「4K2K」という言葉をご存知だろうか? 4K2Kとは4000×2000(Kは1000を表す)という意味で、4096×2160ドットもしくは3840×2160ドット(QFHD)の解像度を持つテレビやディスプレー機器を指す。
代表例と言えるのが、昨年いちはやく登場した東芝の大画面液晶テレビ「REGZA 55X3」(実売価格80万円前後)。単純に普通のテレビとして見れば価格も高いし、そもそも普通のテレビとは言いがたい。だから、多くの人が自分にとってはあまり関係のないものと考えているだろう。ところが、意外なほど4K2Kはすでに身の回りに浸透しているのだ。特にPCにおいては結構環境が整いつつある。
4K2K特集第1回目となる今回は、4K2Kの現状とそれを体験するために必要な環境や製品について紹介していこう。また、後半では4K2K動画の制作にも挑戦した。
あなたが使っているデジカメはたぶん4K2Kです
4K2Kを身近に感じていただくために、すでに普及が進んだデジカメの例を上げてみよう。デジカメの撮像素子は年々高精細化が進んでおり、ハイエンド級のデジタル一眼ならば1800万画素のものを採用している。
情報量として4K2Kは、ほぼ800万画素に相当する。コンデジでも800万画素のカメラはもはやローエンドクラスだし、スマホの内蔵カメラでもそれくらいは普通、というか最新機種なら最低限クラスである。きっと多くの人が持っているデジタルカメラも同等以上のものだろう。
一般的なフルHD解像度のPCディスプレーでは、800万画素を超える静止画は全画面表示でも100%のサイズでは写真の一部しか表示ができないが、4K2Kテレビならば(アスペクト比の違いなどによるはみ出しはあるが)写真のすべてを表示できる、というわけだ。
200インチスクリーンは当たり前という映画の世界では、デジタル撮影の普及に伴って4K2Kで撮影できるカメラ(RED ONEが有名)や編集システム、表示装置まで実用化されている。
ちなみに、4K2Kで制作された映画もロン/ハワード監督による「天使と悪魔」、デヴィッド・フィンチャー監督の「ソーシャル・ネットワーク」などがある。4K作品をそのまま4K解像度で上映する映画館も世界で約9000以上あり、国内にもTOHOシネマズなどの大手劇場チェーンの映画館に導入されている。
ようやくデジタル放送への転換が終わったばかりのテレビ放送も、NHKが2020年頃からの試験放送の開始を目指す「スーパーハイビジョン」の研究が始まっている。
スーパーハイビジョンは4K2Kどころか、さらに4倍の8K4K解像度となる。撮影のためのカメラも実用化されているし、表示用のディスプレーはプロジェクターのほか、直視型ディスプレー(いわゆるテレビと同じもの)もある。
というように、4K2Kはコンテンツ制作の現場ではかなり浸透してきており、もはや目の前にまで迫ってきているものだと考えていい。4K2Kテレビがあれば、こうした最先端のコンテンツをほぼそのままの解像度で、自宅で楽しめるというわけだ。これだけで、ちょっと胸がわくわくしてきてしまうだろう。
4K2Kを楽しめる液晶テレビ&ディスプレー
ここからは、現実的に4K2Kを楽しむために必要な機器を紹介していこう。表示のためのディスプレーとしては、前出の東芝「55X3」があるが、さらに6月中旬には裸眼3D機能を省略した「55XS5」(実売予想価格75万円前後)が登場する。
シャープも「I3」(アイキューブド)研究所との共同開発で、60V型3840×2160ドットの液晶テレビ「「ICC 4K 液晶テレビ」の試作品を発表済み。こちらも年内の発売が予定されている。
そして、ナナオからも、36.4型で4096×2160ドットという解像度を持つ液晶ディスプレー「DuraVision FDH3601」が発売された。今のところ価格は288万円とかなり高価ではあるが、こうしたディスプレーもいずれはもっと身近な価格で手に入るようになると思われる。
ちなみに、PCの場合はフルHDディスプレーを4台揃えてマルチディスプレーで4K2Kを実現するという手段もある。例えば23型程度のフルHDの液晶ディスプレーは1万5000円程度で購入できるものもあり、これを4台揃えても6万円程度。価格の面では魅力的だが4K2K表示にする場合はフレームがあるため見やすいとはいえず、超高精細な映像を十二分には堪能できない。なので、今回の特集ではあまり触れない。
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