メルマガはこちらから

PAGE
TOP

【熱狂のキックオフ】「補助金目当てなら出ていってほしい」――令和8年度「ICTスタートアップリーグ」が本気で仕掛ける”推し活”と最強の伴走支援

「ICTスタートアップリーグ キックオフイベント」レポート

特集
ICTスタートアップリーグ

提供: ICTスタートアップリーグ

 スタートアップの成長を加速させるのは、単なる資金か、それとも「人」か。

 2026年度、昨年の2倍となる全国574件の応募から、厳正な審査をくぐり抜けたICTスタートアップリーグの令和8年度における採択者50者が発表された。

 しかし、この場に漂っていたのは、補助金を獲得した安堵感ではなく、次なる成長へのヒリヒリとした熱気だった。

 本プログラムが目指すのは「官民一体となって、スタートアップの成長に必要な支援と競争の場を提供する」ことだ。単なる資金援助にとどまらない、本プログラムの異例とも言える「本気度」をお届けする。

スタートアップリーグ運営会合メンバーや選考評価委員、令和8年度採択者

ICTスタートアップリーグ運営会合メンバーや選考評価委員、令和8年度採択者

審査の裏側は激しい「推し活」!?

 本プログラムの審査プロセスは、一般的な「点数をつけて上から選ぶ」方式とは一線を画す。選考に関わった運営会合や選考評価委員たちが口をそろえて語ったのは、審査の圧倒的なカロリーの高さと、委員同士の激しい議論だ。

●昨年度の2倍となる応募者を対象に、膨大な時間をかけて選考を実施
●最終審査では「これを推したのは誰だ」と名指しされ、そのスタートアップの可能性を熱弁して他の委員を納得させなければならない
●「あっちを選ぶならこっちも選ぶべきだろう」といった激しい議論が交わされた

 ICTスタートアップリーグ運営会合長の福田正氏は、「このスタートアップリーグのすべては一言で言えば『推し活』」と断言する。

 採択されたスタートアップは、厳しい評価委員の誰かが熱烈に「推した」結果としてそこに立っているのだ。

 そして福田氏は、スタートアップに向けてこんな言葉を投げかけた。

 「補助金を得ることが目的でここに座っている人がいるならば出ていってほしい」

 国からの補助金は、世界へ出て資金調達し、ネットワークを構築するための「練習」に過ぎない。

 本質は、その先の事業の成功にあるのだ。

ICTスタートアップリーグ運営会合長 福田正氏

ICTスタートアップリーグ運営会合長 福田正氏

スタートアップの課題を突破する”最適な伴走者”をAIが導き出す!

 今年度、業務実施機関として伴走支援を提供する株式会社みらいワークスは、かつてない伴走支援体制を発表した。

 同社に登録する約9万7000名のプロフェッショナル人材の中から、スタートアップ支援に手を挙げた厳選された人材を1on1の伴走支援者としてマッチングさせるというのだ。

 キックオフの場では、開発中のAIマッチングシステムの実演が行われ、会場を沸かせた。

●「日米のスタートアップに詳しい戦略コンサルタントで、技術経営に精通する人材」をAIで検索すると、即座に条件に合致するプロ人材が画面に表示される
●さらに「0→1での事業企画推進、大手企業のアライアンス構築が得意な人材」を検索し、最適な候補者を提示

 驚くべきことに、検索結果として表示されたプロ人材本人が会場に駆けつけており、その場でマイクを握って自身の圧倒的な経歴をアピールするというサプライズも展開された。

 資金調達、海外展開、大企業とのアライアンスなど、スタートアップが抱える課題に対し、自社専用の伴走支援者を直接見つけ出せる環境が提供される。

業務実施機関である株式会社みらいワークス代表取締役社長の岡本祥治氏(左)と総務省国際戦略局技術政策課の野間邦夫氏(右)

業務実施機関である株式会社みらいワークス代表取締役社長の岡本祥治氏(左)と総務省国際戦略局技術政策課の野間邦夫氏(右)

「魚の会社が、熊のDNA解析へ!?」継続採択者が語る、容赦なき”バリューアップ”のリアル

 本キックオフの主役は、もちろん採択者たちだ。

 イベント中盤では、今年度採択された50社が次々とマイクを握り、30秒間で事業紹介とICTスタートアップリーグへの期待を語った。

 医療AIから宇宙空間インフラに至るまで、次々と飛び出す規格外のスケールと起業家たちの熱量が会場を圧倒した。

 だが、このリーグの真の凄みを知るには、「継続採択」として選ばれた先輩スタートアップたちのリアルな声を聞くのが一番早い。

 彼らの口からは、単なる支援を超え、事業を成長させる”ブースター”となったエピソードが次々と飛び出した。

■ 取扱件数が3,000件から4万件へ激増! 柔軟すぎるプログラムの恩恵

 あるオンライン紛争解決プラットフォームを提供する起業家は、この1年での爆発的な成長を報告した。

 「昨年採択されたタイミングでは取扱件数は3,000件でしたが、この期間しっかり推していただいた結果、4万件を超えるまでに成長しました」

 その起業家がリーグの最大の特徴として挙げたのが、「プログラム自体が固まっていない柔らかさ」だ。

 急遽「バリューアップセッション」なるものが開催され、そこに飛び込むと、一流のプロフェッショナルたちから事業モデルを”バキバキに”される(鍛え上げられる)という。

 そのフィードバックこそが、圧倒的な成長の糧になったと語る。

■ メンタリングでまさかの大ピボット! 「魚の会社」が「熊の会社」へ

 福井県から参加したスタートアップの告白は、会場の驚きを誘った。

 「我々はもともと『魚』の会社だったんです。しかし、バリューアップセッションでブレイクスルーしすぎまして、なぜか『熊のDNAを調べる会社』に変えられました(笑) 」

 バリューアップセッションを通じて、プロフェッショナルたちに事業の解像度を極限まで高めてもらった結果、全国のメディア30社から取材を受けるほどバズり、今では大手企業や自治体からの大型受注が舞い込む状態だという。

 「今年度末にはメジャーに行くか、会社名が変わるぐらいのブレイクスルーを果たしたい」と意気込んだ。

■ 「推されている」という事実が、起業家の孤独を救う

 投資家からの評価が難しく不確実性の高い「終活」領域に挑む起業家は、このリーグの精神的な価値を強調した。

 「誰かが応援してくれている、推してくれていると目に見えてわかる状態で走り続けられるのは、すごく心強い。それがあるから、つらい時も踏ん張れる」と語った。

 事業計画の数字だけでは測れない「起業家の熱意」を、リーグ全体で全力で支える。これこそが、ICTスタートアップリーグの最大の価値なのだ。

ICTスタートアップリーグ継続採択者たち

ICTスタートアップリーグ継続採択者たち

リーグを飛び越え、制度を使い倒せ――総務省・特許庁が提示する「スタートアップ支援の引き出し」

 イベントでは、本プログラムの枠を超えて、スタートアップがさらに事業をスケールさせるために活用すべき、国(総務省・特許庁)の強力な周辺施策も紹介された。これらは採択者限定の特権ではないが、成長速度を何倍にも跳ね上げるための強力な武器となるものばかりだ。

総務省が提供する成長・海外展開へのアプローチ

起業家万博:
創業3年未満のICTスタートアップを対象としたビジネスプランコンテスト。地域予選を勝ち抜いた企業は、一流メンター陣(さくらインターネット・田中社長、JIG-JP・福野氏など)のブラッシュアップを受け、総務大臣賞を目指すことができる。
ローカルスタートアップ枠(海外展開支援):
デジタルソリューションの海外展開(案件発掘・提案・形成)を目指す企業に対し、1件あたり原則1000万円の範囲で、満額(自己負担なし)でサポートする実証事業。7月初旬から第2回公募を予定。
デジタル海外展開プラットフォーム:
入会金・年会費無料で、国際機関の入札情報提供やワークショップ、名刺交換会などのコネクション作りの場を提供。

特許庁が仕掛ける圧倒的な「知財・権利化」バックアップ

知財専門家の派遣(IPAS等):
専門家を派遣し、知財をいかにビジネスに落とし込むかを約5ヶ月間にわたり伴走支援。また、ベンチャーキャピタル(VC)へ専門家を派遣し、投資判断における知財の評価体制も整備している。
スーパー早期審査制度:
通常は最終処分までに24ヶ月程度要するところを、わずか5ヶ月(1次審査までは1か月未満)にまで短縮して権利をお届けする。
手数料の3分の1減免&外国出願補助金:
審査請求料や特許料、国際出願手数料が3分の1になる制度や、外国出願にかかる補助金窓口を都道府県単位で設置している。

不確実な未来へシュートを決めろ。答えのない問題集に挑むスタートアップの挑戦

 今年度の採択者の傾向について、運営会合メンバーの一人である京都大学の原田博司氏は「単なる技術からの起業というよりも、技術をどうすればさまざまなアプリケーションが依存・共存する『プラットフォーム』にできるか、という方向性に変わってきている」と分析する。

 しかし、前例のないプラットフォーム作りに「正解」など用意されていない。福田氏は、これからのリーグのあり方をこう語った。

 「日本の教育は答えを覚えることをやってきたが、スタートアップに答えなんかあるわけがない。このリーグが、答えのない問題集みたいなものになってくれればいい。自分にとって目指すべきものは何なのか、その答えを見つけるための『質問』を作れればいい」

 答えのない問いに対し、自ら問いを立て、官民一体の強力なバックアップのもと、9万人規模のプロ人材の中から自らが選んだ「頼れるキャディ」とともにこれから走り出す採択者たち。最後に総務省のスタートアップ支援室室長の佐藤司氏は熱いエールを送った。

 「キックオフをしたら、ボールを見るんじゃない。すぐにボールに集まってシュートを決めに行く。それぐらいのスピード感で、この伴走支援をガツガツと使い倒していただきたい。そして年度末には、成功事例として教科書に載るような活躍を期待しています」

 強力な「推し」の熱量と、国や民間が一体となった最強のバックアップ。これらを武器に、日本の、そして世界の未来を塗り替えるプラットフォーマーへと飛躍する採択者たちの熱い戦いは、今まさにキックオフされた。

イベント後の交流会では活発なネットワーキングが行われた

本記事はアフィリエイトプログラムによる収益を得ている場合があります

合わせて読みたい編集者オススメ記事

バックナンバー