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ゼロからはじめる最新サーバー選び -基礎編- 第5回

サーバーOSやサーバーアプリケーション、仮想化ソフトそして管理ツールを見ていこう

サーバーを便利なツールにするソフトウェアとは?

2010年12月09日 09時00分更新

文● 伊藤玄蕃

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「コンピュータ、ソフトなければただの箱」といわれるが、これはサーバーも同様だ。ここでは、すべてのソフトウェアの基盤であるOSから、サーバに特有のツール類などを説明していこう。

サーバーの種類とOSの種類

 サーバーもクライアントPCと同様に、まずOS(Operating System)が必要だ。サーバーのアーキテクチャ別に見ると、メインフレームには機種ごとの専用OS、UNIXサーバーにはベンダーごとの専用のUNIXが用意されるので、この2つのアーキテクチャではOS選択の余地はほとんどない。これに対し、CPUはじめ主要なコンポーネントが汎用部品で構成されるIA-64やx86サーバーでは、商用(有償)製品やフリー(無償)のオープンソースソフトウェア(OSS)などから自由に選ぶことができ、サーバーハードウェアベンダーの支配力はきわめて弱い。

写真1 多くのシェアを持つマイクロソフトのサーバーOS「Windows Server」

 よく使われているのは、

  1. Windows Server 2003/2008(マイクロソフト)
  2. Red Hat Enterprise Linux(レッドハット)
  3. SUSE Linux Enterprise Server(ノベル)
  4. MIRACLE LINUX(ミラクル・リナックス)
  5. Turbolinux(ターボリナックス)
  6. Debian GNU/Linux(OSS)
  7. FreeBSD(OSS)
  8. OpenBSD(OSS)

といったところだ。ただし、IA-64サーバでは、HP-UXなどサーバーベンダー固有のUNIXが提供されることもある。

写真2 Xenによるサーバー仮想化に標準対応するノベルの「SUSE Linux Enterprise Server」

 また、ここに挙げたOS以外にも、x86サーバーで動作するOSが多数ある。x86サーバーは、現在のクライアントPCと同じくIBM PC-ATのアーキテクチャを継承しているので、クライアントPC用のOSのほとんどは、x86サーバーでも動く。機種によっては動かないOSがあるし、動いたとしてもサーバーメーカーが保証する(責任を持つ)OSは限られている。ほとんどのメーカーのサーバーがサポートするWindows Server 2003/2008であれば問題ないだろうが、それ以外のOSを使うつもりならサポートの有無を確認しておこう。

 また、それぞれのサーバーOSには、通常の x86サーバー用の32ビット版のほか、x86サーバー用の64ビット版、さらにIA-64サーバー用(インテルのItaniumプロセッサー)など複数の種類があるので、調達時には間違えないようにしよう。特にx86サーバー向けのサーバーアプリケーションソフトには、まだ32ビット版でしか動作しないものがあるので、注意が必要だ。

さまざまなサーバーアプリケーションソフト

 連載の第1回で説明したように、サーバは他のコンピュータに何らかのサービスを提供するコンピュータである。このサービスを提供するソフトウェアを、「サーバアプリケーションソフト」という。そのままでは長いので、「サーバアプリ」とか「サーバソフト」などと略して呼ばれることが多い。

 よく使われるサービスには以下のようなものがある。

  1. ファイル共有
  2. プリンタ共有
  3. 電子メール
  4. Web
  5. FTP
  6. 掲示板
  7. ブログ

これらのサービスは、OSに標準で添付される機能(コマンド)や、インターネットから入手可能なフリーソフトで実現できてしまうため、商用製品は少ない。

 一方、企業ユーザーの基幹業務システムに使われるERP(Enterprise Resource Planning)や業務パッケージ、それら基盤となるデータベースエンジンは、開発元の手厚いサポートが必要とされることが多く、比較的商用製品のシェアが高い。また、企業向けのグループウェア、高機能なブログやSNSといったサービスも、商用(有償)製品がフリーのソフトと互角に競っている。各分野の代表的な製品には以下のようなものがある。

代表的なサーバー用アプリケーション製品
ERP/業務パッケージSAP(SAP)、GLOVIA(富士通)、GRANDIT(インフォベック)、SuperStream(エス・エス・ジェイ)
データベースOracle Database(オラクル)、SQL Server(マイクロソフト)、DB/2(IBM)、MySQL(OSS)、PostgreSQL(OSS)
グループウェアサイボウズ Office/サイボウズ ガルーン(サイボウズ)、desknet's(ネオジャパン)、Star Office(NEC)、Groupmax(日立製作所)

画面1 サイボウズの大規模向けグループウェア「サイボウズ ガルーン」

(次ページ、「急速に広まる仮想化環境」に続く)


 

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