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実証実験から売上につなげるには 時間が課題のスタートアップの悩みを解決

CEATEC 2023「アビームコンサルティング×ASCII STARTUP スタートアップピッチ&オープンメンタリング」セッションレポート

連載
IoT H/W BIZ DAY 2023

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企業と連携して脳情報を活用した新ビジネスを開拓「Works with XHOLOS」/株式会社CyberneX

株式会社CyberneX 代表取締役CEO 馬場 基文氏

 最初の登壇者は、株式会社CyberneX 代表取締役CEO 馬場 基文氏。株式会社CyberneXは、富士ゼロックス株式会社(現、富士フイルムビジネスイノベーション株式会社) から脳情報関連チームがスピンアウトしたスタートアップ。富士ゼロックスの脳研究技術開発に関する知財をすべて保有し、特許90件以上を国内外に出願しているのが同社の強みだ。

 世の中ではDX化が進み、さまざまなデータの活用が始まっている。最近は AIを通じてサービスが高度化する状況が加速している。さまざまなサービスは、人々の行動データを分析して開発されるようになってきたが、行動の裏付けである人間の内面データは活用されていない。CyberneXは、人の動機や思い、無意識といった内面データにアクセスすることで得られる価値を開拓し、人間理解の促進を提案。具体的には、集中、リラックス、眠気、疲労、ストレスなどのデータを収集、活用し、人々をウェルビーイングな状態にするサービスを展開している。

 日常生活における脳情報には、人間の内面データが豊富に存在しているという。同社は、既に開発したイヤホン型デバイス「XHOLOS sounds」に加え、今回のCEATEC2023では片耳貼り付け式モデル「XHOLOS Free」をリリースしており、様々なユースシーンで、脳情報を簡単に活用できるように開発を進めている。

 XHOLOSで取得した脳データを活用した例として3つの事例を紹介。1つは、人のリラックス状態にフォーカスして、自分に合う商品やコンテンツをレコメンドするサービス。2つ目は、リラックス状態をライトの色で表現してリアルタイムに可視化することで、以心伝心できるリラクゼーションサロンの事例。3つ目は、自分の脳の活性状態(集中)と鎮静状態(リラックス)を可視化し、ライフログとして記録するアプリだ。

 現在は、企業向けの脳情報活用支援事業「Works with XHOLOS」として、実験設計から商品サービスローンチまで一気通貫のトータル支援サービス、汎用ソリューションパッケージ提供――の2つを展開し、多くの企業や大学へ導入されている。今後は、リラックスに加え、眠気や集中の指標など複数のニーズに応えられるソリューションを開発して事業を拡充し、2027年のIPOを目指している。

 ピッチ後のメンタリングでは、吉田氏から「XHOLOSのデバイスは手軽だが、一般の方は脳情報を計測するメリットをイメージしづらいかもしれない。ユーザーには何を気づいてほしいという思いがあるか?」と質問。馬場氏は、「今は日常では自分の脳の情報を活用できていない状態。まずは脳の情報から自分の状態を知り、日常生活をより良くしていくのが第一ステップ。データの蓄積が進めば、次世代のヘルスケアのサービスに活かすなどの事業の拡張を考えています」と答えた。

 IPOの準備として、売上高を伸ばす必要がある。馬場氏は悩みとして、「脳情報活用は未知のビジネス。脳情報を活用したビジネスの可能性を探るために、自社サロンを開業した。そこで培った技術アセットを企業に提供して拡大を狙っているが、活用するサービスを開拓しながら、同時にビジネスをしていかなければならないのが厳しいところ」と相談。吉田氏は、「Works with XHOLOSは価格設定も手ごろなので、早くユーザー企業に選んでいただき、従業員の健康管理などさまざまなビジネス活用が広がるといい。実証実験に留まらず、事業化を前提としたパートナーを設定するなど、戦略的な取り組みを検討しては」とアドバイスした。

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