このページの本文へ

前へ 1 2 次へ

私→WRC 第33回

ラリージャパンでリタイア寸前からの完走! 梅本まどかが語るコースオフの裏側

2023年01月28日 12時00分更新

文● 梅本まどか(@maronchan_1) 編集●ASCII

  • この記事をはてなブックマークに追加
  • 本文印刷

一瞬諦めかけた完走だったが
意地と気合いと根性で脱出!

 私は後方車に無事を伝えるため、まずOKボードを出す準備をします。それと同時に三角停止板も設置するのですが、ヘルメットとハンスをしたままだとこれがやりずらいんです。ちなみにSS内でヘルメットを脱ぐことは禁止されています。

SS内でヘルメット脱ぐのは禁止!

 さて、後方車との間隔は2分しかありません。50m後方にダッシュして三角停止版を設置し、後続車にはOKボードを提示します。雨の中のダッシュはキツく、またヘルメットやハンスもしているのでいつも以上に疲れます。昔はよく早朝に走っていたし、フルマラソンの経験もあるので大丈夫だと思っていましたが、雨の中を久しぶりに走るとかなり息が上がって辛かったです。

 すこし経つと車両の村田選手から叫び声が。とりあえず「来い!」と言われた気がしたので、車両に戻ると「出られたから行くよ!」って。さすが村田選手! 周辺に落ちている木の枝などをタイヤの下に敷きつめ、側溝から脱出していたのです! まさかの朗報にテンションが上がりました。

 ですが、ここで失態にも気づきます。「あ、三角停止板を出したままだ……」これはもう頑張るしかないので、再び50mダッシュ往復を走り切り、三角停止板を回収して車両に乗り込みました。コースオフしてから後方車2台をOKボードを出して見送り、次の車両もまた2分後に来てしまうので、ゆっくりとはしていられません。そんな後ろの様子を気にしながら準備をして、再スタートしました。

 もう全身びしょ濡れでしたが、ペースノートだけは濡らさないように気を付けながら、なんとかわかる場所から読み直し、残り10km走り切りました。村田選手から「あと何キロ?」って聞かれて「10km」と答えるのが心苦しかったですが、一緒に頑張ってフィニッシュにたどり着いたのはホントに今回1番の思い出です。

疲労困憊だったが
リエゾン区間でのファンの声援で復活

 この恵那のSS18を走りきると、一息ついて落ち着きたい所ですが、次のTCに着くまでは気が抜けません。もちろん遅着してしまうとペナルティーになるからです。コース内で2分おきにスタートしている後方2台抜かれたということは、少なくとも4分以上は予定より遅れているはず。私の計算だと5分半くらい遅れている感覚でした。

すっかりお疲れの村田選手

 このくらいであれば、余裕のあるタイムスケジュールで動いている今回のラリーではペナルティーなしで次のTCに到着できそうです。ただ、休憩している時間はないため、すぐに移動します。村田選手はかなりお疲れの様子でした。

 慌てていてすっかり忘れていたのですが、このリエゾン区間では観客の方が集まるギャラリーゾーンがあり、そこはゆっくり走ることが義務付けられています。全力疾走後のこのゾーンでは、手を振るのがなかなか大変でしたが、でも観客の皆さんからすごくパワーをもらえた時間でした。結果、次のTCにはギリギリ間に合い、その後はリグループで時間調整だったため、1時間ほど休むことができました。

午前中の岩村の様子

リグループ場所

 この休憩場所はほかのエントラントも一緒なので、海外の選手と交流したり、トップカテゴリーのRally1車両が動き始めるところも間近で見られて、めちゃくちゃうれしかった♪ 下位カテゴリーで走っていると、トップカテゴリーのマシンってあまり見る機会がないんですよね。

休憩所でほかの選手と交流

 そんな良い感じで休息&リラックスした後に臨んだ最終SS19は、かなりの雨量でしたが落ち着いて走ることができ、無事にラリージャパン完走できました。最終SSを終えて、豊田スタジアムに戻りながら思うのは、やはりSS18のコースオフと復帰のことでした。

 「あのコースオフはだいぶ運が良かったな」と。

ラリージャパンを完走できた4つのポイント

やりきりました!

 まず第1に、コース脇には立木や崖っぽいところが多くて狭い林道にもかかわらず、側溝に落ちただけで済みました。三角停止板を設置するために走った50m後ろは、崖っぽい雰囲気で「この場所じゃなくてよかった」とキュッと肝が冷えました。

 第2に、側溝に落ちたのにラリーカーにダメージが少なかったこと。スピード域も低く登りだったため、大きな外傷もなく、R2の丈夫な足周りに感謝です。

 第3に、コースオフがSS18で、その後のリグループで休憩できたこともホントに助かりました。あと2本長いSSがあったら体力的にも精神的にもキツかった。最終日だからこそ「こんな所で終わりたくない! 絶対完走する!」の気持ちが溢れていた気がします。この気持ちは村田選手からも感じられ、気持ちが通じてより良いコンビになれたような気がしました。

 第4は村田選手の経験値でしょうか。コースオフから復帰できたのは村田選手の冷静な判断と行動に因るものなので、ホントに感謝です。私も以前、全日本ラリー新城でリタイアしたことがあり、その経験が今回は少し活きた気もします。冷静に後続車の来るタイミングを測って、安全に三角停止版やOKボードを設置する判断ができたと思います。

ヘルメットでパシャリ

 WRCレベルでする話ではないかもしれませんが、これまでドライバーに恵まれてリタイア経験が1度しかないので、こういったところも個人的には収穫でした。

 そんなわけで、このラリーで1番悔しかったのはSS18のコースオフではなく、サービスで塩焼きそばが食べられなかったこと。詳細は次回に!

食べられなかった塩焼きそば

前へ 1 2 次へ

カテゴリートップへ

この連載の記事

注目ニュース

ASCII倶楽部

ASCII.jpメール アキバマガジン

クルマ情報byASCII

ピックアップ