脳波ビジネスに驚き 感性で革命を起こすリトルソフトウェア
ヘッドセットとスマホアプリで脳波から56種もの微細な感情を読み取り
頭にヘッドセットを取り付け、あたかも何かの能力を発揮できそうな構図。ニューロスカイ社製の脳波測定用ヘッドセット「Mindwave Mobile」を利用して、「脳波」から人の感情を読み取るアプリ『感性モジュールロガー』を使っているシーンだ。
株式会社リトルソフトウェアはこの4月にアプリをリリース、運転中の感性をリアルタイムで読み取るという利用方法で大手自動車会社の研究開発領域などでの導入が始まっている。
脳波という古くて新しい領域で独自の価値を発揮するスタートアップ、リトルソフトウェアの代表取締役の川原伊織里氏とCFO兼CMOである藤井優紀氏から話を聞いた。
ポーカーフェイスでも、脳波を見れば感情がダダモレ
「脳波」というのは、生きている人や動物が活動するときに脳から生じる微弱な電気信号のこと。医療分野で研究が進められている技術だが、それをエンターテインメント分野からビジネスに利用しようと起業したのがリトルソフトウェアだ。
そもそも脳波で何がわかるのか。代表の川原氏は例として、買い物をする際に脳波計測をすることで『脳年齢』が測れるケースについて説く。「指標として、10代から30歳までの若い数字が表示されるなら安心だが、もしこの数字に高齢な脳年齢が出たら、自分の判断ではなく言いなりに流されていたり、疲れて判断力が鈍っていたりということも考えられる。この状態で買い物をすると、結果的に後悔する確率が高いと事前にわかる。つまり、高額な買い物をする際に脳波測定を行ってから買えば、クレーム率を減らすことができると私たちは考えている」(川原氏)
ほかにも、サラリーマンあるあるではないが、宴会の席で隣に上司がいるとどんなに飲んでいても酔えないのが、一瞬でも席が変わった途端に酔いが廻ることなどが脳波から見てもばっちりと分かるのだという。
そしらぬ顔でポーカーフェイスを気取っていても、脳波はウソをつけない。かなり興味深い。
「心臓外科の先生が心電図を見て心臓の状態がわかるのと同じように、脳波データを見ると、その人が今どんな気持ちでいるのかが見えてくる」(川原氏)というので、もはやちょっとしたテレパシーだ。
この脳波を使った感性の研究を企業でも取り入れようとしているところが増えており、リトルソフトウェアは設立から3年目、社員数も6名という小さな規模だが、大手の自動車会社、自動車関連会社、ロボット関連会社、テレビ局、音楽関連会社、大学など現在進行形で40社との共同研究・開発、アプリ提供を行っている。
「『感性モジュールロガー』は運転中の人の感性をリアルタイムに表示できるアプリ。運転手が自分で気付く前に眠気・イライラ・疲労などを早めに感知して、いずれかの脳波になったときにすかさず音楽を流して『快適』と感じる状態にすることで、事故を減らす研究に使えるアイテム」と語るのは、同社のCFOでありCMOの藤井優紀氏。
この4月にリリースされた「感性モジュールロガー」は、脳波によって取得できる56個の感情から必要に応じた感情をピックアップすることができ、自動車業界以外にも、いくつもの企業で商品開発のために導入されている。
脳波の存在自体は知っていても、それがこのような形でビジネスとして成立し始めていることはあまり知られていないはずだ。これまであまり活用されなかった脳波が、なぜここまで活用されはじめたのか。そこには、リトルソフトウェアが持つ独自の解析技術があった。