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K-FIRST、新しい働き方のニーズに「尖った」発想で不動産を提供

堺市発のイノベーションを創出する若きスタートアップ起業家連続インタビュー第2回

特集
堺市・中百舌鳥の社会課題解決型イノベーション

提供: NAKAMOZUイノベーションコア創出コンソーシアム、堺市

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―――もともと不動産事業に携わっていたわけではなかったそうですが、こういったビジネスに進もうと思った経緯はどのようなものだったのでしょうか。

田中:まず築古のビルを事業承継して不動産管理事業を始めました。何も知らない中で不動産屋さんを回って空き室を埋めて下さいと営業していたら、それだけですごく稼働率が上がりました。そのときに自分でも人の役に立てるのではという実感がありました。

 もともと世の中の役に立ってお金をもらいたいと思っていたので、それはこの不動産事業じゃないかと思うようになり、その中でも誰も手を付けていない古いビルに特化していくことにしました。でも他の不動産管理会社とかビルオーナーとかにお会いする際に、どこにも専門家がいないと感じることがありました。その時に出会ったのがCPM(Certified Property Manager:不動産経営管理士)という米国の不動産管理会社の資格でした。

 日本の不動産管理会社はクレーム処理やメンテナンスをやるだけの会社であまりリスペクトされていません。でも米国ではCPM を持つ不動産管理事業者と組むことが不動産経営の成長に必要不可欠と見做されていて、非常に地位が高い。仲介会社は空き室を埋めることはできますが、支出も見られないのでビルの資産価値を高めるという業務をすることはできません。つまり空き室が埋まらないときに新しい企画を立てる不動産管理会社の価値は非常に高いということになります。

 我々も古くて使われていないフロアの価値をどうやって高めていくかと考えていって、これからのオフィス需要には3つのポイントがあると気が付きました。1つは働き方の多様化。従来の満員電車に乗って本社に出社して働くというスタイルから、自宅やカフェなどで自由に働くというスタイルになっていく。

 2つ目はフリーランスの増加で、例えば米国では労働人口の40%程度がフリーランスですが、日本はまだ17%程度だという試算がでております。今後日本も副業OKになったり雇用形態の多様化により、そういった方が増えてくると思っています。3つ目がSDGsの観点で、古いものをつぶして新しいものを作るのではなく、既存のものを活かすという方向に行くのではないでしょうか。これら3つの発想からRe:ZONE事業が生まれました。

(出典:厚生労働省第8回労働政策審議会労働政策基本部会資料)

「誠実さから共感へ」そこから生まれた人の繋がりが成長の礎となった

―――事業継承で不動産業に飛び込んだ当初はいろいろご苦労があったと思いますが、どうやって乗り越えたのでしょうか。

田中:私はまず(ステークホルダーに)誠実にあろうということをずっと考えていました。例えばクレームが来たときは、とにかく早く行くことが一番大事だと思っているんです。そうやってとにかく相手に誠実に向き合うようにしていたら、徐々に紹介の輪が拡がっていきました。

 Re:ZONEを始めた時も、ここをこうリフォームしたら絶対に需要があるからやらせてくださいという熱意で案件を増やしていったところがあります。熱意と誠実さで拡がっていって、実績ができてきたら銀行から紹介してもらえるようになりました。

 あと例えば壁紙張替えの工事を受けた時、(原価に)いくら乗せてもわからないだろうとかやってしまうと、今はネットでいくらでも情報がでてくるので、「あの会社信頼していたのにすごく利益を乗せている」みたいなことになってしまう。そうするといくらそれまで真摯に仕事をしていたとしても、そこでお付き合いが終わってしまう。適正利益はきちんといただきますが、そのような知識差で利益を出そうという商売はやらなかった。そうするとさらに紹介案件が増えていきました。

―――誠実さを熱意とともにぶつけていったら共感を得られたということですね。人材についてはどうでしょうか。新しい事業を始めたらそれまでと全く違う人材の必要性も出てくると思うのですが。

田中:親からの会社を引き継いでいるので、そちらの方とも連携していましたが、本当に自分が一緒にやりたいと思うメンバーは常に口説いていました。あとは社員からの紹介とかもありました。人と人との繋がりの中から良い人を見つけることができました。

 (初期に)一緒にやってくれたメンバーがすごく信頼できる方だったのは有難かったですね。協力会社の方たちにもこいつは若い奴だから知らんだろうといって騙すような人とは一緒にやらなかったし、逆に一緒に食事をしながらこちらの思いをぶつけると、お前は熱い奴だからそれなら受けたるわと言ってくれる、そんな方と一緒に仕事をしてきました。

 そうして得た信頼する人から紹介してもらった人は信頼できると思っています。(信頼する人に)困っているので誰かいい人いないですかと言えば、みんな結構紹介してくれましたし快く助けてくれました。

 ただ、人を信じるということは大事なことだけど、信じる手前のところの勉強は自分でやっておかなくてはいけない。例えば工事を発注して、こいつは知らんだろうからと金額を乗せてくるようなところもありますが、そこは自分で勉強して乗せていることを見つけなくてはいけないし、そういうところとは付き合わないようにしなくてはいけない。

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