経済成長とWell-beingを産学連携で加速する WE ATが仕掛けるエコシステム
「WE AT CHALLENGE 2025」レポート
一般社団法人WE AT(ウィーアット)は2025年11月27日、グローバルピッチコンテスト「WE AT CHALLENGE 2025」を東京有楽町のTokyo Innovation Base(TiB、東京都千代田区)で開いた。WE ATは社会課題を解決するイノベーションを創出しようと、産官学の連携で2024年5月16日に設立された、まだ若い組織だ。Well-being(ウェルビーイング)に焦点を当て、その実現に挑戦するスタートアップを支援している。
Well-beingを実現するスタートアップを育成
WE ATは大学の「知」と大企業の「実行力」でスタートアップのエコシステム構築に取り組んでいる。発起メンバーの3大学には東京大学、東京科学大学(東京工業大学と東京医科歯科大学が2024年10月1日統合)、京都大学が名を連ねる。
一方、大企業は、株式会社博報堂、住友生命保険相互会社、キヤノンマーケティングジャパン(キヤノンMJ)株式会社、また東大が16年に設立した投資事業会社の東京大学協創プラットフォーム開発株式会社(東大IPC)も発起人として当初から参画した。
その後、京都大学イノベーションキャピタル株式会社、日産自動車株式会社、三井住友信託銀行株式会社、三菱電機株式会社、パナソニック ホールディングス株式会社、株式会社三井住友銀行、株式会社TBSホールディングス、アビームコンサルティング株式会社が加わり、12企業が2025年11月時点で参画している。
WE ATが大学と大企業の取り組みになったのは、スタートアップの技術に、大学の先端知や大企業の事業開発と市場開拓のノウハウを掛け合わせてソーシャルイノベーションを創出するためだ。社会課題をこれまでにはない方法で解決し、健康的な社会生活を送るWell-beingを実現する。
WE ATが目指すのはWell-beingを実現するスタートアップを育てることであり、そうしたソーシャルイノベーションを創出するエコシステムを作り上げることにある。東京証券取引所の上場を暗にゴールとするような起業ではなく、最初から世界を視野に入れる「Born Globalスタートアップ」を日本から起こすと目標は高い。
WE ATの事業を整理すると、まずは社会課題を解決する技術をもったスタートアップを発掘し、産学官のネットワークで幅広く支援することにある。東京都のスタートアップ支援拠点のTIBとJETRO(日本貿易振興機構)を戦略パートナーに、起業家の育成や事業開発、グローバルな市場開拓を後押しする。
一方で、大学の知見を生かした関連分野の調査研究や情報発信にも取り組み、Well-being分野のエコシステムづくりを進めていく。
核になった東大と博報堂、住友生命、キヤノンMJ
WE ATの設立前から東京大学、博報堂、住友生命各社はそれぞれ連携していた。WE AT共同代表理事(博報堂執行役員ミライデザイン事業ユニット長)の吉澤到氏は「博報堂は早くから東京大学とスタートアップのエコシステムに取り組んで来た」と話す。
2004年の国立大学法人化から東京大学はスタートアップの育成と支援に着手。2021年時点で東大関連スタートアップは400社を超えた。さらに同年の新方針「UTokyo Compass」で目標を700社に引き上げ、600億円規模のファンド創設やグローバルに活躍できるスタートアップの育成を掲げた。
ただ「大学発ベンチャーの育成」のアプローチだけでは、必ずしも若い学生が指向する社会課題解決型の企業育成にならない課題感があった。そこでOECD(経済協力開発機構)が提唱する経済成長だけではないWell-beingへのアプローチを模索。経済目線の売上や事業成長では測れないWell-being重視のアプローチにも乗り出した。
一方、博報堂は、広告を超えた新事業開発のため「ミライの事業室」を2019年に設立した。「生活者発想」と広告事業で培った「クリエイティビティ」に幅広い産業とのネットワークを生かし、アカデミズムを核にしたスタートアップの育成と支援の仕組みづくりで東京大学と連携していた。2021年4月には東大IPCが組成するファンドに出資を決めた。
また、生保としてWell-beingやヘルスケア領域で新規事業創出を目指す住友生命は、2020年11月にCVC(コーポレートベンチャーキャピタル)を設立し、東京大学とJETROが2021年6月に包括的連携推進協定を提携して発足した東京大学未来ビジョン研究センターの「スタートアップエコシステム研究プロジェクト」に協力し、世界を視野に入れたスタートアップの育成を研究した。
さらにキヤノンMJは、社会課題を解決する新事業創出する専門組織「R&B推進本部」を設け、2024年1月に100億円規模のCVCファンドを設立。「個人の視点(Well Being)」と産業の視点「(Business Transformation)」の2つの分野を重視するオープンイノベーション推進の観点からWE ATに参画した。産学の連携でまだこの世にない「Well Being産業」を実現する目標を掲げる。
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