特許から見るWeb3の動向
考察
ブロックチェーン自体は2008年に発明され、NFTも2014年に売買されていますので、いずれもここ数年の技術ではないものの、これらを用いた特許出願についてはようやくここ数年で出願され、登録されていることがわかりました。年を追う毎に出願件数が急増していますので、まだまだ急激に発展することが十分に予測されます。
またブロックチェーンを用いた金融システムについても、やはりここ数年で特許出願件数が急激に増加しています。ただし、DAOやDeFiといった非中央集権的技術についての特許は、検索した限りでは見当たりませんでした。DAO等についてはプラットフォームとして急激に成長している印象がありますので、数年後に同様の調査を行うと、数多くの特許が検索できる可能性があります。
Web3が掲げる「非中央集権的」というポリシーは、一見すると特許に馴染まない印象があるかもしれません。このポリシーはオープンソースソフトウェア(OSS)の考え方と親和性を持ち、OSSの世界では、特許を取得することについて疑問を持たれていた歴史が長かった経緯があります。
しかし、現在において、OSSと特許取得とは並立するものであるという認識が広まっているものと考えます(本連載の第8回においてOpen Innovation Networkをご紹介しましたhttps://ascii.jp/elem/000/004/001/4001428/)。
また、すでにご紹介した特許のように、ブロックチェーン等を用いた技術であればさまざまな特許を取得できる可能性があります。一例として、ブロックチェーンを用いた非中央集権的な金融プラットフォームについて、このプラットフォームをデファクトなものにする目的で特許取得を目指すことは、賢明な戦略であると考えます。
特許取得後にどのような活用をするかによって、特許取得とデファクトスタンダードなプラットフォームを作り上げることとは並立し得ます。従って、自社のビジネスチャンスを拡大するという観点からも、ブロックチェーン×NFT、ブロックチェーン×金融システムについて特許取得を目指すことをおすすめします。
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著者紹介:IPTech特許業務法人