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LINE、Zoomでは難しい現場作業のビデオ通話をDX化するクアンド「SynQ Remote」

B Dash Camp 2022 Fall in Fukuoka Pitch Arena Final

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 2022年10月19日~21日の3日間、福岡市でスタートアップ業界最大級のカンファレンスイベント「B Dash Camp 2022 Fall in Fukuoka」が開催。3日目にはスタートアップピッチ「Pitch Arena Final」セッションが行なわれ、2日目の「ファーストラウンド(予選)」に出場した16社から通過した、6社が登壇した。ファイナルには医療、建築といった人手不足が深刻な現場をデジタル、DX化するサービスを開発する企業が多く選ばれた。

優勝は開催地福岡の株式会社クアンド

株式会社クアンド 下岡 純一郎 代表取締役CEO

 「Pitch Arena」を制したのは、福岡の株式会社クアンド。現場のリモートコラボレーションツール「SynQ Remote(シンクリモート)」を提供する。「SynQ Remote」は工事現場とベテラン技術者をリモートで繋ぐことで、建設業界の人材不足を解消する。ユーザーのほとんどが通常の会議用にはZoomやTeamsを使用しているが、現場用として「SynQ Remote」を契約しているという。

 建設業界の人手不足は深刻だ。過去20年で約30%の人材が労働環境に不満を抱えて離職。有効求人倍率は介護職の1.8倍で、2030年には10万人が不足するという。さらに技術者の労働時間の30%が移動や確認に費やされている。100人の部署で平均年収630万円の場合、年間1.89億円のコストが建設工事以外で発生していることになる。

 LINEやZoomのビデオ通話では、細かい作業の指示は難しいとし、併用される背景には現場目線で開発された機能がある。「SynQ Remote」は電話帳で電話をかけるようにワンクリックで発信できる。URLの共有などは一切不要だ。現場の映像にはマウスで操作できるポインターが表示され、現場から離れた場所にいるベテラン技術者が視覚的に指示を出せる。

 また遠隔から写真を撮影して図や文字をその場で記録することができるため、指摘事項をその場で記録できる。現場の騒音環境を考慮した音声文字起こし機能もあるので、指示が正確に伝わる。利用した写真や動画は現場ごとのファイルに自動で振り分けられるため、情報の保存、共有まで「SynQ Remote」で完結する。

 2022年10月27日には、大東建託への全社導入が発表され、1500アカウントが契約された。さらに今期は、報告書の作成など現場作業の前後工程を自動化するアップデートも予定されている。

 フィールドサービスマネジメントと呼ばれるこの市場は、グローバルで現在5500億円の市場が 2030 年には 3.4兆円にもなると予測される。下岡代表取締役CEOは「現場で働くフィールドワーカーが俗人的な知識に頼ることなく、どこからでもつながり知識や技術をシェアできる現場のコラボレーションプラットフォームを目指す」と語った。

 表彰式でB Dash Venturesの渡辺代表取締役社長は「本当に接戦だった。久々に九州の企業が優勝した。来年以降、九州の会社がどんどん出てくるだろう」とコメントした。

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