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福岡市「スタートアップ都市宣言」から10年、新たな船出

「B Dash Camp 2022 Fall in Fukuoka」で福岡市がピッチセッション、ブースを展開

提供: 福岡市

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「B Dash Camp × 福岡市 コラボレーションピッチ」優勝は
配車プラットフォーム「AIRCLE」の株式会社Alpaca.Lab

優勝した株式会社Alpaca.Lab 代表取締役 棚原生磨氏

「B Dash Camp × 福岡市 コラボレーションピッチ」は福岡を拠点にするスタートアップ4社がピッチを行い、起業家同士はもちろんVCやスポンサー企業などとのネットワークを創出する機会だ。福岡市は官民一体のスタートアップ支援により起業数や資金調達の機会が右肩上がりに増加している。平時は官民共同型スタートアップ支援施設であるFukuoka Growth Next(FGN)を拠点に起業支援やスタートアップの特性や課題に応じた人材育成プログラムを実施することで雇用創出につながり、スタートアップを中心としたエコシステムを拡大し続けている。

 株式会社Alpaca.Labは利用者からの配車依頼を運転代行業者にマッチングする配車プラットフォーム「AIRCLE(エアクル)」を運営。沖縄県と福岡県に展開しており、120の業者が加入、240台以上の車両に導入済みだ。新型コロナウイルス禍にも利用者は増加し、4万6千人を突破した。2022年の注文数は例年の5倍以上に伸びている。

 運転代行業は60年以上にわたり全国に存在する事業だが、DXが進んでいない。タクシーにおける配車アプリやGPS、無線機などが導入されておらず、運転手とオペレーターが携帯電話でやり取りするため、非効率かつ運転中の通話の危険もある。

「AIRCLE」の特徴は運転代行業者を探すだけではなく、利用者の車に合う免許区分を持っている代行者や左ハンドルに慣れた代行者を探せることだ。またアプリを利用することで従来の電話予約より大幅に予約時間を短縮した。「AIRCLE」を利用すれば30秒で配車予約が完了し、曜日や時間に関わらず平均9分で到着する。

 運転代行業者の賃金を上げつつ利用者の満足度を高めることにも成功している。運転代行業界には激しい価格競争があるが「AIRCLE」を利用した業者の平均客単価は約800円上昇し、継続率も90%を超えている。また利用者目線において5段階評価の顧客満足度は4.43点で、トラブル発生率も0.001%未満だ。

 JDA「公益社団法人全国運転代行協会」と提携し、地域単位の導入や行政への施策提案も実施している。全国の運転代行業者へのアプローチはもちろん、飲食店やガソリンスタンドと提携し、運転者へのマーケティング施策を進めている。今後はレンタカーやコインパーキングの運営企業、観光業との連携も進め、「AIRCLE」を地域のインフラにしていくビジョンもある。

 また本ピッチで初公開のサービスも紹介した。運転代行に近いサービスとして、普通免許で他人の車を運転するビジネスモデルだ。沖縄で大手保険会社と一緒にサービスを開始する。利用者が予約して運転手が自転車で利用者のもとに向かう。自転車を折りたたんで客車に積み、目的地まで送迎する取り組みだ。二種免許や最低2人必要になる制約がなくなり、飲酒をしていないが運転を任せたい車の保有者全員がターゲットになる。

 新たなサービスは高齢化が進む地方における移動の需要にも対応する。地方では路線バスの廃止やタクシードライバーの高齢化により買い物や通院に苦労する高齢者も多い。新サービスを使えば若い運転者が報酬と保険適用を受けた上で高齢者の運転を代行できる。

 棚原生磨代表取締役は「日本人は非常に運転をする民族で1日の平均運転時間は80分。自動運転が一般化するまで10~20年かかるといわれる中、運転代行の力で運転から解放される社会を数年で作り上げる。」と述べた。

CtoCの物々交換プラットフォーム「Chain」
株式会社BLUE STYLE

ピッチをする株式会社BLUE STYLE 代表取締役社長 外谷洋二郎氏

 株式会社BLUE STYLEはCtoCの物々交換プラットフォーム「Chain」を運営。「Chain」は利用者が値付けをせずに中古品を出品し、欲しい物があればワンタッチで欲しいと意思表示ができる。3000円の価格差がある物々交換が成立しても利用者は満足感を得られる仕組みだ。

 サービス立ち上げのきっかけは外谷洋二郎代表取締役の育児中の実体験だ。育児中に友人が使わなくなった子ども服を捨てていることに衝撃を受けたが「捨てるなら欲しい」の一言が言いづらかったという。そこでEC業界に15年、リユース事業に7年携わった経験をもとに「Chain」をつくった。

 リユース市場は2025年に3兆5000億円になると見込んでいる。背景として既存のフリマサービスの穴を指摘した。フリマサービスを利用する22%の人が利益を無視した少額利用をしている。捨てることへの罪悪感から逃れたり、承認欲求を満たしたりするためだ。本来は売るという面倒な行為をせず、周囲の人に譲渡すれば済むことだ。しかし実際には所有物を欲しいと言ってくれる人が周囲に見つからない現状がある。そこで「Chain」は人々が快適に物々交換できるプラットフォームを提供する。

「Chain」の収益源は利用料と送料、預かった品を保管しておくための保管料だ。2023年の売上見込み950万円を2027年には83億円へ伸ばすビジョンを掲げる。既存の物々交換だけではなくスキルや体験などの価値の交換が起こるプラットフォームへの発展を目指す。

幼児期に必要な栄養摂取に特化した冷凍幼児食「mogumo」
株式会社Oxxx

ピッチをする株式会社Oxxx 代表取締役 黒瀬優作氏

 株式会社Oxxx(オックス)は1歳半から6歳に特化した幼児向けの調理済み冷凍幼児食「mogumo」を提供する。「mogumo」は管理栄養士監修のもと手作りと栄養バランスにこだわりながら温めるだけで手軽に食べさせられる幼児食だ。幼児期は脳の90%がつくられる時期で、毎日の食事が非常に重要とされる。しかし、偏食やワンオペ育児、少食などさまざまな問題があり、約8割の家庭が幼児食に悩みを抱えている現状がある。子どもの人数にすると約420万人だ。

 これまでに幼児食の問題が解決されなかった原因は2つ。親が食べさせたくても食べてくれないことと、離乳食のようにスーパーやドラッグストアで手に入りにくいことだ。幼児期は自己主張が強くなるため、子どもの食事に1時間以上かかることが多い。また、手軽に購入できないため作る選択肢しかなかった。そこで子どもが楽しく食事をすることと、親が作らない罪悪感を減らすことを目的に生まれたのが冷凍幼児食「mogumo」だ。

「mogumo」のコンセプトは安心安全で、美味しく、楽しいことだ。「mogumo」は偏食や少食で食べない子どもが食べてくれる設計をしている。商品パッケージに動物のイラストをあしらうことで子どもが食に興味を持つきっかけをつくる。また、子ども向けのメニュー表を用意し、食べたいメニューを子どもに選ばせることで普段は食べない子どもでも食べる工夫をしている。

 2022年5月にローンチした「mogumo」は5か月で累計販売数 4万食を突破し、競合他社の 4倍のスピードで急成長している。マーケティングや管理栄養士による無料LINE相談などを実施し、CPA(顧客獲得単価)は競合他社の1/2、継続率は85%を誇る。また、右肩上がりのアジアのヘビーフードマーケットに着目し、海外展開をいち早く進める狙いもある。2023年にはシンガポールでの販売を開始する予定だ。

 黒瀬優作代表取締役は「我々は幼児食メーカーで終わるつもりはない。収集した幼児期のデータを中心に情報や睡眠、スポーツなど幅広い分野に事業を展開し、『mogumo』を中心とした経済圏をつくる」と展望を語った。

オンライン会議にシンプルなコミュニケーションカードツール
Postalk株式会社

ピッチをするpostalk株式会社 代表取締役 川野洋平氏

 postalk株式会社はカード型チャットツール「postalk」を提供する。リモートワークの増加に伴いZoomやSlack、NotionなどさまざまなWebツールが普及した。川野洋平代表取締役はこれらのサービスがリモートワークの普及以前に作られたことから、利用するにあたってさまざまな不便があると述べた。たとえばビジネスチャットは議論を深めることに不向きだ。また、Notionは更新し続けることが難しかったり、使いこなせないユーザーがいたりする課題もある。Web会議をしながら議事録を残したり、ホワイトボードを活用したりすることも難しい。

 しかしオフラインにも問題はあり、デジタルと違って記録を残すことが大変なことや、集まるコストに見合う成果が得られない可能性もある。IT企業へのヒアリングでは、会議の振り返りをExcelで行い、Power Pointをホワイトボード代わりにしている企業もあるという。

 そこで「postalk」は現場に集まっているようなシンプルな体験でありながら、情報が活用され続け、誰でも気軽に使える機能を提供する。「postalk」ではボードとカードの2つを使い、カードを貼る、色を変える、並び替えるの3つの操作を基本とする。またカードの集まりからボードを生成することで知識がまとまり蓄積されていく。ユースケースは議事録、グループウェア、ワークショップの3つだ。

 利用者は20~60代と幅広く、累計2万ボードに25万枚のカードが貼られてきた。料金体系は無償利用、100円から使える都度課金、定額制と段階を設けている。また、会社で利用しやすくするための新機能「postalk space」も開発中だ。イベント当日には英語版をリリースし、日本国内だけではなく世界中のマーケットを視野に入れる。

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