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生臭坊主と言わないで。お寺の多角経営が進んでいる

特集
世界に挑むICTスタートアップリーグ 成功への道

 御朱印ブームが落ち着いた昨今、お寺では音楽ライブやマルシェの開催、カフェ、ホテル経営など、多角化が進んでいる。人口減少による檀家離れに悩む寺院は、生き残りをかけて存在意義を模索しているようだ。ICTスタートアップリーグに採択されている株式会社TERA Tech Inc.は、こうした取り組みを後押しするため、寺院向けのマーケティング講座を実施している。

 2024年12月に東京多摩教区智山青年会で開催されたマーケティング講座には、10名の若手僧侶が参加し、DXによる顧客満足度の向上や、新規顧客を獲得するための戦略を学んだ。講師を務めたTERA Tech Inc.代表の森篤史氏は「寺院はデジタル技術やマーケティングの現況から離れすぎている。まずはこれらを理解してもらうことが重要」と話す。同社を通じてホームページやSNSによる広報活動を行っている寺院では、イベントの申し込み数が増加し、法事の収入も増えているそうだ。

寺マーケティング講座の様子

 お寺の多角化を不謹慎という声もあるが、古くからお寺は寺子屋や市、宿坊などの役割があり、日本にお茶を広めたのもお坊さんだ。かつてのお寺は地域文化の中心であり、多角化の流れは原点回帰とも言えなくもない。檀家制度や宗教的な力は弱まっても、全国の寺院には歴史的な文化資産が数多く残っている。これらをうまく活用し、デジタルでの発信力を高めれば、新たな地域文化を創出できるかもしれない。

文:スタートアップ研究部

ASCII STARTUP編集部で発足した、スタートアップに関連する研究チーム。起業家やスタートアップ、支援者たちの活動から、気になる取り組み、また成長・成功するためのノウハウやヒントを探求している。この連載では、総務省のICTスタートアップリーグの取り組みからそれらをピックアップしていく。

※ICTスタートアップリーグとは?

ICTスタートアップリーグは、総務省「スタートアップ創出型萌芽的研究開発支援事業」を契機として2023年度からスタートした官民一体の取り組み。支援とともに競争の場を提供し、採択企業がライバルとして切磋琢磨し合うことで成長を促し、世界で活躍する企業が輩出されることを目指している。
https://ict.startupleague.go.jp/

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