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サスティナブル塗箸でグローバル展開など5社 熱量高い福井ベンチャーピッチ

「第8回 福井ベンチャーピッチ」レポート

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 福井県ではコロナ禍が始まる前の2017年から、県内のベンチャー企業の成長を支援する「福井ベンチャーピッチ」が実施されている。2022年11月17日に行われた福井ベンチャーピッチは今回で8回目を数えるイベントで、福井市にぎわい交流施設 ハピリンホールの会場とオンライン参加合わせて300名を超える聴講者を集めるまでの規模となった。比較的小さな県であるにもかかわらずのこの成果は、福井県並びに主催である公益財団法人 ふくい産業支援センターが大きな熱量を持って取り組んでいるためだ。地方のスタートアップ創出イベントを代表する存在へと拡大してきた福井ベンチャーピッチの様子を紹介する。

福井県知事 杉本達治氏が目指す福井の未来

 ピッチセッションのレポートの前に、福井県知事の杉本達治氏が登壇。

「県内の若手経営者や学生と話をしていると、福井県の外からきて福井県で起業している人も多く、なぜかと聞いたら素晴らしいコミュニティがあるからという答えが返ってきた。そこでは厳しいことも言われるが、親身になってアドバイスしてくれるし、なにより本気で若者を育てようとしてくれている。だから福井で起業したと言われた。

 福井は進取の気質を持っている。先に行った人がお金や経験や技術を次の人につないでいく福井型のエコシステムが育ってきている。その意味で福井ベンチャーピッチの意味は大きい。登壇する企業のビジネスに対してだけでなく、福井のエコシステムにとっての影響も大きく、注目度も高まってきている。今後さらに発展するよう支援していく」

福井県知事 杉本 達治氏

 福井ベンチャーピッチは福井県に内在するエネルギーの発露と見做すことができる。人口が70万人台と小さな福井県がこのようなイベントを継続していくためには、福井が抱える課題や変化をためらう地元経営者を丁寧にケアするだけでなく、ある種の力強さをもって牽引する存在が不可欠であろう。

 そして杉本氏は福井ベンチャーピッチに更なる成長を求めている。

「今後はモノを作るだけでなく新たな価値を創造すること、そのためにここ(福井ベンチャーピッチ)に登壇したい人たちのすそ野を拡げていきたい。そしてIPOという高みを目指す人たちや女性の活躍の場も拡げていかなくてはならない。そういった重層的で多様な社会を生み出していきたいと考えている」

 それでは今回登壇した企業5社によるピッチセッションと、トークセッションの様子を紹介しよう。

地方の短期労働需要と若者の旅行資金不足をマッチングする
株式会社おてつたび

 ピッチセッションで最初に登壇したのは、株式会社おてつたび代表取締役の永岡里菜氏だ。

株式会社おてつたび 代表取締役 永岡 里菜氏

「おてつたび」は人手不足に悩む地方の事業者と、旅行に行きたいが金銭的な余裕がなく断念する若年層をマッチングするサービスだ。若者が旅行先で事業者のお手伝いをする代わりに旅費の一部を事業者から獲得することで、事業者は短期の労働力を安価なコストで確保し、若者は臨時収入を得るというWin-Winモデルとなっている。

 おてつたびは事業者と旅行者が金銭的なメリットを得るだけではない。おてつたびは一次産業や観光業などとの相性が良く、それらはそこに行かなくては体験できない。つまり若者はお金だけではなく特別な体験を得ることができる。金銭的メリットとユニークな体験の2つのメリットにより、案件に比べて申込倍率が非常に高い状態が続いている。

 一方、地方の事業者は若者が一定期間滞在して地元を知ってくれることになり、その後の地元物産の購入につながったり、地域への就労や移住への期待も生まれてくる。登録と掲載は無料で、マッチングが成立したときのみマッチング費が発生する仕組みであるため、事業者への負担は非常に小さい。

 おてつたびは短期人材雇用のための管理システムを整備しており、雇用契約の締結や労務管理などをすべてシステム内で完結させることができる。これまでバイトやパートの管理が負担になっていた事業者のDX化を促進し、手間やコストを軽減する仕組みとして機能している。

  現在の課題は申込者の増加に対しておてつたび受け入れ事業者の数が少ないこと。今後は自治体や農協、地銀などと連携して北陸地域のおてつたび受け入れ事業者の拡大を図りたいとしている。

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