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ZEROCO、食材の独自鮮度保持技術で日本のおいしさを世界へ「日本は食業界のGAFAになれる」

低温高湿で食材の鮮度を保持し、独自技術で日本の食業界への貢献を図る

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 日本における農林水産物・食品の輸出額は2021年に1兆円を突破した。政府は2025年までに2兆円、2030年までに5兆円という輸出額目標を掲げている。2012年には4497億円だったので、10年かけて倍増させたわけだが、少子高齢化が進む現在、たった4年でさらに倍増させることはできるのだろうか。

 2023年4月、ZEROCO株式会社はそんな食業界に一石を投じる独自技術「ZEROCO(ゼロコ)」を発表した。冷蔵、冷凍に続く第三の鮮度保持技術で、食材や食品の鮮度をこれまでの常識を超えて長期間、品質に保てるのが特徴だ。

 食材の鮮度をこれまでよりも長い期間保てるようになると食業界はどうなるのか。日本では労働人口がさらに減少する中、これから人口が100億人に向けて増加する世界において「日本は食業界のGAFAになれる」と、代表取締役社長の楠本修二郎氏は語る。

ZEROCO株式会社 代表取締役社長 楠本修二郎氏

雪下野菜からヒントを得たテクノロジー「ZEROCO」

 人類は昔から、暑い夏の季節よりも寒い冬の方が食べ物の腐敗が進みにくい、ということを知っていた。生存のためにはエネルギーと食料の確保が必須の時代、とにかく食料を冷蔵・冷凍したいというニーズがあった。冷蔵庫は1803年、冷凍庫は1805年に発明され、それ以来200年以上にわたり、人類は冷蔵と冷凍という二つの手段で食材を長持ちさせてきた。

 日本では降雪量の多い地域において、晩秋に収穫した野菜を土や雪の中で保存したり、雪が降っても収穫せずに埋もれさせたままにする「雪下野菜」という伝統的な保存方法がある。長持ちするだけでなく、食材の味わいが深くなるというメリットもあり、”雪国“では広く知られている。

 楠本氏が雪下野菜のことを深く知ったのは、2012年のこと。前年に東日本大震災が起き、サプライチェーンが分断され、農業も漁業も壊滅的な担い手不足になった。元々、日本の地方を食で盛り上げようと考えていた楠本氏は、オイシックス・ラ・大地の代表である髙島宏平氏と共に一般社団法人 東の食の会を立ち上げた。

「これからは農業も漁業も6次産業化されていきます。コミュニティとして東北を盛り上げ、食産業をけん引するヒーローを出していこうというのが東の食の会の理念です。その活動の中でいろいろなことを農家や漁師の方から教えてもらいました。そのひとつが雪下野菜です」(楠本氏)

画像提供:ZEROCO

 この雪下野菜から着想を得て、その機能をテクノロジーでさらに進化させたのが「ZEROCO」だ。鮮度保持だけでなく、同時に食材が美味しくなるという。冷蔵庫の温度は2~5度、冷凍庫はマイナス18度前後だが、「ZEROCO」は低温高湿な環境で約0度を保つ。

 小さな部屋から大きな倉庫はもちろん、コンテナにも「ZEROCO」を搭載できるので、様々なビジネスシーンで利用できる。将来的には、個人宅に設置することも可能だ。

「ZEROCO」の一番の特徴は、低温高湿な状態で保つために、従来の冷蔵庫よりも長く鮮度を維持できること。これだけでもメリットなのだが、「ZEROCO」で予備冷却した食材を普通の冷凍庫で凍らせた場合でも、従来よりも長く鮮度を維持できるのだ。

 水が凍る際、氷の結晶が大きくなると、食材の組織にダメージを与えてしまう。その状態で解凍すると、うまみであるドリップが流れ出て味が落ちてしまう。そのため、ダメージを受ける時間を短縮し、結晶も小さくするために急速冷凍という技術が広まっている。しかし、急速冷凍は通常の冷凍と比べると大きなエネルギーが必要になり、1次産業にはマッチしにくいという課題がある。

 その点、「ZEROCO」で保管した食材をその後に通常の冷凍庫に移せば、短時間で凍るうえ、長期間の鮮度維持が可能になる。冷凍するための予備冷却という機能も備えているのだ。

 2023年5月に開催されたG7広島サミットの国際メディアセンタープレゼンテーションコーナーで、「ZEROCO」で約3カ月保管したメロンや、「ZEROCO」で保管した後に冷凍した生クリームたっぷりのフルーツサンドを提供し、好評を得た。通常、長期保存ができないフルーツや冷凍できない生クリームなどを「ZEROCO」で高品質、長期間の保存ができるという。

画像提供:ZEROCO

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