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特許から見るWeb3の動向

連載
知財で読み解くITビジネス by IPTech

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国内特許の紹介

 前述した検索式①、②で検索された国内特許出願の中で、注目すべき特許をご紹介します。

①特許7137032号

発明の名称 情報処理装置及び情報処理方法
出願日 2022/03/23
出願人 KDDI株式会社

特許請求の範囲(メインクレーム)
  ポイント交換対象データと前記ポイント交換対象データの関係者とが関連付けられたポイント交換対象管理データを記憶するポイント交換対象管理データ記憶部と、ユーザから前記ユーザが関係者として前記ポイント交換対象管理データにおいて関連付けられた売却対象ポイント交換対象データを、ポイント管理装置によって管理されるポイントに、前記ユーザが指定する交換ポイント数で交換するポイント交換要求を受け付ける受付部と、前記売却対象ポイント交換対象データに関連付けてブロッチェーン上で登録された売却対象非代替性トークンに関連する関連非代替性トークンの売値である暗号資産の金額を、前記売却対象非代替性トークンを扱うマーケットから取得する取引情報取得部と、ポイントと暗号資産との間の換算を行う換算部と、前記交換ポイント数から換算された暗号資産の金額が前記関連非代替性トークンの売値である暗号資産の金額以下である場合に、前記マーケットに対して、前記交換ポイント数から換算された暗号資産の金額を売値に指定して前記売却対象非代替性トークンの売り注文を出すポイント交換制御部と、を備え、前記ポイント交換制御部は、前記売却対象非代替性トークンの売却が成立した場合に、前記売却対象ポイント交換対象データと前記ユーザとの関連付けを解消させると共に、前記売却対象非代替性トークンの売値である暗号資産の金額から換算されたポイント数を前記ユーザのポイント残数に加算する付与ポイント数として前記ポイント管理装置へ通知する、情報処理装置。

課題・目的
暗号資産を決済通貨に用いて売買されるNFTに関し、ユーザに関連付けられたNFTを元に当該ユーザにポイントを付与すること。

図面

(解説)
 ユーザがNFTをポイントで購入する、ユーザが購入したNFTに基づいてポイントを付与するという両方向の処理が書いてありますが、特許請求の範囲では、ユーザが所有するポイントを暗号資産に換算した際の暗号資産の金額が、ユーザが所有するNFTの暗号資産の金額以下である時に、ポイントを換算したときの暗号資産の金額を売値としてNFTの売り注文をマーケットに行う、という内容になっています。

 ポイントは社会に広く受け入れられていることに鑑み、このポイントとNFTとを暗号資産を介して交換するという新しい発想に基づく特許です。

②特許7133589号

発明の名称 NFTアクセス制限システムおよびNFTアクセス制限プログラム
出願日 2020/08/05
出願人 SBINFT株式会社

特許請求の範囲(メインクレーム)
  ポイント交換対象データと前記ポイント交換対象データの関係者 ブロックチェーンに記録されるNFT(Non-Fungible Token)にアクセス制限を設定するNFTアクセス制限システムであって、アクセス制限を解除するための秘密鍵を用いて、NFTに記録されているデータにアクセス制限を設定し、前記アクセス制限が設定された制限付きNFT記録データをブロックチェーンに書き込むデータサーバと、前記アクセス制限を解除するための秘密鍵を保持するアプリケーションサーバと、を備え、前記アプリケーションサーバは、前記ブロックチェーンからアクセス制限が設定された制限付きNFT記録データを取得したクライアント装置によるリクエストに基づいて、アクセス制限を解除するための秘密鍵と前記リクエストとを対応付け、前記データサーバは、前記秘密鍵および前記リクエストに基づいて、前記クライアント装置に対する認証を実行し、認証が得られた場合は、前記クライアント装置へNFTの実データの閲覧を可能とすることを特徴とするNFTアクセス制限システム。 課題・目的 NFTにアクセス制限を加えることによって、NFTに対してセキュアな制御を行なう。

 図面

(解説)
 NFTに対するアクセス制限を解除するための秘密鍵をアプリケーションサーバに格納するとともに、この秘密鍵を用いてアクセス制限をかけたNFTデータをデータサーバに格納し、クライアントからNFTデータの閲覧リクエストがアプリケーションサーバにあると、この閲覧リクエストと秘密鍵とを用いてデータサーバが認証を行い、認証が成功するとNFTデータの閲覧を許可する構成です。

 秘密鍵によりNFTに閲覧制限を掛け、この秘密鍵を用いた認証により閲覧制限がないNFTデータを生成してクライアントに閲覧を許可するという点が新規だと考えられたようです。

③特許6960493号

発明の名称 資金調達支援装置、資金調達支援方法、および資金調達支援プログラム
出願日 2020/03/16
出願人 三菱電機インフォメーションシステムズ株式会社

特許請求の範囲(メインクレーム)
 サービスを提供するための事業の実施に用いる資金の調達の依頼である資金調達依頼であって、前記資金の調達の目的である前記事業の実施の内容と、前記事業の実施を依頼する予定の実施業者と、前記実施業者に前記事業の実施を依頼した場合の見積額とを含む資金調達依頼を、前記事業の実施を希望する資金利用者から取得する調達依頼取得部と、前記資金調達依頼に基づいて、クラウドファンディングにより出資金を募集し、出資者から前記出資金を集めることにより前記資金を調達する資金調達処理を実行する資金調達部と、前記見積額に基づく前記事業の実施条件が満たされると、前記資金調達依頼に含まれる前記実施業者に、前記資金調達依頼に含まれる前記事業の実施の内容で、前記事業の実施を自動的に発注する実施依頼部とを備えた資金調達支援装置。

課題・目的 出資金を目的外に利用するといった不正を防止し、安心して支援できるクラウドファンディングの構築を支援することを目的とする。

 図面

(解説)
 クラウドファンディングにより出資を募った場合、出資金がクラウドファンディングの目的通りに使用されているかどうかを出資者は確認できません。そこで、クラウドファンディングにかかる種々の条件を詳細に規定し、さらに、出資金そのものをブロックチェーンに記録するとともに、ブロックチェーンを用いた出資証明書を出資者に発行し、さらに、事業の実施の完了通知を受け取ると、ブロックチェーンを用いて出資証明書をサービス利用券に変換して出資者にサービス利用券を発行します。このサービス利用券は、資金利用者によるサービスの提供を受けるためのものです。

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