知ったかは恥ずいゼ 2009
アキバで恥をかかないための最新パーツ事情2009【電源&PCケース編】
2009年05月03日 23時00分更新
電源の賢い選び方
私事で恐縮だが、ここ最近、やたら電源ユニットのレビュー依頼が舞い込んでくる。話に聞くところによると「売れてる」らしい。どのくらい売れてるかと言えば、某C社の750Wは品不足で、一時期店頭から姿を消したというから、昔からのショップ事情を知る筆者としては、非常に驚いた次第だ。
ATXが登場した頃、交換用の電源ユニットなんて、2メーカー、5モデルくらいしかなかった……ってこれは昔過ぎか。
さて電源ユニットの役割を簡単に説明しておこう。 家庭用のコンセントはAC 100V(交流)が供給されている。この交流電源を直流電源にし、12V/5V/3.3Vに電圧を落としてパソコンで使えるようにするのが電源ユニットの役割である。ただパソコンも常に同じ電力を使うわけではなく、一定の範囲内で使用される電力量が変わるため、電圧が落ちないよう一定の電圧を確保する必要がある。このため、広い意味でパソコンの電源は「安定化電源」と呼ばれる。
交流を直流にするためには、大きくわけて2つの方法がある。1つはパソコンの電源ユニットのようにスイッチングするタイプ。もう1つは大きなトランス(コイル)とダイオードを使って降圧&整流化する、トランスタイプだ。
トランスタイプは構造が簡単だが、電流を多く取り出そうとすると重く大きくなるため、今のパソコンの電源として使うには不向きだ。スイッチングタイプは小型軽量化できるが、スイッチングノイズを発生するというデメリットがある。とはいえ、ATX電源ユニットの箱のサイズには限度があるため、大きなトランスよりも、部品が小型化できるスイッチングタイプが採用されているというわけだ(ただし100%ソリッドなシリコン回路ではなく、トランスも組み合わせられている)。
「80PLUS」対応電源が今のトレンド
すでに使っている電源ユニットが問題なく動いており、不満がないなら買い替える必要もない。だが、どうしても買い替える必要が出てくることがある。それは、パソコンの消費電力が増大し、電源ユニットのパワーが不足したとき。そして電源ユニットが劣化して規定の電力を供給できなくなったとき。最後に「静音化」したいとき。大抵はこの3つが買い替える大きな理由となるはずだ。
そしてもう1つ、最近理由として取り上げられるのが「効率」だ。最近の電源ユニットには「80PLUS」というロゴが大きく目立つよう印刷されていることが多い。
この80PLUSというのは、80PLUSプログラム(http://www.80plus.org)が推進する電気機器の省電力化プログラムで、認証を受けた電源ユニットを意味している。これまで効率については、電源ユニットメーカーが独自に謳っていたが、これを標準化し、
・80PLUS
・80PLUS BRONZE
・80PLUS SILVER
・80PLUS GOLD
の4つにランク分けされている。下にいくほど高効率な電源ユニットとなるが、80PLUS GOLDを取得するのは、至難の業と言われている。それぞれの違いを表にまとめてみた。
80PLUS | ||||
---|---|---|---|---|
無印 | BRONZE | SILVER | GOLD | |
負荷20% | 80% | 82% | 85% | 87% |
負荷50% | 80% | 85% | 88% | 90% |
負荷100% | 80% | 82% | 85% | 87% |
表の数字は、それぞれ変換効率を表している。表を見て気づいた人もいると思うが、負荷50%のとき、電源ユニットは最も効率がよいことが分かる。実は電源ユニットに使われている素子の特性上、変換効率がもっとも高くなるのはおよそ負荷45%~70%くらいまでの間で、80PLUS認証ではそれを下回る20%、および上回る100%でも効率80%を要求する、とても厳しい規格なのである。
変換効率が上がると、どんなメリットがあるのだろうか。
1つは、電源ユニット自体が消費(損失)する電力が減るため、使用電力量が減り、その結果、電気代が安くなる。もう1つは、同じ出力でも、損失(≒発熱)が少なくなるため、各部品の寿命が延びるほか、廃熱するためのファンの回転数を下げることができる、というメリットが生まれるのだ。
こちらの関連記事を読んで頂くと、効率の違いが、どれくらい温度に影響しているかが視覚的に分かる。
(次ページへ続く)
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