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量子は次のインターネット。政府が掲げる1000万人が量子技術を利用する環境とは

連載
大河原克行の「2020年代の次世代コンピューティング最前線」

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 岸田文雄首相は、2021年10月の所信表明のなかで、成長戦略の第1の柱として「科学技術立国の実現」を掲げた。ここでは、デジタル、グリーン、人工知能、バイオ、宇宙とともに、量子に対しても大胆な投資を行っていくことを示した。

 これに呼応するように、2022年4月には「量子未来社会ビジョン」が発表され、量子技術が、日本が強みを発揮できる領域であることや、急速な勢いで量子技術を実装する時代が到来することになると指摘。2030年に目指すべき姿として、1000万人が量子技術を利用する環境を日本に創出するとともに、量子技術による生産額を50兆円規模にまで拡大。さらに、未来市場を切り拓く量子ユニコーンベンチャー企業を創出することなどを掲げ、量子産業が、日本の重要産業のひとつとなるための一歩を力強く踏み出すことを示した。

 こうした動きを前に、政府は、2020年1月に「量子技術イノベーション戦略」を発表している。

 ここでは、量子に関する技術ロードマップや拠点整備の必要性などを打ち出し、研究開発の道筋を示してみせた。量子拠点の形成や、国際協力の推進のほか、「技術開発戦略」、「国際戦略」、「産業・イノベーション戦略」、「知財・国際標準化戦略」、「人材戦略」の5つの戦略が提示されている。

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