IVS2026開幕、岸田元首相が振り返る「5か年計画」の成果、スタートアップエコシステムの「高さ」課題に
国内最大規模のスタートアップカンファレンス「IVS2026」が2026年7月1日、京都にて開幕した。今回のテーマは「Japan is Back」、日本のスタートアップの真価を世界に証明する場として掲げら、今回も登録者数は1万人を超えたと発表された。また公式のセッションだけでなく、京都市内の各所では業界別セミナーからネットワーキング、採用など目的に特化したものを含む300を超えるサイドイベントがイベント前後に昼夜問わず開催されており、京都の街全体がスタートアップの熱気にあふれる一大カンファレンスとなっている。
今回、メイン会場である「みやこめっせ」に加え、ホテルオークラ京都に完全招待、審査制エリア「IVS CORE」が新設されている。オープニングセッションではこの2つの会場がライブ中継で結ばれ、IVS COREの会場からはいまのスタートアップ政策の中心となっている「スタートアップ育成5か年計画」を策定した第100、101代内閣総理大臣の岸田文雄氏が特別ゲストとして登壇した。
岸田氏はテーマの「Japan is Back」について、「力強く、今の日本にとってふさわしい重要なテーマだ」と評価した。続いて首相在任中の3年間を振り返り、成長型経済へ転換するため、「社会課題を解決し、それを成長のエンジンにしていく」という「新しい資本主義」を掲げてきたと語った。その中で、スタートアップ支援は特に力を入れた政策であったと強調した。
「スタートアップ育成5か年計画」を振り返り、人材、資金供給、オープンイノベーションの推進という3つの柱を立てたことを説明。過去最大規模となる約1兆円の補正予算や税制改正で、国家戦略として環境整備を進めた実績を語った。その結果、この3年半で大学発スタートアップや地方からの挑戦者が次々と生まれ、「スタートアップ全体の裾野は間違いなく広がった」と成果を強調した。
一方で、今後の課題として「世界的な高成長企業を次々と生み出していく段階に進めなければならない」と指摘。「エコシステムの広さだけでなく、高さを伸ばす努力を続ける必要がある」とし、スタートアップのスケールアップのための成長資金のさらなる供給拡大、M&Aを視野に入れた出口の多様化、そしてグローバル展開や海外投資家からの投資拡大などを進めていく意向を示した。
さらに現高市政権が示した17の戦略分野における成長の担い手であるディープテックスタートアップに対して、政府調達の活用やSBIR制度の抜本的強化を通じて支援することと、また資金調達の8割が東京に集中している現状を打破すべく、起業家教育の充実や多様なプレイヤーの連携による地域のエコシステム形成を図ることを訴えた。最後に、「日本には世界最高水準の研究人材や技術があり、それらを事業化して世界市場へ挑戦する起業家が着実に増えている。日本は世界の投資家や企業とともに成長することを歓迎する」と呼びかけ、「可能性を現実に変えていく主役はまさに皆さんだ」と会場を鼓舞してスピーチを締めくくった。
オープニングセッションではそのほか、IVS代表の島川敏明氏は、2007年にスタートアップ経営者のための合宿として始まったIVSが、オープン化を経て日本最大級のカンファレンスへと育った歩みを紹介。「スタートアップを取り巻く環境は決して楽観視できるものではない。だからこそIVS自身も進化している」と述べ、今年は裾野の広さだけでなく、新設したIVS COREを通じて岸田元首相も求めた「高さ」を生み出していく決意を表明した。
京都府知事の西脇隆俊氏は、「京都は国内外から多くの方が訪れる日本の文化の中心であり、世界中のスタートアップ関係者の出会いの場となり、成長に貢献したい」と歓迎の意を示した。また、京都発の技術が世界をリードする可能性に期待を寄せた。 京都市長の松井孝治氏は、1000年の歴史を持つ京都の町について、「様々なバックグラウンドの方々が集い、交流するエネルギーがこの町を作ってきた」と言及。京都を「ぬか床のような街」と表現し、「挑戦者がここで交流し、新しいエネルギーや気づきを得て、地平を切り拓く力を得てほしい」とエールを送った。
IVS CORE会場から登壇したIVS2026企画責任者の前川寛洋氏は、「今の日本はスタートアップを育成するフェーズから、いかにして経済や社会課題を解決できる主体者となれるかというアウトカムが求められるフェーズになっている」と指摘。バイオや宇宙など日本が歴史的に強みを持つ領域で世界を席巻するチャンスだと語った。同じくIVS CORE統括を務めるEY新日本有限責任監査法人の常盤勇人氏は、同エリアを「日本版ダボス会議」と表現し、「大事なのは何を聞くかではなく、何が決まるか。決裁権を持つ人たちがその場で方向性を定めるための議論の場だ」と力強く意義を語った。「IVS2026」は7月3日まで開催される。
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