Windows Server 2008コア部分を搭載し、単独構築が可能!
仮想化ソフトHyper-V Server 2008が無償ダウンロード開始
2008年10月04日 04時00分更新
マイクロソフトのサーバー仮想化ソフト「Hyper-V Server 2008」が10月1日(米国時間)から同社のサイトで無償ダウンロードできるようになった。
Hyper-V Server 2008は、Windows Server 2008に搭載する仮想化機能「Hyper-V」を単独で利用できるようにしたもの。Windows Server 2008に同梱されているHyper-VとHyper-V Server 2008は別物なのだが、名前が名前なだけに、どうも混乱しがちだ。そこで、マイクロソフトのサーバープラットフォームビジネス本部 コア インフラストラクチャ製品部 マネージャーの藤本浩司氏に両者の違いについて聞いてみた。
まず、すでに提供されているWindows Server 2008のHyper-Vで仮想環境を構築するには、親パーティションの部分でWindows Server 2008が必要だ。つまり、親パーティションでWindows Server 2008を動かし、さらに子パーティションでWindows Server 2008やLinuxなどのOSを動かす(いわゆるホストOSとゲストOSのイメージ)わけだ。
一方、藤本氏によると、今回無償で提供されるHyper-V Server 2008は、「Windows Server 2008のGUI(グラフィカルユーザーインターフェース)のない“サーバーコア”部分と“Hyper-V”の仮想化機能をあわせて提供するもの」だという。つまり、Windows Server 2008のコア部分も提供されるため、Windows Server 2008がなくても仮想環境が構築できるのだ。
ただし、あくまでコア部分だけを含むため、「Hyper-V Server 2008には、GUIによる管理機能がありません。コマンドラインからコマンドを打つことで少しだけ管理ができる程度です。また、Windows PowerShellもついてないので、バッチを組んで何か自動化して運用するといったこともできません」(藤本氏)というように、機能に制限がある。では、いったいどういう用途を想定しているのだろう?
藤本氏は「たとえば、評価用に試してみたり、コストをできるだけ削減しなければならないホスティングのような分野での仮想化のベースとしてみたり、また、単機能のロールで使うといった場合にお使いいただけると思います」という。とはいえ、「きちんと管理したいとか、いろいろ自動化するには、Windows Server 2008についているHyper-Vを使ったほうがいいでしょう」とのことだ。
マイクロソフトは、Hyper-V Server 2008を「仮想化を普及させるためのもの」として位置づけている。というのも、「仮想化はブームとしては見えているものの、まだまだ広がりはない、普及していない」と見ているからだ。現在、Windows Serverの2003や2000を使っているユーザーが、「2008を買ってHyper-Vに行くまでに、『仮想化ってどんな動きをするんだろう』『どんな風に使えるんだろう』と考えたとき、ぜひHyper-V Server 2008を使ってテストしてみてほしい」というのがマイクロソフトの願いだそうだ。
とはいえ、Hyper-V Server 2008はコマンドラインでの操作が必要になるなど、WindowsのGUI操作に慣れたユーザーには、とりつきにくい存在だ。また、現在、Hyper-V Server 2008に関する情報は英語で提供されるのみという状況だ。マイクロソフトも、操作ガイドなどの情報提供の重要性を認識しており、「10月中旬以降、日本語での情報提供も拡充させていく予定だ」(藤本氏)という。