上質なインテリアと最新技術てんこ盛りのコックピット
ドアを開けるには、専用のカードキーをBピラーに当てる、または“おむすび型”のワイヤレスキーを近づけると、ドアノブが飛び出してくる。
一方、物理的なキーがないので、バッテリーが上がったらどうするのかが気になるところ。何か対策しているだろうが。
ドアがピラーまで覆っていることに気づいた。これは雨などでボディーが濡れている時、ロングスカートの裾が濡れづらいという配慮だろう。
ドアを見て気づいたのが、前席だけでなく後席も遮音性に効果の高い貼り合わせガラスを採用していた。そして英国KEFの同軸ユニットが目に飛び込んできた。KEFは60年以上にわたりホームエンターテインメントでは知られた存在だが、カーオーディオは初。ラグジュアリー初のロータスと相まって初物同士の組合せだ。
今回取材するエレトレRの車内は、スエード調レザーに赤いステッチというスポーティな雰囲気で満ちている。六角形のステアリングホイールと、巨大なセンターディスプレイが目を引く。ディスプレイは15.1インチの有機ELで輝度が高く明るい場所でも見やすかった。
使ってみると、どこかテスラを思い出す。そういえばテスラの最初に車両「ロードスター」はロータスの車両をベースにしていた。その関係が今も続いているのかと思ったが無関係とのこと。ちなみに、OSの名前はLOTUS Hyper OSと名付けられている。「ロータスにこのような技術力があったのか」と感心させられた。
USBポートはすべてType-Cで、運転席側がアームレスト内部に2ポート、後席側が座面中央部に2ポート備える。車両とつながるのはアームレスト内部の助手席側で、Apple CarPlayとAndroid Autoに対応する。
走行モードは数多く、エレトレRにはトラックモードも用意されていた。選択するとESCオフと表示されるほか、残走行距離も一気に減る。さらにスポーツモードとトラックモードではシートのサイドプロテクターが膨らみサポート力がアップする。
そのモード切替はステアリングホイール右手側のパドルスイッチで行なうのが目新しい。パドルスイッチはバタフライタイプで、上側と下側でサイクリック(繰り返し)動作する。
天井面は透明/不透明の切り替えが可能な、インテリジェントパノラミックガラスルーフが装着され解放感たっぷり。
後席も広く、床面はほぼフラット。座面も広く、家族はもちろんのこと、取引先の上役などVIPから文句のひとつも出ないことだろう。
後席はリクライニング機構があり、センターコンソールの液晶ディスプレイで調整可能。リクライニング機構を動かすと、荷室のプライバシートレイが少し動いていることがわかった。「ここまでやるのか?」「本当にロータスなのか?」と良い意味で驚かされる。とても初めてラグジュアリーカーを作ったとは思えない仕立てで、他車をかなり研究したことと、優秀なエンジニアが在籍していることをうかがわせた。
とんでもないパワーだが走りはスマート
エレトレは二面性のあるクルマだ
試乗車は900馬力を超えるスポーツグレード。BMWのXMレーベルのような硬さがあるのでは? と覚悟した。だが街乗りはわずかに芯の硬さを覚えるものの、しなやかな乗り味。一言でいえば極上で、ライバルたちに対して一歩も引けをとらない。ドイツのライバルたちほどの剛体感は薄いのだが、それゆえにクルマ全体で振動を吸収していると印象を受けた。
アクセルペダルはワンペダル動作にも対応。ステアリングホイール左手側のパドルスイッチで回生が4段階まで調整ができる。街乗りでは便利そのもの。ADASもしっかりしており、車線をはみ出せばパワーステアリングでグイッと戻そうとするし、高速道路では車線監視機能付きアダプティブクルーズ(前走車追従)が実に優秀。ライントレース機能がすこぶる高い。
運転しながら気づくのは、シートポジションの良さ。ヒップポイントが深く、少し足を伸ばすような、ちょっとレーシーなポジション。乗用車っぽくないので、長時間ドライブもラクだろう。
圧巻はワンペダル動作状態でのスポーツモード。アクセルペダルの加減で、並みのスポーツカーは裸足で逃げ出すほど、とんでもない加速をみせる。直線番長だと思いきやとんでもない。大型SUVとは思えないほどグングン曲がる。普段乗りは快適、アクセルを踏めばとんでもなく速い。電気の力を思い知るとともに、ライバルにはない魅力に虜になった。
良いモノを良いと見抜ける人に(ロータスは)オススメできる
ラグジュアリー市場に舵を切ったロータス。「こんなのロータスじゃない!」という気持ちもわからなくもない。だが、その実質第1弾といえるSUV・エレトレは、ラグジュアリー市場を研究し、そして見事な答えを導いてきたように感じた。
そして、ただ豪華装備にしたのではなく、運転の楽しさを与えた。ドイツのライバルたちではなく、ロータスを選ぶ価値は確かにあるし、価格的満足度はかなり高いと断言する。
ブランド力ではジャーマン・スリーに及ばないものの、ドライバビリティーの良さ、使い勝手の良さに軍配を挙げざるを得ない。名前ではなく、真に良いものを手に入れたい人にオススメしたい1台だ。これからのロータスに注目したい。
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