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画像がリンクに、言葉が香りに デジタルとリアルを融合する先端研究

CEATEC 2026 ネクストジェネレーションパーク探訪(2)

特集
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 フィジカルAIへの注目が高まるなか、デジタルとリアルの世界をどうつなぐかも、重要な技術テーマになっている。

 CEATEC 2026のネクストジェネレーションパークでは、画像そのものをリンクに変える技術や、言葉を香りに変える嗅覚ディスプレイ、レンズを使わずに細胞を観察する半導体チップなど、情報の伝え方や捉え方を変えるユニークな技術が展示されていた。

2次元コードはもういらない? 画像そのものがリンクになる

 パンフレットからウェブサイトにアクセスするときにおなじみの2次元コード。だが、デザインによってはあの四角いコードが邪魔になることもある。

 東京農工大学の中山研究室発スタートアップ、株式会社Flybyが展示した「Luminary AR」は、画像の見た目をほとんど変えずにリンク情報を埋め込める技術だ。専用のウェブアプリを起動し、スマートフォンのカメラを掲示物やパンフレットにかざすだけで、リンク先にアクセスできる。画像そのものが2次元コードの役割を果たすわけだ。

 すでに実用化も進んでいる。東急不動産株式会社では、災害時に社員が携帯する名刺サイズの「災害対策カード」に採用。従来の2次元コードをアイコン型のマーカーに置き換え、地震対応マニュアルなどにアクセスしやすくした。また、横浜市立図書館では、動物のイラストにスマートフォンをかざすと、親子で楽しめるわらべうた動画にアクセスできるARステッカーを配布。紙のカードやイラストを、そのままデジタル情報への入口に変えている。

専用のウェブアプリでパンフレットの画像にカメラをかざすと、リンク情報が読み取れる

言葉から香りをつくり、VRで嗅覚を試す、進化する嗅覚ディスプレイ

 においをデータとして扱う技術にも注目が集まっている。CEATEC AWARD 2026の優秀賞には、太陽誘電株式会社が開発した、尿のにおいをセンサーとAIで解析し、がんの兆候を捉える技術が選ばれた。

「CEATEC AWARD 2026 優秀賞」を受賞した、太陽誘電の「においセンシング×AIのがん早期発見」の展示

 東京科学大学 中本研究室の展示では、逆にデジタル技術で香りを再現する「嗅覚ディスプレイ」を使った2つのデモを体験した。

 ひとつは、香りの出るVRゴーグルを装着して遊ぶ、香り当てゲームだ。最初にかいだ香りを記憶し、VR空間に現れる複数の香りの中から同じものを探し当てる。香りをかぎ分け、記憶をたどるという体験が、認知機能の維持・改善につながる可能性があるという。研究チームの発表によると、高齢者30人を対象とした実験では、ゲーム体験後に一部の認知テストの成績が向上したという。将来的には認知症予防への応用も期待されている。

VRゴーグルには香りを送るチューブがつながっており、VR空間に合わせて香りが放出される仕組み

VRゴーグルとチューブで接続された香り発生装置。VR空間の体験に合わせて香りを送り、嗅覚を使ったゲームを楽しめる

 もうひとつは、生成AIを使って言葉から香りをつくる装置だ。話しかけた言葉のイメージに合わせて、20種類の「香りのもと」を調合する。実際に「海の香り」と話しかけてみると、さわやかな香りが漂ってきた。映像や音声のように、香りも言葉から自在に生み出せるようになると、デジタルコンテンツの表現もずいぶん豊かになりそうだ。

話しかけた言葉のイメージに合わせて、20種類の「香りのもと」を調合し、ファンで香りを送り出す

顕微鏡からレンズが消えた半導体チップで細胞観察

 顕微鏡といえば、レンズで小さなものを拡大して観察する装置だが、その常識を変える技術を展示していたのが株式会社IDDKだ。

 同社が開発した「MID(Micro Imaging Device)」は、レンズを使わずに微細なものを観察できる半導体センサー技術。光を感知する素子をメッシュ状に配置したチップの上にサンプルを載せるだけで、顕微画像を取得できる。ピント合わせも不要で、4.7×3.2ミリの広い範囲を一度に観察できるのが特徴だ。

サンプルをチップ上に載せるだけで顕微観察ができる顕微観察装置「MID-CORE One」

 レンズがないため装置を小型・軽量化でき、研究室の外へも持ち運びやすい。水質調査などのフィールドワークのほか、すでに歯科用顕微観察装置「バイオルミナ」にも採用され、口腔内の細菌を患者に見せながら説明する用途に使われている。

MIDを搭載した歯科用顕微観察装置「バイオルミナ」

 さらにIDDKが目指すのは、宇宙でのバイオ実験だ。ブースには、宇宙を研究フィールドとして活用する「LVNS SPACE PROJECT」のポスターも掲示され、共同研究のパートナーを募集していた。同プロジェクトは株式会社リバネスが主催し、IDDKも運営パートナーとして参画。小型の観察装置を生かし、人工衛星などを利用した宇宙実験の基盤づくりを進めている。

 大きな顕微鏡を持ち込めない場所でも、細胞や微生物を観察できる。レンズをなくすことで、顕微鏡の活躍の場は地球の外にまで広がりそうだ。

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