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業界人の《ことば》から 第315回

NECに異変 ボロボロの経営計画や技術を生かせない状態から変われるか

2018年10月22日 09時00分更新

文● 大河原克行

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外部から人を呼ぶ異例の人事

 NECは、経営体質そのものも変化させようとしている。

 2018年4月1日付で、GEジャパンの社長だった熊谷昭彦氏を副社長として招聘。グローバルビジネスユニット長として、グローバル事業を一任したが、外部から招聘した人材を要職に置くのはNECの歴史のなかでは異例だ。とはいえ、熊谷氏のクローバル企業での経験とスピード感を持った意思決定は、NECの風土を変えつつある。

 さらに新設した「カルチャー変革本部」に、日本マイクロソフトなどで人事部門の責任者を歴任した佐藤千佳氏を執行役員本部長として起用。CFO(最高財務責任者)には、経理畑での経験がなく、グローバル経験が長い森田隆之代表取締役 執行役員副社長が就いた。

 人事部門も経理部門も、長年その部門を経験してきたプロフェッショナル人材がそのままトップに就くというのが慣例だったが、外部および別部門からの登用という部門トップ人事は、慣例を打ち破るものとして社内にも激震が走った。

 「人事、財務部門に、その道のプロがずっとトップに就くのは、ある時代は当たり前の仕組みであり、その方がよかった時代もあった。とくに、NECは苦しい時期が続いており、絶対に踏み外さない、絶対にこけない守りの体制を敷いていた。また、NECの人事制度はこれまでにもいろいろなことに取り組んできたが、どうしても古い制度を引きずる傾向が強く、現場の変化に追随できているとはいえなかった」と前置きし、「しかしこれから、NECが本当に変わり、攻めていくときに打って出るマインドを持った人材が、これらの部門にも必要であると考えた。人事、財務部門だけがアンタッチャブルというわけにはいかない」とする。

 こうしたところにも、これまでの「当たり前」を捨てるという姿勢がみえる。

 「もちろん、外から人を持ってくればそれで終わりとは思ってはいない。いままでと違う変化を与えながら、自分たちがどう変わらなくてはいけないのかということを、NEC社員が身をもって考えていかないと、これだけ大きな図体は変わらない。こうした新たな流れを、強い力に変えていくことがこれからの課題になる」とする。

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