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最新パーツ性能チェック 第378回

3DMarkではRadeon RX 6400&GeForce GTX 1650超え

Arc A380搭載グラボを徹底検証!インテルのエントリーゲーマー向けdGPUの現状性能は?

2022年09月18日 09時00分更新

文● 加藤勝明(KTU) 編集●ジサトライッペイ/ASCII

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ReSizable BARは絶対有効化しよう

 また、Arc Aシリーズはマザーボード側で「ReSizable BAR」あるいは「Smart Access Memory」を有効にしないと、「ゲーミングパフォーマンスに大きな影響がある」とインテルは解説している。

 すなわち、インテルなら第10世代Coreプロセッー(開発コードネーム:Comet Lake-S)+インテル400シリーズチップセット搭載マザーボード。AMDならRyzen 3000シリーズ+AMD 500シリーズチップセット搭載マザーボード以降のシステムが必要だ。

 そして、いくらシステムが揃っていても、ReSizable BARを有効化できるBIOSが入っていなければ無意味だ。また、対応BIOSが入っていても、デフォルトではReSizable BARが無効化されていることが多いので、その場合は手動で有効化する必要がある。

 ちなみに、上記のシステムより古いCPUとマザーボードを使っている場合や、条件を満たしていてもBIOSが更新できない、あるいはBIOS設定を変えられなければ、Arc Aシリーズは「見送るほうが無難」だ。ReSizable BARを有効化しなくても起動不可にはならないが、十分な性能が出ないかもしれないからだ。

インテルのクイックスタートガイドによれば、Arc Aシリーズを使うためにはReSizable BARの有効化が「must」。つまり、この表にあるより古いシステムではArc Aシリーズの使用は推奨されないということになる

Radeon RX 6400とGeForce GTX 1650、iGPUと対決

 それでは検証環境を紹介しよう。比較には、現行モデルでは最もシンプルなスペックを備えるRadeon RX 6400搭載グラボと、性能的に近しいという下馬評があったGeForce GTX 1650(GDDR6版)搭載グラボの2枚を用意した。さらに、Core i9-12900KのiGPU(インテルUHDグラフィックス770)もグラフに入れてみた。

 OSはWindows 11で、コア分離(VBS)やSecure Boot、ReSizable BAR、HDRといった機能はすべて有効化した。ドライバーはArc A380が検証時点での最新バージョン(31.0.101.3277)、Radeon RX 6400はAMD Software 22.8.2、GeForce GTX 1650はGame Ready Driver 516.94を適用した。

検証環境
CPU インテル「Core i9-12900K」(16コア/24スレッド、最大5.2GHz)
CPUクーラー ASUS「ROG RYUJIN 360」(簡易水冷、360mmラジエーター)
マザーボード ASRock「Z690 PG Velocita」(インテルZ690、BIOS 11.01)
メモリー Kingston「FURY Beast DDR5 KF552C40BBK2-32」(16GB×2、DDR5-4800動作)
グラフィックス ASRock「Intel Arc A380 Challenger ITX 6GB OC」(Arc A380、6GB GDDR6)、玄人志向「RD-RX6400-E4GB/LP」(Radeon RX 640、4GB GDDR6)、ZOTAC「ZOTAC GAMING GeForce GTX 1650 OC GDDR6」(GeForce GTX 1650、4GB GDDR6)、インテルUHDグラフィックス770(CPU内蔵)
ストレージ Corsair「Force Series MP600 CSSD-F1000GBMP600」(1TB M.2 SSD、PCIe 4.0)
電源ユニット Super Flower「LEADEX PLATINUM SE 1000W-BK」(1000W、80 PLUS PLATINUM)
OS Microsoft「Windows 11 Pro」

定番ベンチマークでは好調なスタート

 では、定番の「3DMark」から検証を始めよう。今回はエントリークラス対決ということで、比較的負荷の軽い「Fire Strike」、「Time Spy」、「Port Royal」の3本を使用する。

3DMarkのスコアー

 iGPUは当然として、Arc A380はRadeon RX 6400もGeForce GTX 1650よりも優秀な成績を残した。2位のRadeon RX 6400にすら、Fire Strikeだと同格、Time Spyでは17%程度上、レイトレーシングユニットが活きるPort Royalに関しては倍以上のスコアーで圧倒している。インテルUHDグラフィックス770には5倍近い大差をつけており、dGPUの面目躍如といったところか。

 これだけ見ると「あらいいじゃない!」という感じだが、必ずしも3DMarkのスコアーが実際のゲームの快適さに直結するとは限らない。現在GPUのゲームにおける性能は、そのタイトルごとの最適化の深度で大きく変わるからだ。3DMarkのスコアーは汎用的な「地力」ぐらいのイメージと思っていい。

 ついでに、システム全体の消費電力もここで確認しておこう。電力測定にはラトックシステムの「RS-WFWATTCH1」を使用した。システム起動10分後の安定値を「アイドル時」とし、3DMarkのTime Spyデモ実行中のピーク値を「高負荷時」とした。

システム全体の消費電力

 今回用意した3種類のdGPUのTDPはいずれも75W以下だが、Arc A380の消費電力は飛び抜けて高い。8ピンの補助電源ケーブルで電力を供給しているからこうなのか、もとからArc A380は消費電力が高いのかはわからない。しかし、少なくとも現時点におけるArc A380のワットパフォーマンスは決して良いほうではない、と言える。

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