量子コンピューティングの元祖をうたうNECが目指す超伝導回路を用いた量子アニーリングマシンの開発
本格的な事業化とNEC Vector Annealingサービス
NECは、2020年に量子コンピューティング推進室を設置。2022年4月から量子コンピューティング事業統括部を新設して、本格的に量子コンピューティングの事業化に踏み出したところだ。
ここでは、D-Waveとの協業による「Leap Quantum Cloud Service」の提供、企業や大学による量子コンピューティングの利活用の推進に向けた量子コンピューティング適用サービスおよび教育サービスの提供。そして、NEC独自の疑似量子アニーリングプラットフォームにより提供しているNEC Vector Annealingサービスを展開している。
なかでも、NEC Vector Annealingサービスは、量子コンピューティング事業統括部における事業化において、重要な柱に位置づけられている。
NEC Vector Annealingサービスは、大容量の高速メモリと高速行列計算を可能とするベクトル型スーパーコンピュータ「SX-Aurora TSUBASA」を活用。許容解の存在範囲を高速検索するシミュレーテッドアニーリングエンジンを組み合わせて、大規模処理と高速処理を可能にする疑似量子アニーリングプラットフォームとして提供している。
2022年8月に発表したNEC Vector Annealingサービスの機能強化では、従来サービスと比べて最大30倍となる求解性能の高速化を実現。これは、組み合わせ最適化問題の制約条件に基づいて、不要なアニーリング計算を削減するフリップオプション機能の強化など、アルゴリズムの改善によって高速化した。
また、「SX-Aurora TSUBASA」に搭載するカード型ベクトルエンジンを複数枚高速に接続することで、30万ビットに規模を拡大。たとえば、約500都市を対象にした巡回セールスマン問題といった、従来は解くことが難しかった課題も、高速に解くことが可能になったという。