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「気球で宇宙遊覧旅行」の岩谷技研 北海道期待のスタートアップ5社

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株式会社岩谷技研:気球で誰でもふんわり宇宙遊覧旅行を目指す

 日本でも著名実業家が宇宙飛行に行くなど、宇宙への旅は国家レベルから民間レベルへの移行が進んでいる。しかしロケットによる宇宙飛行のコストや危険性はまだまだ高く、誰もが気軽に宇宙への旅に出られるという状況にはまだ至っていない。岩谷技研は気球を使って誰もが気軽に宇宙旅行を楽しめる事業の実現を目指している。

株式会社岩谷技研 代表取締役 岩谷 圭介氏

 高度25000メートルはロケットによる宇宙旅行に比べると低い高度ではあるが、それでも目に映る世界はまさに宇宙。既にこの高度に気球でカメラを飛ばすことに成功しており、将来的に上昇に2時間、遊覧1時間、降下に1時間の合計4時間の日帰り宇宙旅行を目指している。

 ロケットによる宇宙旅行には億円単位の費用と、6か月に及ぶ訓練が必要になる。さらにオペレーションのために英語とロシア語などの言語習得も求められる。一方、気球による宇宙遊覧旅行では、費用は最終的に180万円程度を目指しており、訓練も不要。言語は母国語のみでも問題ないと、誰でも宇宙旅行が可能になる。

 既に人が乗る気密容器キャビンを開発しており、今年の夏中に人を乗せて富士山の高さを超える飛行を行い、2022年度中には宇宙の高さまでの有人飛行を実現するとしている。サービスインは2023年に2人乗りからスタートし、2026年には6人乗りの気球をサービスインすることを計画している。

 世界全体での宇宙旅行の市場は2025年時点で6600億円を超えるとされており、国内旅行代理店へのヒアリングによれば、運賃1000万円で年間100人、200万円だと年間1000人のユーザーが見込めるとの回答があったとのことだ。事例が積まれて安全性が確認できればこの数字はもっと上がるかもしれない。

「国内外で宇宙旅行の競合サービスは出てきているのか。競合と比べて進捗はどのような状況か」(山崎氏)

「弊社と同様に気球を用いて宇宙旅行をやろうとしているSpace Perspectiveという会社が米国にある。

「事業開発においては大きく後れを取っている。我々はまだ1件も予約を取っていないが、彼らは既に1000件取っていると言っている。一方、技術の方は我々が圧倒的に進んでいて、彼らはまだフレームモデルを飛ばしたところだが、我々は今年の夏に富士山よりも高い高度にまで気球を飛ばそうとしている。技術については圧倒的に優位がある」(岩谷氏)

「技術的な優位があるのに事業開発が遅れているのには何か理由があるのか」(山崎氏)

「単純に私がコテコテのエンジニアであるということで技術開発ばかりやっていて事業開発はそっちのけだった。出資者の皆様から大変怒られています」(岩谷氏)

「気球での宇宙旅行をやろうと思ったきっかけは何か」(江幡氏)

「宇宙、みたいじゃないですか。私は元々航空宇宙を専門にしていて、ロケットの研究をしていた。しかしロケットは難しいと思って他の手段を探していた。そこで気球が最高だと。でも意外と気づかれていないので、気球やっちゃおうと。そんなところから始まっています」(岩谷氏)

 B DASH CAMP Sapporo City コラボレーションピッチの優勝者は岩谷技研に決まった。宇宙旅行という人類の夢を気球という現実的な解に落とし込んでいるところと、なにより創業者の想いが評価をされたのだろう。2022年夏の有人飛行、そして2022年度中の有人宇宙飛行の実現を心から期待したい。

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