ドイツ語で「バイエルン州のエンジン工場(Bayerische Motoren Werke GmbH)」を社名とするBMW。そのエンジン屋の至宝が「シルキー・シックス」と評される直列6気筒エンジンであることに異を唱える人はいないでしょう。そんな「シルキー・シックス」を五感で楽しめるオープンモデルを、オープンカー大好きのマルチタレント・新 唯(あらた・ゆい)さんと一緒にご紹介する本企画。M440i、Z4 M40iに続く今回は、もっともホットなモデル「M4 Cabriolet Competition M xDrive」です。
ラグジュアリーさとスパルタンさを両立させた
「M4 Cabriolet Competition M xDrive」
M3時代から数えて6世代目、M4として独立してからは2世代目となるM4が日本に上陸したのは2021年4月のこと。新型4シリーズに採用された「バーチカル・キドニー」を、鋭角的かつ大胆にモディファイしたフロントマスクは、写真で見ると「BMWどうした?」と思うのですが、現車を見ると意外とイイかもと思えるから不思議。
ですが「このフロントマスク、日本のナンバープレートがなければ、収まりがいいと思うんですけれど……」と唯さん。これには筆者も同意見で、「世界では○○なのに、日本は……」という論の中に日本独自の33×16.5cmのナンバープレートの話が出ないのが不思議なくらい。EUにならって脱炭素だSDGsだというなら、EUと同じ縦11×横52cmにしてもらいたいと強く思う次第です。そうすれば、部品の共通化ができるのに……。ついでに軽自動車の排気量も1リットルにまで拡大して欲しいですね。さらに言えば、ウインカーとワイパーの位置も日本のJIS規格ではなく、ISO規格に合わせてほしいところ。
M4シリーズはラインナップとして、6MT・FRの「M4クーペ」、8速AT・FRの「M4 コンペティション クーペ」とそのトラックパッケージ、8速AT・AWDの「M4 コンペティション xDriveクーペ」とそのトラックパッケージ、そして「M4 コンペティション xDriveクーペ カブリオレ」が用意されています。
実は唯さん、年始にM4クーペ・コンペティションに触れていて、M4シリーズは今回で2回め。エンジンは最高出力510PSを誇る3リットル直6「Mツインパワー」ターボで同じですが、違うのは後輪駆動か四輪駆動かという点と、屋根があるのかないのか、という2点。価格はM4コンペティション クーペが1376万円、M4コンペティション xDriveクーペ カブリオレが1463万円。その差は約90万円ということになります。4駆化+カブリオレで、その程度しか価格差がないので、お買い得な気分になったりも。とはいえ絶対的価格は高いのですが。
運転席はBMWらしいラグジュアリーさを残しながらもスパルタンを感じさせるもの。なかでもMシリーズらしいハンドルの太さは印象的です。「BMWって、基本的にハンドルが太めなんですよね。でもコレは別格に太いです」というように、日本車では見かけることのない太さ。スポークの上あたりで親指で巻き込みギュッと握る方には「ハンドルが握れない」と思われることでしょう。一方、親指をサムレストに置いて手の平全体でハンドルを動かすように操作される方には「これ楽かも」とも。セミバケットシートは、ややタイトな感じでホールディング性は良好。あちこちにカーボンパーツによる加飾がなされているあたりが、スポーツ系車両らしいところで「ラグジュアリーさと重厚さが両立しているんですね。いいと思います」との評。

この連載の記事
-
第516回
自動車
高級ミニバン「Vクラス」と「ヴェルファイア」を乗り比べ! どっちが買いかを検証する -
第515回
自動車
究極の選択! 普段使いができる「NISMO」のスカイラインとオーラ、どっちを選ぶ? -
第514回
自動車
Hondaの燃料電池SUV「CR-V e:FCEV」がイイと思う5つの魅力 -
第513回
自動車
家で充電が便利! 初めての電気自動車に三菱「アウトランダーPHEV」がオススメな理由 -
第512回
自動車
メルセデスの大人気SUV「Gクラス」対決! V8エンジン「G 63」とEV「G 580」の魅力を比較 -
第511回
自動車
クルマ好きの聖地! 広島に行ったらマツダミュージアムは絶対立ち寄ろう -
第510回
自動車
コンパクトミニバン、Honda「フリード クロスター」で3泊4日暮らして気づいた車中泊の難しさ -
第509回
自動車
Hondaの「N-VAN e:」が配達と車中泊にピッタリのワケ -
第508回
自動車
日産「サクラ」がなぜ日本で最も売れているEVかがわかる5つの良いところ -
第507回
自動車
レースカーもオートマのDレンジで走る時代に! MTより賢いAT「DAT」の楽しさ -
第506回
自動車
発表から2年半、クラウンの最終兵器「エステート」がついに発売! 実車をフォトレポ - この連載の一覧へ