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最新パーツ性能チェック 第378回

3DMarkではRadeon RX 6400&GeForce GTX 1650超え

Arc A380搭載グラボを徹底検証!インテルのエントリーゲーマー向けdGPUの現状性能は?

2022年09月18日 09時00分更新

文● 加藤勝明(KTU) 編集●ジサトライッペイ/ASCII

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XMXはゲームでもクリエイティブでも活用できる
新アプリ「Arc Control」はAV1に対応

 ゲーマー的に最も重要なユニットはXMXだろう。NVIDIAのTensorコアを利用した、DLSS(Deep Learning Super Sampling)と同様に、XMXを利用することでゲームのアップスケーリング処理ができるからだ。この機能は「XeSS」(Xe Super Sampling)と呼ばれている。

 ただし、DLSSと同様、ゲーム側の対応が必要になるため、XeSSの普及はまだ先になりそうだ。「Topaz Gigapixel AI」などのクリエイティブ系アプリでも、XMXを利用して処理を高速化できるとインテルは謳っているが、まだアプリ側でのXMX対応はアナウンスされていない。

インテルが明らかにしたXeSS対応予定ゲーム。現在は2022年の夏が終わったばかりだが、肝心の対応ゲームはまだ拝めていない……

XMXはクリエイティブ系アプリのAI処理も高速化できるユニットだ。もちろん、こちらもアプリ側の対応が必須となる

 既存のRadeonやGeForceにはないArc A380特有の機能としては、AV1のハードウェアエンコーダーが挙げられる。AV1は既存のコーデックよりも高い圧縮率(低ビットレートでも画質がより高くなる)がウリの次世代コーデックだが、エンコード時の計算量が非常に高い。この処理をハードウェアで高速に実行できるGPUは9月中旬時点でArc Aシリーズだけだ。

 Arc AシリーズのAV1ハードウェアエンコーダーは「QSV」(Quick Sync Video)を経由して実行する形になっている。「HandBrake」の対応を謳っているが、原稿執筆時点での最新ビルドにおいてAV1のハードウェアエンコードは確認できなかった。ただし、「AviUtl」+「QSVEnc」では動作が確認できたので、機能的に「そこにある」ことは確かだが、まだ広く使える機能であるとは言いがたい。

QSVEncは、筆者が確認できた数少ないAV1ハードウェアエンコード対応動画エンコーダーだ。AviUtlで利用できる点が魅力だが、バージョンによっては使えないので、まだ発展途上といった感じも

 Arc A380の設定は、解像度などのシステム面は従来と同じ「インテル・グラフィックス・コマンド・センター」が担当する。GPUの負荷や温度などのステータス確認、ゲーム画面の録画、ストリーミング機能については別アプリの「Arc Control」で行える。なお、Arc Controlは「Alt」+「i」キーで瞬時に呼び出せる点はすこぶる便利なのだが、ウインドウっぽくみえる領域以外の部分をクリックするとArc Controlが画面から消える(つまり、ウィジェットのような挙動)とか、細かいところで不具合が観測されるなど、ユーザビリティーはいまひとつだ。

Arc ControlのUI。ショートカットキーで呼び出せるというお手軽さはRadeonやGeForceを圧倒している。その一方で、ウインドウの移動やサイズ調整ができないなど、妙に使いづらい部分もある

GPUの状態を確認したり、簡易オーバークロック(OC)が可能。とはいえ、当然のことながら、OCは自己責任の世界。OCによる故障は製品保証外になることを肝に銘じよう

画面録画ではAV1コーデックを指定できる。ただし、現状では仕様上対応していない解像度とフレームレートの組み合わせが選択できる(例:4Kで60fps)など、UIはまだ練り込みが足りない印象だ

ゲームで敵を倒したシーンなどを自動的に録画してくれる機能も。これまではGeForceの専売的な機能だったが、インテルArcはここもきっちりフォローしてきた点は好印象だ

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