CES2026、ディープテック色が鮮明に。量子コンピューティング、ヒューマノイド型ロボットに注目
「CES 2026」レポート
2026年のCESは、従来の家電や自動車の展示会という枠を超え、人類の根本的な課題を解決するディープテック企業の登竜門へと進化した。人工知能(AI)と量子コンピューティングをテーマとする新エリア「CES Foundry(ファウンドリー)」の開設、ピッチコンテストの実施など、ディープテックの最前線を示す舞台となった。
CES主催者である全米民生技術協会(CTA)は、CES Foundryを「AIと量子イノベーションのための新たなハブ」と説明する。量子技術の領域では、実用化に向けた動きが加速しており、研究段階からビジネス利用の段階に入っており、CESの対象になってきた。
量子コンピューティングシステムのカナダD-Wave Quantumは、量子コンピューティングがいかに現在のビジネスを変革しているかを紹介し、同じくカナダのSuperQ Quantum Computingは、手のひらサイズの量子・スーパーコンピューティングを展示した。
イオントラップ方式の量子コンピューティングを手がける米Quantinuum(クオンティニュアム)は中核機器の模型を展示し、一般のビジネスユーザーに対しての理解を促進する狙いだ。
量子コンピューティングの優位性は、特定の複雑な計算において指数関数的なスピードアップを実現することなどにある。各社は金融におけるポートフォリオの最適化や創薬における分子構造設計、配送ルートの最適化など、わかりにくい量子コンピューティングのビジネス利用の可能性を具体的に提示していた。
ディープテックでピッチコンテスト
ピッチコンテストを実施したのは、イノベーションで世界1位にランキングされることもあるスイスパビリオン「スイステック」。「グローバル・ディープテック・バトル」と題して、AI、ロボット、家電(2分野)、ヘルステック、クリーンテックの6領域で、13カ国・地域62社のスタートアップが競い合った。
部門ごとの最優秀賞は、AI部門がNeurosoft bioelectronics(スイス、ブレインインターフェイス)、ロボット工学部門がAdaptronics(イタリア、電気粘着インターフェース)、家電分野がible Technology(台湾、首掛式空気清浄機)、Ionic Wind(スイス、精密冷却)、ヘルステック部門がAnivance AI(台湾、臓器モデリング)、クリーンテクノロジー部門がTinental(イタリア、AIによるエネルギー削減)が選ばれた。
Neurosoft Bioelectronicsは、スイスの連邦工科大学ローザンヌ校からスピンオフしたスタートアップ。脳に直接配置する電極(脳インターフェース)を開発する。従来に比べ、柔らかく薄い素材を使うことが特徴だ。当面は手術中の脳のモニタリングなどへの利用を想定するが、今後の用途拡大の可能性は幅広い。ちなみに、同社は、このタイミングでラスベガスで開催された「Startup World Cup 2026」の地区大会でも優勝した。11月にサンフランシスコで開催されるグランドフィナーレへ進出し、100万ドルの投資賞金を競う予定だ。
ロボット=フィジカルAI、手指に注目
実態を持ったAI、つまりフィジカルAIあるいはエンボディードAIとしてのヒューマノイド型ロボットも注目を集めた。CES主催者であるCTAが発表したテクノロジートレンドの報告書の中でも注目していたのが、「手指」だ。
具体的に取り上げていた企業の一つは、シンガポールのSharpaだ。手指の機能は、ヒューマノイドが家庭や職場、製造現場などに幅広く導入するために重要になってくる。Sharpaの製品「SharpaWave」は、人間の手を模倣しつつも、作業性において、機能面で人間を超えた部分もあり、CESの表彰制度「イノベーション・アワード」を受賞した。
中国勢、特に深圳拠点のロボット企業も目立った。PaXini Tech(深圳)は、人間の手指のような包括的な触覚センシング機能を実現した。展示会場では、レバー操作や材料の取り扱い、カップの受け渡しなどのアイスクリーム製造プロセスを実演した。創業者チームは早稲田大学ロボット研究所出身でもある。
Unitree Robotics(中国)は、ロボット同士がリングの中で戦うデモを実施、現代自動車傘下のBoston Dynamics(米国)は、ロボットにバク転などのアクロバティックな動きを実演させた。ヒューマノイドの進化が如実に感じられた。
今年のCES2026では、派手なガジェットなどのハードウェアは落ち着きを見せ、一方で、生成AIがフィジカルAIとしてロボットという形を持ち始めた。そして、より本質的なイノベーションとしてのディープテックが実験室の理論からビジネスの現場へと降り立ち、我々の産業や生活を根底から書き換えようとする「実装前夜」の熱気が漂っていた。
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