熱狂から現実志向へシフトしたスタートアップ。キーマンが語るVivaTech10年の変化と次の展望
Viva Technology マネージングディレクター、フランソワ・ビトゥゼット氏に聞く
コミュニティと国際連携で支える イノベーション創出の新たな基盤
このような課題に対して、VivaTechができることは何か、また実践していることは何なのか。ビトゥゼット氏は、同イベントの役割を単なる年次イベントにとどまらない、継続的なエコシステム支援の基盤とすることがカギだと強調する。
例えば、コミュニティ活動の展開だ。構築した「VivaTechコミュニティ」では、CMOやテックリーダーといった意思決定層を中心に、年間を通じたネットワーキングの機会を提供している。加えて、データやコンテンツの提供、エコシステム内のキーパーソンとの接続などを継続的に実施。イベント外でも価値創出が生まれる仕組みを整えている。
また、他イベントとの連携によるグローバルネットワークの構築にも取り組んでいる。VivaTechは各国のテックイベントと協力し、共同でコンテンツ開発や相互支援を行っている。日本においては東京都が主催する「SusHi Tech Tokyo」と連携し、相互訪問時の支援や共同プログラムの開発を進めている。
さらに2026年には、新たなイニシアチブとしてAI分野の「European Center for Excellence」を立ち上げた。世界経済フォーラムとの共同プロジェクトであり、欧州におけるAI活用の高度化を目的に通年で活動する。
重視するのは、国際性の拡大だ。かつてはフランスや欧州中心だったVivaTechの参加者構成は、現在では約170カ国へと広がり、日本、インド、ブラジル、ナイジェリアなど多様な地域からの参加が定着した。VivaTechは欧州との接続点として設計されているが、すでにそれを超えた活用が進んでいる。例えば、日本とカナダがAI分野でMOUを締結するなど、欧州を介さない連携がこの場で生まれているほか、アフリカ諸国同士の協力関係の強化にも寄与しているという。
ビトゥゼット氏は、こうした進化の背景に、「テックはビジネス領域にとどまらず、社会課題にも関わるもの」という思いがあると述べる。VivaTechでは気候変動や多様性、エネルギーといったテーマも議論の対象とし、テクノロジーを社会全体のものとして捉える。特定の産業や地域に閉じない開かれた場として機能することで、「テクノロジーはすべての関係者のもの」であるという認識を具現化しているのである。
VivaTechが期待する日本のプレゼンス
VivaTechにおける国際連携の中でも、日本の存在感はこの数年で大きく高まっている。2024年にはCountry of the Yearとしてフィーチャーされ、日本のスタートアップ・エコシステムは重要なパートナーとして位置付けられた。
ビトゥゼット氏は日本のスタートアップについて、ここ数年で著しい発展を見せていると評する。「特に2024年前後から、政府や産業界による投資と支援が強化されたことも受けて、エコシステム全体が躍動を始めている」
このような観点には、「スタートアップ育成5か年計画」をはじめとする、官民の資金供給量の変化が影響している点がある。また東京都のSusHi Techや愛知県のSTATION Aiなど、欧州のエコシステムを日本としても見本にしているところが大きい。
「日本のユニークな点は、米国と中国の間に位置する地政学的なポジションを踏まえた、アジア太平洋と欧州をつなぐ橋渡し役としての役割が期待されていることだ。フランスから見ても、日本の存在感はこの10年で大きく変わり、主要プレイヤーのひとつとして認識している」
ビトゥゼット氏は、「ポジティブで価値あるテック/デジタルの変革は実現可能であり、その接点としてVivaTechを活用してほしい」と語る。
「2026年は、VivaTechだけでなく、テック・エコシステムの成長と成功を支えてきたすべての人たちを祝う記念すべき年だ。10周年を迎える同イベントは、これまで以上に高品質なコンテンツとインスピレーション、そして新たなビジネス機会の創出を提供する構えだ。もちろんサプライズも用意されている。グローバルなイノベーションの交差点として、今後も期待してほしい」
本記事はアフィリエイトプログラムによる収益を得ている場合があります




























