役 五ノ井浩二氏

 イーセップ株式会社からは、事業開発部 取締役の五ノ井浩二氏が登壇。同社はナノセラミック分離膜を主力製品とし、化学業界を中心にカーボンニュートラル社会の実現に向けた事業を展開している。

 株式会社TearExoからは、代表取締役CEOの堀川諒氏が登壇。独自の細胞外小胞(EV)検出技術を基盤に、涙液による乳がんリスク評価のほか、製薬・診断・再生医療分野で共同研究や受託分析を進めている。

 株式会社マテリアルゲートからは、取締役の伊勢賢太郎氏が登壇。同社は広島大学発の材料系ディープテック企業で、単分子誘電体を活用し、次世代半導体メモリの高性能化・低消費電力化につながる材料技術の実用化を目指している。

「Global Startup EXPO 2026」は、2026年10月5日から7日まで大阪で開催される。うめきたエリアをメイン会場とし、中之島クロスのほか、京都、兵庫エリアなどでもサイドイベントを開催する予定だ。さらに、開催前後の約1週間には、京阪神の自治体、金融機関、大学などによる関連イベントが集中的に開催される。本イベントを主催するU-FINOも会期中にサイドイベントを予定しており、その拠点であるJAM BASEでも多数の関連イベントが実施される予定だ。GSE本体と各地のサイドイベントを通じて、国内外のスタートアップ、投資家、事業会社、行政・支援機関などがつながる機会が広がりそうだ。

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