4K2Kプロジェクターの実力をJVCの視聴室で体験した!!
そんなつらい思いをするよりは、素直に4K2Kプロジェクターを導入すればいいのではないか。というか、4K2Kプロジェクターの実力はいかなるものか見てみたい。ということで、場所を変えてJVCケンウッドを訪問した。もちろん、DLA-X70Rで大画面の4K2K映像を体験するためだ。
ちなみに、なぜDLA-X70Rかといえば価格が安いから。80万円という実売価格は4K2Kプロジェクターとしては一番安価である。
さて、JVCの広い視聴室に案内されると、150インチのスクリーンが2枚あり、フルHD表示と4K2K表示を見比べられるようになっていた。
前述の通り、DLA-X70RはフルHD信号を4K2Kで表示することができるが、4K2K信号の入力には対応していない。これは、4K2Kで映像を出力できるAV機器やAVソフトが当面の間は登場しないためだ。
4K2K入力への対応はきちんと規格が整備され、4K2Kソースが登場してからでいいという考え方だ。そのため、コストのかかる4K2Kの表示パネルを必要とせず、DLA-X70Rは従来のフルHDモデルとほとんど変わらない価格で4K2K表示を実現できた。
フルHD解像度の表示パネルで4K2K表示を実現した「e-shift技術」についての説明をしてもらった。表示パネルには偏光板と水晶層が重ねられており、偏光板がパネルから透過された光をずらし、水晶層でずらす量を調整する仕組み。これは物理的かつ電気的に制御されるので、正確に画素ずらしを実現できる。ちなみに画素をずらす量は上下左右とも0.5画素ずつ45度の角度となっている。これで1つの画素で2画素の表示が可能になる。これに映像処理を加えることで4画素ぶんの情報を再現できるようになる。
ソニーがリアル4K2K画素の表示パネルを使っているだけに、悪く言うと疑似4K2K表示のように感じてしまうが、デモ用の映像などを見ていてもリアル4K2K表示との大きな差は感じなかった。斜め線で目立ちやすいジャギーもまるで目立たない滑らかさで再現されるし、色の境界もすっきりと鮮明だ。4K2Kの高精細さをまったく不満なく堪能できる。
当然ながら、同じBDソフトの映像かと思うほど、フルHD表示とは解像感をはじめとして何もかもが次元の異なるクオリティだ。
デモ用のソースは同社の4K2Kビデオカメラで撮影した映像をフルHDにダウンコンバートしたもの。このほか、オリジナルのフィルムを8K4Kでスキャンし、4K2Kでデジタル修復を行い、BD化された「サウンド・オブ・ミュージック」や「山猫」といった高画質で大きな話題となったタイトルを見たが、フルHD以上の解像度で制作されたことが投射された映像にはっきりと現われた。
DLA-X70Rの場合、他社のように超解像技術は使われておらず、「e-shift技術」と新開発の光学エンジンによる映像処理によるものだが、単なるアップコンバート表示とはまるで違う。「サウンド・オブ・ミュージック」で、有名なドレミの歌のシーンを見ていても、山の草木の1本1本が鮮明で実にキレ味がいい。服の質感も感触がわかるリアルさだし、肌の質感が豊かになったことで表情まで生き生きと再現される。
プロジェクター統括部 営業部 商品企画グループ チーフの横山章浩さんは「プロジェクターの一般的な表示サイズは100~150インチほどですが、この大きさになると、4K2Kの精細感の高さがはっきりと感じられると思います。映像的にもレンズのフォーカスをより精密に合わせたような印象です。今までは隣り合った情報が混ざっていた物をきちんと分離して再現できますから、あいまいに再現された部分までより正確に再現できるようになったことが大きな魅力だと感じています」と教えてくれた。
ただし、ここまでの特集のように、(コストは青天井とはいえ)PCを使えば4K2Kソースはかなり多くあることを発見した後では、やはり4K2K入力にも期待したくなるし、リアル4K2K表示も要望したくなる。
もちろん、JVCでも4K2Kビデオカメラを発売していることもあり、当然ながら開発は進めているという。JVCケンウッドはNHKと協力して、「スーパーハイビジョン」に対応した8K4KのDLAプロジェクターの開発も行なっているので、ノウハウは十分。今後の展開にも期待したい。
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