遺伝子解析で疾患リスクや体質がわかる「ジーンクエスト」を体験してみた
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約300項目の健康リスクや体質に関する解析結果をチェック!
6週間後、検査結果が出た。ウェブサイトからログインして確認してみる。早速、メリット・デメリットや、情報提供であって医療行為ではないこと、解析結果が確実でないことなどの注意書きが表示される。理解しているなら「見る」をクリックしよう。
「健康リスク」「体質」「祖先解析」「研究対象項目」「遺伝子の専門家に相談」という5つのタブが現れた。まずは、メインの「健康リスク」をチェックしてみよう。
またもや「閲覧同意が必要な項目」が表示され、同意を求められた。UI・UXを損なってまで、厳重に同意を求めるのは、心の準備ができていないのに不用意に情報に接し、きちんと処理できずに心の負担にならないようにするため。人によっては「○○癌に1.3倍なりやすい」と表示される可能性があるのだから、軽く考えずに、きちんと注意書きを読む必要がある。
まずは「リスクが高い項目」を確認しよう。なかなか、怖い病気がならんでいて、1.25~1.84倍といった数値が並んでいた。これは確かにインパクトがある。同時に信頼性もチェックしたい。「データの信頼性」の星の数が多いほど信頼性が高まる。たとえば、星ひとつは100人未満の小規模な試験の報告、星4つは750人以上を対象とした研究結果が2つ以上あるもの、といった具合だ。また、「アジア系集団での研究」にチェックがあると、アジア人を対象とした研究結果が存在しており、さらに信頼性が高まる。
一覧の上を見た瞬間に、ジーンクエストの解析結果に納得してしまった。親族全体の個人情報なので、詳しくは書けないが、2~3の病気がビンゴだった。もちろん、喘息1.42倍や慢性C型肝炎1.48倍など、心当たりがまったくないものもある。筆者が最近悩んでいた症例に、「むずむず脚症候群」という名前が付いていたことも初めて知った。こちらは1.25倍だった。
筆者は海外旅行によく行くので、エコノミー症候群のリスクが1.84倍とあって驚いたが、信頼性が星2つでアジア人の研究もないので一安心。とは言え、次回以降マッサージなど気をつけようかな、とも思った。
リスクが低い項目は安心して見ていられた。「メタボリックシンドローム」や「過食症」「肥満」などの項目が根こそぎ低かったので、今の肥満は100%食生活に起因している事がわかり、反省。ちょっと本気でダイエットしようと思った。
「体質」ではBMIや「アルコールとニコチンの共依存」や「飲酒量」などがわかる。多くが一般的、という結果だったが、中には驚く項目もあった。「人差し指と薬指の長さ」という項目があり、筆者は人差し指より薬指の方が長いのだが、きちんとその項目に入っていた。唾液からわかるものなのか、と感心してしまった。「アルコール赤面反応」も「飲酒によって顔が赤くなることはほとんど、あるいはまったくないタイプ」とのことでその通り。「PR間隔(心電図の特徴)」といった、結果を見てもどう判断していいのかわからない項目もあった。
「祖先解析」では、ミトコンドリアハプログループ解析により、母系の祖先をチェックできる。日本人の約7%をしめるGグループだった。東アジア起源のようで、そうなのかと思った。
遺伝子検査の結果をじっくり見続け、これはとても価値がある情報だと思った。情報を鵜呑みにして、油断したりストレスを感じたりするのはNGだが、解析結果には説得力があり納得した。特に親族や自分の病歴とかぶる部分でリスクが高いと解析された項目については、生活習慣などを改めて予防しようと心の底から思った。
筆者紹介─柳谷智宣
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1972年生まれ。ネットブックからワークステーションまで、日々ありとあらゆる新製品を扱っているITライター。パソコンやIT関連の媒体で、特集や連載、単行本を多数手がける。PC歴は四半世紀を超え、デビューはX1C(シャープ)から。メインPCは自作、スマホはiPhone+Xperia、ノートはSurface Pro3とMacbook Air。著書に「銀座のバーがウイスキーを70円で売れるワケ」(日経BP社)、「Twitter Perfect GuideBook」(ソーテック社)、「Dropbox WORKING」(翔泳社)、「仕事が3倍速くなるケータイ電話秒速スゴ技」(講談社)など。筋金入りのバーホッパーで夜ごとバーをハシゴしている。好きが高じて、「原価BAR」を共同経営。現在、五反田・赤坂見附・銀座で営業中。
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