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あのクルマに乗りたい! 話題のクルマ試乗レポ 第44回

新型「レヴォーグ」プロトタイプ試乗で体験する“スバルの走り味”

2020年09月19日 12時00分更新

文● 鈴木ケンイチ 編集●ASCII

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 残暑厳しい9月上旬、スバルの新型「レヴォーグ」プロトタイプのサーキット試乗会に参加することができた。そこで確認した新型レヴォーグの走り味と、スバルの走り味をレポートしたい。

 第2世代となるスバルのレヴォーグは、この秋の発売が予定されている。新型の特徴を簡単に言ってしまえば、「スバルのテクニカル・フラッグシップカーとして、スバルの現在の最新技術の粋を結集したこと」だ。SGP(スバル・グローバル・プラットフォーム)は、フルインナーフレーム構造という新しい組み方の導入で、ボディー剛性を大幅にアップ。ねじり剛性は44%も高められている。パワステやシャシー系も改良されており、ブレーキブースターには反応の良い電動式が採用された。

新型レヴォーグのSTI SPORT(右)とGH-H

 エンジンは、まったくの新開発となる1.8リッター水平対向直噴ターボを搭載。最高出力177馬力(旧型+7馬力)、最大トルク300Nm(旧型+50Nm)を実現。リニアトロニックと呼ぶトランスミッションも中身のほとんどが新規パーツになった。また、上級のSTI SPORTには可変ダンパーを採用することで、走り味を変化させるドライブモードセレクトを採用。高級車のような快適性と、スポーツカーのような俊敏性を両立させる。また、アイサイトもカメラ本体から新しくなり性能をアップ。レーダーやソナーなどのセンサーを追加することで機能を大きく進化。なんと高速道路での渋滞時でのハンズオフ機能まで実現している。

 そして今回は、そんな新型レヴォーグの走りの実力をサーキットで試す機会を得たのだ。試乗コースには、親切にも旧型モデルが用意されており、最初にその旧型モデルを走らせることができた。

新型レヴォーグに乗り込む筆者

新旧レヴォーグでサーキットを走行
旧型でも運動性能が高いのはスバルらしい

 まず、旧型モデルでサーキットを走ってみて思うのは、「ステーションワゴンなのに、普通にサーキットでのスポーツ走行をこなせる。これはこれですごい」ということだ。サスペンションもブレーキもサーキット走行というハードな走行にも耐え、「ロールが大きすぎて怖い」「ブレーキ力が足りない」「狙ったラインを走れない」などの不満はない。ステーションワゴンとして十分すぎるほどのスポーティーな走り。ただし、少々リヤの重さは感じられる。

旧型レヴォーグ

 また「いかにもスバルらしい走り味だ」とも思う。なにがスバルらしいかといえば「水平対向エンジン+リニアトロニック(CVT)の加速感のスムーズさ」「後輪の限界性能の高さゆえ、どう攻めてもスピンモードに入らない」「ハンドリングの操作に対するクルマの動きが正確」というところだ。こうした基本的な方向性は、レヴォーグだけではなく、インプレッサやWRXでも常々、感じられたもの。これがスバルならではの走り味と言えるだろう。ちなみに、BRZはトヨタとの共同開発ということでリアハッピー気味だが、それでも86よりはBRZの方がスピンモードに入りにくくなっている。

 そして、いよいよ新型レヴォーグの試乗となった。最初に走らせたのは、スタンダード・グレードとも呼べるGT-Hグレードだ。可変ダンパーがなくて、走行モードは「I」と「S」の2種類。走らせてすぐに気づくのが、排気量をアップさせたエンジンの力強さだ。コーナーからの立ち上がりでの加速感がワンランク上で、フラットなトルク感も扱いやすい。ブレーキのコントロールしやすさも気に入った。

新型レヴォーグ GT-Hグレード

 そして、何より素晴らしく思うのは4輪がしっかりと路面をつかんで離さないような、高い安心感があること。旧型と同じようなテンションで走らせていても、より高いスピードで周回できる。もちろん怖さはまったくない。エンジンとプラットフォーム、シャシーの進化がしっかりと感じられたのだ。

 そして、最後に新型の上級グレードとなるSTI SPORTに乗り換える。こちらは可変ダンパーを履くことで走りのキャラクターを変えるドライブモードを搭載している。ドライブモードはサスペンションだけでなく、パワーステアリング、AWD、エアコンまでも変化させるのだ。

新型レヴォーグ STI SPORT

 最初にコンフォート・モードで走り出す。確かにサスペンションのストローク感が大きくなるが、路面の平滑なサーキットでの走行ということで、それほど変化の大きさは感じない。これは市街地での試乗の方が大きな差がでるはずだ。それよりも、コンフォート、ノーマル、スポーツ、スポーツ+とモードが変化するが、基本的な方向性が守られていることが気に入った。それは「スムーズな加速」「リヤの限界の高さ(=安心感)」「正確なハンドリング」といった、旧型から継承される「スバルらしい走り味」だ。モードをスポーティーにするほど、それがより明確に感じられる。そして最終的なスポーツ+ではクルマが思うままに扱える感が強まる。荷重移動のコントロールが容易で、まるで自分の運転がうまくなったかのよう。リヤに大きなラゲッジルームを備えていることなどは、すっかり忘れてしまうような走りであったのだ。

【まとめ】新型レヴォーグはスバルの未来そのもの
投入された技術はほかの車種にも使われる

 スバルの今持っている最新技術を惜しみなく投入することで、新型レヴォーグの走りは、さらに磨きこまれたことは間違いないだろう。

 ちなみに、よくよく考えてみるとレヴォーグにスバルらしさが出るのは、当然のことかもしれない。なぜなら、スバルの持つ技術的特徴は、レヴォーグという車種が最もよく表せられるからだ。スバルの特徴は、水平対向エンジンを採用する低重心とシンメトリカルAWDが実現するバランスの良さ。そしてアイサイトなどが実現する安心感だ。安心と楽しさをバランスよく表現するには、SUVではなく、車高の低いステーションワゴンが適しているとも言える。

STI SPORTのリア

 今回の新型レヴォーグで開発された技術は、そのまま今後にリリースされる新世代のスバル車に横展開されるという。つまり、新型レヴォーグが証明した走りのレベルアップは、他車種にも波及することが予想できる。これからデビューするスバル車にも大きな期待を予感させる試乗となった。

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筆者紹介:鈴木ケンイチ

 

 1966年9月15日生まれ。茨城県出身。国学院大学卒。大学卒業後に一般誌/女性誌/PR誌/書籍を制作する編集プロダクションに勤務。28歳で独立。徐々に自動車関連のフィールドへ。2003年にJAF公式戦ワンメイクレース(マツダ・ロードスター・パーティレース)に参戦。新車紹介から人物取材、メカニカルなレポートまで幅広く対応。見えにくい、エンジニアリングやコンセプト、魅力などを“分かりやすく”“深く”説明することをモットーにする。

 最近は新技術や環境関係に注目。年間3~4回の海外モーターショー取材を実施。毎月1回のSA/PAの食べ歩き取材を10年ほど継続中。日本自動車ジャーナリスト協会(AJAJ)会員 自動車技術会会員 環境社会検定試験(ECO検定)。


 

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