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新清士の「メタバース・プレゼンス」 第20回

ChatGPT(GPT-4)がすごすぎる シンギュラリティも近い?

2023年04月07日 09時00分更新

文● 新清士 編集●ASCII

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「なぜすごいのか」はまだわかっていない

 GPT-4は、何を言っても何でも返してきて、エビデンスもしっかり示してきて、日米の宗教的な違いまで語ってくれる。これは本当にすごいことです。GPT-3のときはこのあたりを聞いてもウソばかり言っていたので、とても信用にならなかったんですね(※ハルシネーション=幻覚と呼ばれる)。GPT-4ではハルシネーションが抑えられるとともに、データの量が増えて精度が上がったということではないかと思います。

 ただ、入力データが多いほど出力データの品質が上がるのはなぜなのかという原理は、まだよくわかっていないとされています。2010年代に急激に強くなった将棋AIの世界でも同じことが起きていて、人間が考えつかなかったような有効な手をAIが打つようになったとき「なぜその手をAIが選択するのか」という原理がわからなかったんですね。逆に言うと、それはこれからの研究がすごく面白いところだと言えそうです。

 GPT-4は現在、月20ドル(約2600円)の「ChatGPT Plus」に加入することで利用できます。アクセスが集中したため、3時間に25回しか応答ができないという制限が課せられていますが、いずれは制限なく話せるようになるでしょう。しかし、その制限のある利用の中であっても、人間の社会のあり方を大きく変える存在になることだけは、今でもはっきりと感じることができます。

 

筆者紹介:新清士(しんきよし)

1970年生まれ。株式会社AI Frog Interactive代表。デジタルハリウッド大学大学院教授。慶應義塾大学商学部及び環境情報学部卒。ゲームジャーナリストとして活躍後、VRマルチプレイ剣戟アクションゲーム「ソード・オブ・ガルガンチュア」の開発を主導。現在は、新作のインディゲームの開発をしている。著書に『メタバースビジネス覇権戦争』(NHK出版新書)がある。

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