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SSDと定額データプランでその価値がさらに高まる

文房具のようなさりげなさ LOOX R/A70N SSDモデル (2/2)

2008年07月25日 16時00分更新

文● トレンド編集部

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機動力を生むSSD


 実機を手にとって、まず最初に感じたのは見た目の印象とはずいぶんと異なる本体の軽さ。LOOX R/A70NのHIGH-SPEED対応無線WAN機能搭載モデルの天板はグロスブラックだが、その質感に対して不相応なほど軽い本体にはいい意味で違和感を感じるほどだ。

 スペック値を見ると、SSD搭載機とHDD搭載機の重量差は40gほどしかない。しかし、重量バランスの違いのためか、数値以上の差を感じる。電源を起動して使い始めると、本体が微動だにしないことに驚く。カリカリとデータを読み出す際にHDDから生じる、かすかな振動すらないからだ。

 Windows Vistaの動作は鈍重であまり好きではないが、マシンの起動も心なしか軽快なようだ。OSが起動した後、私が最初にすることは決まっている。パフォーマンスの設定を開き、余分な視覚効果をすべて切り、キーボードの遅延もゼロにする。今回はSSD搭載機ということで、HDDを保護する3Dプロテクションもオフにした。

 ふと思い立って電源ボタンを押す。するとほんの数秒で本体がサスペンド状態に入った。もう一度押すと、今度は一瞬のうちに元のデスクトップが表示される。もう何年も前になるが、取材用のマシンはWindows CE機に決めていた時期があった。メモを取りたいと思った瞬間に、何十秒も待たされるWindowsノートの遅さにうんざりとしていたからだ。

 その後、画像処理やら大量のデータ送信やらを取材先で行なわなければならない機会が増えて、Windows XPのノートを使い始めたが、そのストレスはなくならなかった。必要なときに瞬時に元の状態に戻る。終ったらすぐに寝付く。こんな当たり前のことが気楽にできることに感動した。標準状態でもサスペンドに要する時間は12~3秒ほど。これなら、電車などでギリギリまで作業して、ドアが開くと同時に駆け下りることができそうだ。



常につながっていなければ、モバイルとは言えない


 常時接続はいまや必須だ。取材中にも、無意識のうちに手が動き、ブラウザーの検索窓にキーワードを入力していることがある。そんな時、通信が切断された状態では悲しい。

 通信機能内蔵で、しかも7.2Mbpsと高速な通信環境が標準で用意されているのは嬉しい。ドコモのサービスはイー・モバイルなど競合のサービスに比べると、プロトコル制限があり、料金が割高という難点はあるが、以前テストした結果では安定して高い転送速度をキープできるという利点もあった。本体にはFOMAカードを直接差し込めるスロットが装備されている。通信機能がビルトインになっていれば、カードがムダに出っ張ることもないし、貴重なPCカードスロットが占有されずに済む。

接続ソフト

接続ソフト。ハンドシェイクの速度は非常に速く快適

 ソフトもプレインストールされた状態なので買ってすぐ使えるというのも利点だろう。通信を開始するためには、専用の接続ソフトを利用するが、ハンドシェイクも速く、非常に快適だ。移動中の電車で、簡単な調べ物をしたり、取材の下準備をこなす時間ができ、時間に余裕が出ることも言うまでもないし、パソコンがずらりと居並ぶ編集部の会議やプレスルームで、混み合った無線LANのチャンネルを奪い合うストレスを感じずに済む。



さりげなく自然体、だから長く付き合える


 SSDとHIGH-SPEED対応無線WAN機能を組み合わせると32~34万円程度の構成になるが、快適性に関しては申し分ないと感じる。あとは、ユーザビリティーの部分。キーボードの打ち心地や携帯性などはどうか、と言う話になる。

LOOX R/A70N

約18mmピッチの打ち心地がいいキーボード。底板の安定度の高さもタッチに影響していると思う

 実際に持ち運んでみると、37.4mmというバッテリー部分の厚さにやや不満を感じた。手前の最薄部から奥に行くにつれて適度な傾斜が付いている点は、キーボードを打つ際には快適だが、限られたカバンのスペースに押し込むことを考えるとフラットなボディーのほうが望ましい。キレイな天板もラフな使用を考えると傷が少々心配だ(この点は諸刃の剣)。

LOOX R/A70N

キーボード上部を拡大。電源ボタンの脇にはカスタマイズ可能なワンタッチ起動ボタンが用意されている

 また、安定したキーのタッチは上々なのだが、両手でタッチパッドを操作する筆者のスタイルでは、操作に若干難ありと感じた部分も付け加えておきたい。ポインティングは右手の人差し指で行ない、左クリックする際には、基本的にホームポジションの位置に置いた左手を少し手前に引いて、親指で押すというやり方だが、その際に左手の人差し指がタッチパッドの隅にかかって、カーソルがあらぬ方向に進んでしまうことがあった。

 キートップとパームレストの高さの問題だと思うが、些細なように感じるが、実使用では気になった部分だ。

 一方で、試用機とは異なるが、CTO構成でノングレアパネルが選択できる点は個人的に嬉しい部分だ。光沢パネルは、DVDの試聴などにはいいが、長時間の作業を行なうには映り込みがあり、ストレスに感じる。ノングレアパネルではその点がかなり解消される。

 全体的な操作感としては、冒頭で述べたようにバランスが取れており、2週間ほど仕事でハードに使っても、不満は感じなかった。上に挙げた2点に関しては、どちらかというと重箱の隅をつつくような些細な問題である。バッテリーの持ち(標準で約7.4時間)も、光学式ドライブ搭載という点も出張などで、会社の机と同じ仕事を長時間行なう用途では利点となる。1.20kgという軽量なボディーでこれだけバランスの取れた操作感を確保しているのはむしろ評価すべきだろう。

 モバイルマシンの分野で高い存在感を示している富士通だが、スペックに現れない「体験」の部分でも、非常に高い水準であることが分かった。LOOX R/A70Nは、言うならば「使い慣れた文房具のようにさりげなく、片時も離したくない」存在だ。

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