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イタルデザインのEVデロリアンも ソニー、ホンダ、BMWがCESで魅せたモビリティ

CESはどこに向かうのか? FutuRocket美谷広海氏の「CES 2023」レポート前編――モビリティ関連やスタートアップにフォーカス

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変化するCESはどうなる?

CESのメイン会場であるLVCCとその前の駐車場スペース。今年は画像のさらに右側にあるSouth Hallが使用されておらず駐車場スペースでの展示もかなり余裕がある状況だった

 世界最大の家電見本市として長年「Consumer Electronics Show」として知られてきたCESを主催するCTA(Consumer Technology Association、全米民生技術協会)が、「CESはCESであり、もはや家電の見本市ではない」として近年、モビリティ関連の企業や、スタートアップ企業に大きくフォーカスするようになってきたのはある種、自然な流れだったように思う。

 スマートフォンがより高機能化していくことで、オーディオ製品やカメラ関連製品など多くの製品がスマートフォンに代替されていってしまったからだ。

 一方で今回、多くの自動車関連企業が出展していたものの、2020年にCESでスマートシティー「Woven City」建設を発表し注目を集めたトヨタだけでなく、日本の大手自動車メーカーは出展していない。自動車関係の展示会であれば、モーターショーのほうが網羅的に多くの企業の展示をみることができ、商談を行うことが可能だろう。

 VR、ARに関しても同様で、CESよりもゲーム関連の展示会「E3」、そしてもしかしたら音楽やテクノロジーなどの複合フェスティバルである「SXSW」のほうが、より多くの業界のキープレイヤーが参加しているかもしれず、そうなるとCESはどの分野や領域のイベントとして存続していくかが問われていくことになる。

アイスの展示もあり!地球に優しい未来のスイーツ

動物由来の乳成分を一切使っていないアイス

 韓国財閥のSKグループは、牛乳など動物由来の材料を一切使用していないサステナブルな食品を試食できる展示を行っていた。確かにこれは未来への提示、イノベーションへの取り組みとしては面白いし、Food TechもCESの中で今後増えていくテーマだろう。新製品やイノベーションに関心がある人が多く訪れるCESは、アピールの場として持ってこいだ。

 一方でCESをビジネスの場、商談の場として考えると、こうした自動車関連や電化製品とは無関係なサービスと製品の取り組みは、一般的な小売店にとってはあまり関係ないところだろう。筆者は、2015年から9年間連続して、CESに参加してきているが、ここ数年、世界中から来ているバイヤーの数が減少してきていると感じている。

 もっともこれはアメリカでいえば、ラスベガスにも店舗があった電化製品販売チェーン店「Fry's Electronics」が数年前に全店閉鎖したように、製品の流通が直販やAmazonなどEコマース企業による寡占化が進み、そもそもの取り扱い製品ジャンルが減ってきていることによる影響もあるのだろう。

 また多くの商談は展示会場内ではなく、ホールを貸し切ったボールルーム内や、ホテルのスイートルーム内で行われていたりするため、こうした場でのバイヤーの動きがみえてこないということもあるのかもしれない。

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