事の起こりは6月末、コルセア製の電源ユニット「CMPSU-750HXJP」および「CMPSU-850HXJP」が、量産品としては初の80PLUS GOLD認証を取得したというリリースを目にしたところから始まった(関連記事)。
80PLUSとは、80PLUSプログラム(http://www.80plus.org)が推進している電気機器の省電力化プログラムのことで、交流(コンセント)から直流に変換する際の効率が80%以上に達している機器のみが認証される。認証を受けた機器のパッケージには80PLUSのロゴが大きく表示されているので、店頭で見た覚えのある方も多いだろう。
80PLUSにはその変換効率によってスタンダードからGOLDまで計4つのランクが設定されているが、下記の表を見ればわかる通り、いずれも負荷の度合いに関わらず80%以上の変換効率を要求される厳しい規格だ。PC電源ユニットで使われる素子は、負荷が45~70%のときに最も良好な効率となる特性を持つため、ほぼ全域で最低87%もの変換効率を達成しなければならない80PLUS GOLDの認証を得たPC電源ユニットはこれまで市販クラスに存在しなかった。
変換効率と80PLUS認証ランクの関係 | ||||
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負荷率 | 80PLUS (スタンダード) |
80PLUS BRONZE |
80PLUS SILVER |
80PLUS GOLD |
負荷20%のとき | 80% | 82% | 85% | 87% |
負荷50%のとき | 80% | 85% | 88% | 90% |
負荷100%のとき | 80% | 82% | 85% | 87% |
そんななか、市販製品である「CMPSU-750HXJP/CMPSU-850HXJP」が、80PLUS GOLD認証を取得したというリリースは大きな驚きをもって迎えられた。編集部でもさっそく編集会議を行ない、いかに紹介すべきか喧々諤々の議論が交わされたが、
【編集長】 80PLUSのGOLD認証受けた電源ユニットだァ? あのさ、電源ユニットの外観ってみんな似てるじゃん。だからGOLDと言われてもその他との区別が付かないんだよねェ。GOLD認証を取得したっていうなら、見た目もGOLDにするべきだろォ。
【全員】 そ・れ・だ!
――というわけで、誰が見ても一発で80PLUS GOLD認証の製品だとわかる“見た目もGOLD”なPC電源ユニットの作成計画が始まった。
850Wクラス最高のPC電源ユニット
CORSAIR「CMPSU-850HXJP」
850Wの大容量。SLI/CrossFireにも対応したクラス最高品質を誇るハイエンドモデル。電源コネクタも豊富に用意されている。着脱式のモジュラーケーブルを備え、利便性も万全。
出力 | 850W |
---|---|
入力電圧 | 100~240VAC |
入力電流 | 12A |
搭載ファン | 140mmダブルボールベアリングファン |
製品サイズ | 150(W)×160(D)×86(H)mm |
重量 | 2.5kg |
保証 | 7年間 |
850HXJP黄金化計画スタート!
凄腕メッキ会社にアポをとれ
さて、“見た目もGOLD”を実現するためには、何らかの方法で金色にする必要があるのだが、選択肢はそう多くない。金色に塗装するか、もしくはメッキ加工で外装に金の皮膜を施すかの二択だ。手軽なのは塗装だが、これではいかにも芸がない。市販ステッカーを貼り付けるだけで結構な按配の痛PCが出来上がってしまう昨今、仮にも自作PCと痛車レビューを同時に手がけるASCII.jpが“電源を塗装してデコレーションしてみました”では読者が納得してくれないだろう。
となると、残るはメッキ加工だが、これは一気に難易度が跳ね上がってしまう。一応、市販の電気メッキ加工セットは存在するのだが、小さなアクセサリー用がほとんどで150×160×86mmを覆う鉄板をどうこうできるようなものではない。
「金色のラッカースプレーなら持ってるぜ」との編集長の申し出を丁重にお断りしつつ途方に暮れていたところ、偶然にも「お気軽にお問い合わせください」との一文を載せたメッキ加工会社のサイトを発見。さっそくコンタクトだ!
「PC電源ユニットを丸ごと金メッキしたいのですが(キリッ」という、常軌を逸した問い合わせ内容にも関わらず、先方から返ってきたのは、「まずは現物を見せてもらってもいいですか?」とのありがたいお言葉。向こうの気が変わらないうちにと、その日のうちに「CMPSU-850HXJP」を抱えてお邪魔することにした。
(次ページへ続く)
