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鳥居一豊の「最新AVプロダクツ一刀両断」 第10回

40万円だけど……エントリーユーザーに最適

親切さに驚きっぱなし! BOSEのホームシアターシステム

2010年07月21日 12時00分更新

文● 鳥居一豊

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操作自体はシンプルで機能的には最小限

 セットアップがすべて完了したところで、いよいよ視聴開始だ。入力ソースになる機器を選択したら、リモコンを持ち換える必要はなく、そのままBDレコの操作ができるのは実に快適。筆者は使用している機器がそれぞれバラバラのメーカーなのでHDMIリンクは使っておらず、リモコンを持ち換える手間がないことに改めて感激した。

 まず驚いたのは、ビデオ系の信号処理がかなりしっかりしている点。本機はHDMIリンクだけでなく、アナログビデオ系の信号入力などにも対応しているが、これらはビデオアップコンバート/アップスケーリング回路を経て最大1080pで出力可能。つまり、接続したすべての機器の映像信号をHDMI出力から1080pで出力できるということだ。

 国内製品だと、あまりコストをかけられないこともあって、アップコンバート/アップスケーリング回路の実力はあまり期待できないのだが、DVDプレーヤーの480p信号を1080pに変換して出力した信号はかなり精細感が高い映像で再現された。

 1080i出力のBDレコの映像は1080pに変換されたが、I/P変換による動きの乱れやテロップ文字がくずれるようなこともなく、非常にスムーズな映像だった。ディテールなどの再現も多少向上しているように感じた。具体的にどんなメーカーのチップを使用しているといった情報は公表されていないが、それなりに実力を持ったチップだと予想できる。

サラウンドモードなどを切り換える「OPTION」画面のメニュー。サラウンドモードはモード1が推奨となっている

サラウンドモードなどを切り換える「OPTION」画面のメニュー。サラウンドモードは「モード1」が推奨となっている

低音部と高音部の補正は、一般的なトーンコントロールと同様。低音(-9~+6)や高音(-9~+6)で微調整できる

低音部と高音部の補正は、一般的なトーンコントロールと同様。低音(-9~+6)や高音(-9~+6)で微調整できる

 ホームシアター機器の本命である、サラウンドモードの設定や、音質調整機能は逆にシンプル。サラウンドモードは、原信号に忠実な「オリジナル」、「モード1/2」があるだけ。このほか、リア/センターの音量の微調整、低音と高音の調整ができるだけだ。

リア/センターの音量バランスの微調整は、リアが-10~+6、センターが-8~+8の範囲で調整できる

リア/センターの音量バランスの微調整は、リアが-10~+6、センターが-8~+8の範囲で調整できる

 国内メーカーの製品に比べると、特にサラウンドモードが少ないが、映画/音楽/スポーツ/ゲームと多彩に用意しても、頻繁に使い分けている人も多くはないと思うので、あまり不足は感じないだろう。このあたりは、機能をあえてシンプルにして、誰でも手軽に使えるようにしているのだろう。なお、AVシンクやテレビ放送における二重音声の切り替えなどの基本機能はきちんと備えているので心配ない。

 本機はこれまでのボーズのサラウンド機器と同様に、ステレオソースを含むあらゆる音源を独自の技術で5.1ch化して再生する。これがデフォルト設定ではあるのだが、ステレオソースは2本のスピーカーだけで聴きたいという人のためにスピーカーモードでステレオ再生を選ぶこともできる。このほか、スピーカーモードは前方スピーカーだけの「サラウンド(3)」も選択できる。


iPodの音楽もサラウンドで臨場感豊かに再現
ステージの中にいるようなサラウンド感がユニーク

付属のiPod用Dock。iPod、iPod touch、iPhoneなどとの接続が可能で、充電機能も備える

付属のiPod用Dock。iPod、iPod touch、iPhoneなどとの接続が可能で、充電機能も備える

 音楽再生は、本機のもうひとつの特徴である「iPod Dock」を使って試した。手持ちのiPodに記録した楽曲(アップルロスレス)の再生を試したところ、その音はかなり精細感が高く、ひとつひとつの音がしっかりと立ち、クリアーに再現された。少し線が細い印象もあるが、音の細かな変化もきちんと描き分けるなど、かなりHi-Fi調の音作りだ。

 スピーカーが極めて小さいため、再生能力にはやや不安を感じていたのも事実で、スピーカーサイズが大きいものを組み合わせた下位モデルの方が音の点では優位なのではないかと、意地悪なことも考えていたが、その心配はまったくなかった。

 サブウーファーとの音のつながりもスムーズで、カチっとした高音から量感をほどほどに抑えながらしっかりと最低域まで伸びた低音まで、かなりのワイドレンジな音が楽しめる。

 強いて言うならば、8畳間以下の部屋ではスピーカーとの距離が近くなるので、サブウーファーはなるべくサテライトスピーカーが描く円の中、理想を言えば中央付近に置いた方が音のつながりが良くなる。

 サテライトでは再生できない中音域をサブウーファーから出しているので、若干定位感が損なわれることがある。10畳間以上の広い空間ではサブウーファーの違いによる定位感の影響は少なかったので、こちらの場合は置き場所を気にする必要は少ないだろう。サイズこそ、机の上にでも置けるようなミニマムさだが、基本的にはアメリカンサイズのかなり広い部屋での使用を前提にした製品なのだ。

 iPodの操作でも、設定や調整はほぼ同様で、サラウンドモードやスピーカーモードの変更もできる。スピーカーモード5.1chでの音場は、かなり積極的に左右の音をリアにも振り分けている。ステレオ再生が客席からステージを眺めているような聴こえ方とするなら、5.1chではステージの中にいるような雰囲気で音楽を楽しめる。

 これはこれで気持ちが良いし、ボーカルの声も前に出てきてとても距離が近い。ステレオのイメージと違和感がある場合は、スピーカーモードを2チャンネルにするといいだろう。

 そしてiPod操作時は、iPodの画面に表示される曲目などがテレビ画面に表示される(iPod側の画面はシステム接続中の表示になる)。当然、このプレイリストなどの操作もリモコンで操作できる。日本語表示にも対応しており、日本人アーティストの曲名が文字化けすることも少ない。惜しいのはジャケットアート表示には対応していない点くらいだ。

 その上、iPodでの曲名リストはリモコンのディスプレーにも表示できる。そのため、音楽再生時はテレビの電源をオフにしていても操作は手元だけで行なえる。このリモコンがとても出来が良く、暗い場所でも使える自照式で、ライトのボタンは背面にあり、手に持った際にちょうど人差し指がくる場所にあるので、手探りでもライトを点灯できるようになっている。映画鑑賞時などはかなり役立つだろう。

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